【完結】神スキル拡大解釈で底辺パーティから成り上がります!

まにゅまにゅ

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第93話 《リーネの視点》2人の力

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『アアアア、アルテアだとおおっっ!?    ふざけんな!    なんで神が自ら人間界に干渉してんだ!』

 ドレカヴァクの慌てた感じが伝わる。ルウの怪我も治り始めていた。

「そうですね、確かに神が自ら人間界に干渉することは原則禁じています。ですが私は召喚されたわけですからね。何もしないわけにはいかないでしょう。ならリーネ、貴方の手で大切な人を救いなさい。私がその手助けを致しましょう」
『いや、結局手を出すんじゃねーか!』
「直接手を下すのはこの子です。私ではないので問題ありません。そもそもルールを決めたのも私なわけですし」

 アルテア様がしれっと答える。とってもにこやかで眩しい笑顔だ。

『横暴だ!    断固抗議する!』
「さぁ、お行きなさいリーネ」
『無視すんな!』
「あっ……?」

 私の意識が飛ばされる。いや、意識は飛んでるんだけどある、っていうか、なんか変な感じがする。

 気がつけばそこは酷い荒地だった。死せる大地といった具合だろうか。それに物凄く嫌な空気がまとわりついてくる。

 ──ここはルウの精神世界です。あの子が息絶える前に助け出すのです。

 この声はアルテア様?
 この死の大地がルウの精神世界?
 それだけ侵されてるってことなのかな。とにかく先を急ごう。でも私の得意な闇属性はドレカヴァクには通じないはずだ。龍炎ドラゴンズノヴァが頼りかもしれない。

 私は走る。不思議と疲れを感じない。そして少し走った先に十字架に貼り付けられたルウを見つける。ルウの前には骸姿のドレカヴァク。奴はルウの身体を端の方から食べていた。奴を排除してルウを助けるんだ。

 私は意を決して力の限り叫ぶ。

「ルウーーーーーッ!」
「ちっ、来やがったか。小娘1人来たところで俺様に勝てるとでも思ってんのか?」

 とにかくルウとドレカヴァクを引き剥がさないと。闇はダメージは与えられないけど、引き剥がすことはできるはず。

闇の手ダークハンド!」

 スキル多重発動を使い、一気に30本の腕を生み出す。不思議と魔力の減った感じがしないのは何故だろう。

「なんだこの数は!?」
「舐めないでよね!」

 闇の手が一斉にドレカヴァクを拘束し、ルウから引き剥がす。収納魔法使えるかな?

「よし、収納するよ!   縄と十字架を収納インベントリ

 収納魔法の吸収作用を利用し、ルウの拘束を解く。ルウが地面にどさりと落ち、仰向けに倒れた。ルウの左腕は既に食べられており、右脚も膝から下が無い。

「リーネ……?」
「ルウ、良かった!   魔法は使える?」
「う、うん。回復ヒール強化ブースト

    するとみるみるうちに左腕が生え、右脚の膝下も新しく生まれてくる。そっか、精神世界だから実体じゃないもんね。でもルウの回復ヒールなら実体でも治せそうな気もするけど。

