【完結】神スキル拡大解釈で底辺パーティから成り上がります!

まにゅまにゅ

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第116話 領主様の依頼

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 次の日の朝、案の定というか予定通りというのか僕たちの泊まる宿に領主様の使いがやって来た。僕たちに依頼があるそうだ。相手が伯爵様なので当然断る選択肢は無いし、僕らも断るつもりなどない。

 そんなわけで僕らは領主邸に招かれ話を聞くことになったわけだけど、9人で押しかける訳にもいかずサルヴァンとルード、そして僕が話を聞きに行くことになった。

 領主邸はやはり大きく、その広い前庭の美しさにも驚かされた。さらに屋敷の中に入るとメイドさん達がずらりと並び、一斉に頭を下げるものだから逆に引いちゃったよ。

 やっぱし貴族様ってお金持ちなのね……。

「お待ちしておりました。どうぞそちらにおかけ下さい」

 この屋敷の執事に案内をされ応接室に通されると、この街の領主ウェディッツ伯爵が既に待っていた。伯爵の勧めるままに3人でソファに腰掛けるとウェディッツ伯爵がいきなり頭を下げる。

「ウォレンスの領主、グラン・フォン・ウェディッツだ。先ずはテオドールとリーゼロッテの身の安全が確認できたこと、そして居場所を突き止めてくれたことに礼を言う」
「いえ、俺たちごときに勿体ないです」

 身分の高い人に頭を下げられるのは正直落ち着かない。聖人は多少の権威はあっても地位はそれほどでもないのだ。貴族ですらないのだから当然だけど。

「聞いてところによると、君達はあの魔神ドレカヴァクとの戦いで大きな貢献をしたそうじゃないか。そして今回の件情報だ。そこで是非君達に2人の救出を依頼したい」
「……僕たちに、ですか?」
「そうだ。王族であれば暗部など目立たぬように暗躍する専門家がいるが、私にはいなくてね。そこで人質がいる場所を突き止めた君たちにやってもらいたい」

 そういった専門家にツテがないなら、人質がいることを突き止めた僕たちを頼るのは理解できる。責任重大だね……。

「ルウ、できそうか?」
「うーん、場所はわかっているし、方法はあるよ。うん、何とかなると思う」

 サルヴァンの問いに僕は思考を巡らせた。方法はある。場所は地下だがこっちにはリーネがいる。人質全員まとめて救ってしまうことさえ可能だろう。

「そうか、ルウが言うなら大丈夫だな。ウェディッツ閣下、その依頼引き受けたいと思います」

 僕の肯定にサルヴァンはふっ、とため息をつくと、ウェディッツ伯爵に深々と頭を下げ依頼受注の返事をする。

「そうか、ありがとう。それとここは正式な場ではない。ウェディッツ卿でかまわんよ。それで依頼料の方だが成功報酬で金貨2000枚でどうだろうか?」
「き、金貨2000枚……!?」

 その額に僕らは思わず固まる。僕らも多少潤ってはいるけど、金貨2000枚なんてポンと出せる額じゃない。お金ってある所にはあるんだね……。

「成功報酬のみだがね。貴族はメンツが大事なのだよ。大切な嫡男の救出に僅かなお金しか出さないなどいい笑いものだからね」

 貴族めんどくさい……。
 まぁ、僕らとしては身入りが大きいに越したことはない。そういうものなんだと理解しておこう。

「わかりました。ただ、お2人を無事救出しても、奴らに全面戦争をふっかける真似はしない方がいいと思います」
「ほう、それはなぜだね?」

 サルヴァンの話に興味を引いたのか、伯爵がやや身を乗り出す。特に気分を害した様子がなくて良かったけど、普通なら一蹴されそうだよね。

「俺たちは奴らの教祖アマラという男を少しですが知っています。奴はあのドレカヴァクの加護を受け、仲間だった男です。奴の背後に魔神クラスの悪魔がいる可能性もあるのです」

 サルヴァンが念の為に、と救出後の報復について待ったをかける。普通なら勇み足なんだろうけど、魔神クラスの悪魔がいる可能性は伝えるべきだろう。報復を止めたことで不興を買う可能性もあるけど、人質解放で帳消しにできる程度のことだと思う。

 御子息を助けた後に御子息に言って貰えばそれで済む話な気もするけどね。前もって伝えた方が、適任は僕らしかいないと思ってもらえるかもしれない。

「……わかった。留意しておこう」

 ……?
 あんまり驚かない?
 普通なら驚きそうなものだけど、伯爵様の反応ずいぶん淡白だな。知ってたから行動に移さなかったのかな?

「ええ、よろしくお願いします。俺たちもなるべく早く動きますので」

 少し考えすぎな気もしないでも無いが、アマラが僕たちを警戒していないとは言いきれない。何せドレカヴァクを直接滅ぼしたのは僕らだし、吟遊詩人が散々広めてくれちゃってるからね……。

「そうかね。よろしく頼む。君たちの働きに期待する」
「ええ、お任せください。必ずやり遂げて見せましょう」

 僕らは挨拶を済ませ、領主邸を後にした。大勢のメイドさんに見送られるのはちょっと落ち着かないなぁ……。

「しかし伯爵様ともなると気前がいいな。まさか金貨2000枚とはね……」
「俺も驚いてるよ。それだけ御子息が大事なんだろ。ルウ、作戦は任せていいな?」
「……うん、かまわないよ」

 僕は少し考えごとをしていたせいか、つい素っ気ない返事になってしまった。どうしても気になったことがあるのだ。

「……?    ルウ、どうかしたのか?」

 サルヴァンが僕の様子に何かを察したのか声をかける。

「あ、ごめん。ちょっと領主様の反応が気になってさ。まるで相手に爵位持ちの悪魔がいることを知っているような印象を受けたもんどからね」

 色んな可能性を考えるのは悪いことじゃないけど、やるしかないからね。余計なことは考えない方がいいかもしれない。

「まぁ例えそうでもやるしかないからな。それより作戦の方頼んだぜ?」
「うん、それは任せて。動くなら早い方がいいからね。今日の午後には動きたいかな」
「今日の午後か。随分急ぐな」
「うん、時間との戦いになるかもしれないからね」

 少なくとも他の人質は生贄用だろう。それを考えるなら早い方がいいはずだ。
 それに少しでもに対応しておきたい。

 できればそれこそ考え過ぎであって欲しいんだけどね……。

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