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第160話 アーカサスの砦攻略戦2
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「驚いたな。まさか正面から受けるとは思わなかったぞ」
開戦の場に指定した街道の先にはニーグリンドの部隊が展開して待ち構えていた。その遥か遠くに見える部隊には人だけではなく異形の悪魔の姿もある。
「そうですね」
やっぱり人もいるか。気は進まないけどやるべきことはやらないといけない。うだうだ考えるのは終わりだ。
お互いの陣形は一般にファランクスと呼ばれる槍を持った重装歩兵が幾重にも重なって前衛となり、前線を前に押し出す陣形だ。一般にこの陣形は右側に隙があり、そのため場合によっては両脇に騎馬隊がいたりする。
昔からよく使われる陣形でその後ろには大抵長弓隊がいて遠距離攻撃をする。実際こちら側の陣形はそうなっていた。しかし相手の重装歩兵の後ろに控えているのはレッサーデーモンやグレーターデーモンで、上空にはグリフォンやらワイバーンが結構な数飛んでいる。悪魔だけでなく魔獣も用意していたようだ。この編成は想定内だね。
「ワイバーンやグリフォン、ハーピーまでいるのか。長弓隊は魔獣を狙うように。魔導士部隊にはレッサーデーモンに備え人工聖霊を展開させろ」
「はっ!」
エリオット王太子殿下が伝令役の兵士に伝える。重装歩兵部隊の後ろには長弓隊がいるが、彼らには弱化の魔法が付与された矢を大量に持たせてある。わざわざ僕が直接付与しなくても、魔法研究所の協力を得て誰でも付与できるようにしてあるのだ。
そして何を弱化させるのかというと、それはずばり心臓の鼓動だ。生物である以上心臓の鼓動が弱まれば戦いを続けるのは困難になる。それは魔獣も同じで僕の弱化のかかった矢なら10本も刺さればワイバーンだって墜落するのだ。並の人間であれば一本刺されば戦闘不能になり得るし、数本も刺さらないうちに命を落とすだろう。
僕ら半神には効かないとはいえ、どこでも刺されば戦闘不能に陥る矢など凶悪な殺人兵器でしかない。この戦が終わった後はちゃんと管理してもらうしかないか。
「距離およそ800メートルか。弓の射程には程遠いな。全軍、前進せよ!」
弓矢の射程は有効射程なら距離80ほどだ。だがこの矢はとにかく刺さりさえすればいいため距離200メートルでも使えないことはない。そして魔法などもっと射程が短く、魔法の矢の射程は通常せいぜい50メートルくらいだ。ただしこれはスキルによってはいかようにも変化するし、魔法によっては長い射程を誇るものもある。
そしてこちらには遠隔発動のスキルを持つミラがいる。距離500まで縮まれば彼女の炎の嵐が届く距離だ。対魔障壁くらいは張っているだろうが熱までは防げまい。
お互いの軍が歩を進め距離を詰める中、一体の魔物がものすごい速度で近づいてきた。その魔物は魔霊魂と呼ばれる紫色の悪霊だ。しかし攻撃する様子は見られず、距離100メートルほどのところで動きを止めた。
「……侵略者どもに告ぐ。この国は偉大なる人と魔の王たるアマラ様が統べる国もである。直ちに降伏するならば良し。さもなくば一人残らず皆殺しとなるだろう」
うーん、でかい声だ。しかもやたらと脳に響くのはこいつの能力か?
もしかしたらその声そのものに魔力があるのかもしれない。
「よいな、二度は言わぬ。早々に……ぶふぁぁぁぁっっ!!」
あ、誰かの人工聖霊が審判を使って浄滅したようだ。口上の真っ最中に魔霊魂は断末魔の声をあげ、白い光に包まれて消え失せてしまった。うん、この魔法だとオーバーキルなんだけどね。
そして僕らの部隊は何事もなかったかのように歩を進める。距離600……。560、530、500!