    ルウがゆっくりと起き上がる。そして左腕を軽く回した。問題なく動くようだ。魔法も拡大解釈も使えてるみたいだし、これなら勝てるよね。

「こんの小娘がぁっ!!」

 大分遠くにやったと思ったのに。途中で拘束を解かれたのかもしれない。ドレカヴァクが怒声をあげて戻ってきた。汚い骸だから表情変わんないけど。

光刃ライトエッジ

 ルウが光の剣を作った。防御用だね。

「ちっ、復活しやがったか。だがお前を殺せば済むことだ。2人まとめて殺してやるぜ!   呪われし魂カーズドスピリッツ!」
「無駄だよ」

 ドレカヴァクが両腕を広げて集めていた瘴気が弾けて消えた。ルウ、何したんだろ。でもチャンスだよね。

龍炎ドラゴンズノヴァ
強化ブースト!    そして弱化ウィーク

 私の生み出した魔法陣から八体もの炎の龍が飛び出し、ドレカヴァクに降り注いだ。

「ギャチャチャチャチャーーーッ!?」

 熱いんだ。しかしなんだろ。ドレカヴァクがものすごーく弱く感じる。

「ここは僕の精神世界だからね。解き放たれた以上君に勝ち目はないよ」

 炎が弾け飛び、その中からドレカヴァクが姿を現す。肉は全て焼け落ち、完全に骸骨となっている。それでも眼窩に目玉があるのはキモい。

「何故だ……。なぜ俺の力が抜けていく。貴様何をした!」
「君、僕の左腕食べたでしょ?    つまり僕の1部が君の中にあるわけだ。そこを起点に弱化ウィークをかけて浄滅アニヒレーションをかけてるんだよ」
「は?」

 うん、私もよくわからない。とりあえずドレカヴァクの中にあるルウの1部が暴れ回っている、ってことは理解した。

「わかり易く言うと、君の精神を僕の精神が侵略してるってことだよ」
「はぁっ!?    俺様は侯爵級の悪魔だぞ!    精神力で人間ごときに負けるわけが……!」

 するとルウはクスリと笑う。あ、なんか可愛いかも。

「でも現に押されているよね?    じゃあ中と外から浄滅魔法喰らってみるかい?」
「ひ、ひぃっ……」
「リーネ、龍炎ドラゴンズノヴァ
「うん!    龍炎ドラゴンズノヴァ!」
強化ブースト付与エンチャント浄滅アニヒレーション

 魔法に魔法を付与?
    そういえばそんなこともできたんだっけ。もうそれ付与じゃなくて合成だよね。

 私の魔法陣から現れた炎は青白かった。青白い炎の龍は普通の炎より激しくは見えない。しかしその熱量は比べ物にならず、そして神聖な浄化の炎を思わせる神々しさがあった。そんな龍が8体。
 多分無声発動で強化しまくったのかもしれない。断罪の龍と名付けよう。

「魔法に魔法を付与だとぉっ!?」
「終わりだよ、ドレカヴァク」
「消えちゃえ!    行け!    断罪の龍!」

 私の思念で断罪の龍がその牙をドレカヴァクに向ける。一匹、また一匹とドレカヴァクを飲み込んだかと思うと、中へと入っていった。そして最後の龍がドレカヴァクを飲み込む。すると青白い炎が立ち上り、眩い光を放った。

「ギャアアアアアアッッ!!」

 ドレカヴァクの断末魔の悲鳴。そして地獄の亡者のような呻き声をあげたかと思うと、炎の中へと溶けていくようにフェードアウトしていった。
 そして炎が収束し、光が弾けた。その跡には何もない。誰もいない。

「勝った……?」
「うん、僕たちの勝ちだ。ありがとう、リーネ。君のおかげだ」

 ルウが私の手を取り、ニコリと微笑む。いつものルウの笑顔だ。とても優しくて、私を安心させてくれる温かい笑顔。

「ルウ……。ルウのくれた指輪のおかげだよ。まさかあんな仕掛けがあるなんて思わなかった」
「あれは僕も驚いてる。まさかアルテア様が御力を貸してくださるなんてね。さて、荒れた精神を治さないとね解放エマンシペーション

 すると私たちを中心に、荒地だった世界に美しい花畑が広がっていった。

「わぁ……」

    思わずダイブしたくなるほどの花畑だ。赤や黄色、青といった、色とりどりの花が咲き誇り、その周りを蝶が飛んでいる。

    あの花が私で蝶がルウかな?
    なんてね。

「これでよし。リーネ、本当にありがとう。もう行って。みんな待ってるから」
「うん、わかった。またね」

    ちょっと名残り惜しいけどね。正直に言うと、今はちょっと甘えたい。でもみんな待ってるからね、終わったらちょっと甘えさせてもらおう。あの文言がいいネタになる。

 私の身体がふわりと浮き上がった。そしてどんどん高く舞い上がっていき、ルウが小さくなっていく。ルウは最後まで手を振ってくれていた。もちろん私も手を振り返す。

 そして、私の意識は元の身体へと戻って行った。
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