【完結】神スキル拡大解釈で底辺パーティから成り上がります!

まにゅまにゅ

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第94話 戦いの終わりに

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 僕の中の異物が消えていく。
 自分の中を這いずり回られるのは、まるでクロウラーの幼虫に身体を食い荒らされてるのかと思えるほど不快だった。

 頭の中に嫌な声は響くしで正直諦めていたんだけどね。死んだ方がマシだと思っていたけど、無事生きていることに感謝しよう。

 リーネは僕を抱きしめたまま意識を失っている。でも何をしていたのかはわかる。心の中で一緒に戦っていたのだから。

「リーネ、ありがとう……」

 僕は小さく呟く。

「どういたしまして」

 するとリーネが目を覚まし、ふふふっと笑う。聞かれちゃったと思うと少し恥ずかしいな。

「無事終わったようで何よりです。リーネ、あなたに授けた魔法はあなたの心からの願いを叶える魔法です。強力すぎるので1年に1回の使用とさせていただきますね」
「え、また使っていいんですか?」
「ええ。ただし、1年に1回です。そしてあなたが心から願わないと反応しませんよ?」

 1年に1回でも神様召喚は強すぎる。てっきり今回だけのことかと思ったけど。

「は、はい。ルウを助けてくださり、ありがとうございました」
「アルテア様、私を助けてくださりありがとうございました」

 リーネが座ったまま深々と頭を下げる。それに倣い、僕も平伏して感謝の意を述べた。まさか神様直々に助けていただけるなんて思いもよらなかったよ。

「いいのです。それではまたいつかお会いしましょう、私の愛し子たちよ」

 アルテア様が光の粒子に包まれると、その光の粒子に溶けるようにアルテア様が消えていく。そして光が弾けると、そのお姿は見えなくなっていた。

「なんということなのでしょう……。まさかアルテア様のご尊顔を拝する栄誉が得られるなんて。ああ、もう言葉になりません」

 リオネッセさんがめちゃくちゃ感動してはる。聖女様なだけに信仰心凄そうだもんね。

「なんというか、君たちには本当に驚かされる。神様を呼ぶ魔法が存在するなんてね」

 ライミスさんは立ち上がると呆れたように笑う。なんともサッパリした笑いだ。いや、僕も知らなかったし。なんで呼び出せたのか僕もわかんないです。

「しかしこれから大変なんじゃないか?」
「え?」

 アレクさんの指差す方向を見る。
 少し離れた位置に王子殿下を始め、実に多くの人達が平伏していた。うん、つまり目撃者多数と。

 恐らくアルテア様の神々しい光に吸い寄せられて集まったんだろうね。平伏していたのがいい証拠だ。

「まぁ、色々聞かれると思うけど頑張って。それより立てるかい?」
「は、はい……」

 この後を考えると憂鬱だよ。とりあえず立とうと身体を起こした。しかし膝に力が入らなくて倒れ、両手を地につける。

「あ、あれ……?」

 思った以上に消耗していたらしい。膝に全く力が入らない。

「うん、立てそうもないね」

 不意に感じる浮遊感。
 ライミスさんが僕をヒョイと持ち上げたのだ。そしてサルヴァンの背中に乗せられる。

「サルヴァン君、君に頼もう」
「ええ、それは俺の役目ですから」
「ごめん、サルヴァン」
「気にすんな。こうやってお前を背負うのは何年ぶりかな」

 サルヴァンが意地悪そうにシシシと笑う。そういや何年ぶりだろ。相変わらずサルヴァンの背中は広い。

「さ、英雄の凱旋だ。戻ろうみんな」
「「「「おう!」」」」

 ライミスさんの一声で僕らは歩き出す。そして王子殿下にも声をかけ、街に戻るために歩き始めた。

「しかし凄いものを見せられてしまったな」
「ええ、私も同じ気持ちです」

 王子殿下とライミスさんの会話が耳に入ってきた。今日は疲れているからまた今度にして欲しいんだけどな。

 それにしても疲れた。肉体的、というよりは精神的な疲弊がエグい。サルヴァンに背負われながら僕はゆっくりと微睡んでいった。





 気がつけばクランハウスで間借りしている部屋だった。どれだけ寝ていたんだろう。ゆっくりと身体を起こし、背伸びをする。欠伸が漏れ出てうっすら涙が滲み出た。

 軽く眼を擦り、ベッドから降りる。そして部屋から出ると、リーネがいた。桶とタオルを持っている。

「あ、ルウ。目、覚めたんだね、よかった。もう大丈夫?」
「うん、おかげさまで。サルヴァンにも部屋まで運んでもらったお礼を言わないと」
「そうだね。お腹空いてない?    3日も寝ていたんだよ?」
「3日……!?」

 そんなに寝ていたのか。事後処理とかあったろうに迷惑かけちゃったな。

「そうだよ?    だから私がこうして身体を拭いてあげていたんだからね?」
「あ、そうなんだ。ありがとうリーネ」
「それよりあの後大変だったんだよ?    アルテア様を私が召喚した、ってことで質問攻めにされたし。喚んで見せて欲しい、って言われて困っちゃったよ」

 用もないのに喚べとか不敬すぎるでしょ。まぁ、1目見たいという気持ちは理解できるけどさ。

「そ、それは大変だったね」
「多分この後のルウの方が大変だと思う。だってパパラチアサファイアの指輪作ったのルウだし。超龍炎光牙剣のこととか、魔法剣のこととか色々聞きたいことあるみたい」
「マジで……?」

 あー、要は魔法剣の制作技術とか、アルテア様召還のきっかけとなったパパラチアサファイアの指輪について色々聞きたいわけね。正直なんと答えてよいものか……。

「それでね、またクランに勲章が贈られることになったんだけど……」
「うん、それは凄いことだよね」
「ライミスさんがクランは解散することにしたんだって」
「なんだって!?」

 クラン解散?
 それはあまりにもショッキングな話だった。なんでそんなことに……?
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