「炎の嵐!」
ミラの声が響き渡る。そして敵の重装歩兵達の眼の前に巨大な炎が現れ、それはやがて大きな竜巻のように唸りを上げて敵の部隊を襲った。並の軍隊ならこれでほぼ壊滅的な打撃を受けるだろう。
前衛の重装歩兵達は炎に巻かれ、空に舞うグリフォンやハーピー達をも焼き尽くしているようだ。そして怒ったワイバーン等の空の魔獣達が一斉にこちらに向かって飛来する。
「矢かまえーい!」
長弓部隊の隊長の声が響き渡る。そして先走って飛んできた魔獣達に向かって矢を番えた。
「射てーい!」
かけ声と同時に無数の矢が空めがけて放たれる。素早いグリフォンでさえもその矢をの弾幕を避けきれずその身に矢が刺さっていった。そして成すすべもなく落下し、息も絶え絶えになったところを重装歩兵たちに始末されていく。
それはワイバーンでさえも同じだった。その巨軀を活かし突っ込んで来たが、刺さった矢の魔力に抗えず墜落。重装歩兵たちの槍でトドメを刺されていく。
うーん、しかし転がっている魔獣達の死体が邪魔だな。ヘタをするとそれでこちらの動きを止められかねないかも。
「飛翔。せっかくの高ランク魔獣なんで回収してきますね」
「あ、ああ。気を付けてな」
「大丈夫ですよ。強化」
速度を強化し、超ハイスピードの低空飛行で大地を滑るように移動する。今の僕の反応速度、魔力操作を持ってすれば部隊の隙間を縫っての高速移動すら可能だ。
兵士と兵士の間には一定以上の距離があるからね、そこの間をすり抜ける。ミスると大事故なんだけどこれが結構スリルがあって楽しかったりと。
「はい、収納収納! ひゃっほーい!」
僕は一気に最前線に出ると、僅かな隙間をかいくぐりながら大地に転がる魔獣の遺体を次々と収納していった。
その場でくるりと回転したり背面飛行したりと、もしかしたら踊っているようにも見えるかもしんない。
この高速移動たーのしっ!
練習して良かったわー。
とかやってたらレッサーデーモンやらグレーターデーモンが大量に攻めて来たね。
「神域への昇華!」
すかさず超広域浄滅魔法でまとめて殲滅する。今更レッサーデーモンなんて敵じゃないね。
そして僕がデーモンの群れを殲滅すると、味方の重装歩兵達が進軍の速度を上げていった。一気にケリをつけるつもりのようだ。
開戦の場に指定した街道の先にはニーグリンドの部隊が展開して待ち構えていた。その遥か遠くに見える部隊には人だけではなく異形の悪魔の姿もある。
「そうですね」
やっぱり人もいるか。気は進まないけどやるべきことはやらないといけない。うだうだ考えるのは終わりだ。
お互いの陣形は一般にファランクスと呼ばれる槍を持った重装歩兵が幾重にも重なって前衛となり、前線を前に押し出す陣形だ。一般にこの陣形は右側に隙があり、そのため場合によっては両脇に騎馬隊がいたりする。
昔からよく使われる陣形でその後ろには大抵長弓隊がいて遠距離攻撃をする。実際こちら側の陣形はそうなっていた。しかし相手の重装歩兵の後ろに控えているのはレッサーデーモンやグレーターデーモンで、上空にはグリフォンやらワイバーンが結構な数飛んでいる。悪魔だけでなく魔獣も用意していたようだ。この編成は想定内だね。
「ワイバーンやグリフォン、ハーピーまでいるのか。長弓隊は魔獣を狙うように。魔導士部隊にはレッサーデーモンに備え人工聖霊を展開させろ」
「はっ!」
エリオット王太子殿下が伝令役の兵士に伝える。重装歩兵部隊の後ろには長弓隊がいるが、彼らには弱化の魔法が付与された矢を大量に持たせてある。わざわざ僕が直接付与しなくても、魔法研究所の協力を得て誰でも付与できるようにしてあるのだ。
そして何を弱化させるのかというと、それはずばり心臓の鼓動だ。生物である以上心臓の鼓動が弱まれば戦いを続けるのは困難になる。それは魔獣も同じで僕の弱化のかかった矢なら10本も刺さればワイバーンだって墜落するのだ。並の人間であれば一本刺されば戦闘不能になり得るし、数本も刺さらないうちに命を落とすだろう。
僕ら半神には効かないとはいえ、どこでも刺されば戦闘不能に陥る矢など凶悪な殺人兵器でしかない。この戦が終わった後はちゃんと管理してもらうしかないか。
「距離およそ800メートルか。弓の射程には程遠いな。全軍、前進せよ!」
弓矢の射程は有効射程なら距離80ほどだ。だがこの矢はとにかく刺さりさえすればいいため距離200メートルでも使えないことはない。そして魔法などもっと射程が短く、魔法の矢の射程は通常せいぜい50メートルくらいだ。ただしこれはスキルによってはいかようにも変化するし、魔法によっては長い射程を誇るものもある。
そしてこちらには遠隔発動のスキルを持つミラがいる。距離500まで縮まれば彼女の炎の嵐が届く距離だ。対魔障壁くらいは張っているだろうが熱までは防げまい。
お互いの軍が歩を進め距離を詰める中、一体の魔物がものすごい速度で近づいてきた。その魔物は魔霊魂と呼ばれる紫色の悪霊だ。しかし攻撃する様子は見られず、距離100メートルほどのところで動きを止めた。
「……侵略者どもに告ぐ。この国は偉大なる人と魔の王たるアマラ様が統べる国もである。直ちに降伏するならば良し。さもなくば一人残らず皆殺しとなるだろう」
うーん、でかい声だ。しかもやたらと脳に響くのはこいつの能力か?
もしかしたらその声そのものに魔力があるのかもしれない。
「よいな、二度は言わぬ。早々に……ぶふぁぁぁぁっっ!!」
あ、誰かの人工聖霊が審判を使って浄滅したようだ。口上の真っ最中に魔霊魂は断末魔の声をあげ、白い光に包まれて消え失せてしまった。うん、この魔法だとオーバーキルなんだけどね。
そして僕らの部隊は何事もなかったかのように歩を進める。距離600……。560、530、500!
「炎の嵐!」
ミラの声が響き渡る。そして敵の重装歩兵達の眼の前に巨大な炎が現れ、それはやがて大きな竜巻のように唸りを上げて敵の部隊を襲った。並の軍隊ならこれでほぼ壊滅的な打撃を受けるだろう。
前衛の重装歩兵達は炎に巻かれ、空に舞うグリフォンやハーピー達をも焼き尽くしているようだ。そして怒ったワイバーン等の空の魔獣達が一斉にこちらに向かって飛来する。
「矢かまえーい!」
長弓部隊の隊長の声が響き渡る。そして先走って飛んできた魔獣達に向かって矢を番えた。
「射てーい!」
かけ声と同時に無数の矢が空めがけて放たれる。素早いグリフォンでさえもその矢をの弾幕を避けきれずその身に矢が刺さっていった。そして成すすべもなく落下し、息も絶え絶えになったところを重装歩兵たちに始末されていく。
それはワイバーンでさえも同じだった。その巨軀を活かし突っ込んで来たが、刺さった矢の魔力に抗えず墜落。重装歩兵たちの槍でトドメを刺されていく。
うーん、しかし転がっている魔獣達の死体が邪魔だな。ヘタをするとそれでこちらの動きを止められかねないかも。
「飛翔。せっかくの高ランク魔獣なんで回収してきますね」
「あ、ああ。気を付けてな」
「大丈夫ですよ。強化」
速度を強化し、超ハイスピードの低空飛行で大地を滑るように移動する。今の僕の反応速度、魔力操作を持ってすれば部隊の隙間を縫っての高速移動すら可能だ。
兵士と兵士の間には一定以上の距離があるからね、そこの間をすり抜ける。ミスると大事故なんだけどこれが結構スリルがあって楽しかったりと。
「はい、収納収納! ひゃっほーい!」
僕は一気に最前線に出ると、僅かな隙間をかいくぐりながら大地に転がる魔獣の遺体を次々と収納していった。
その場でくるりと回転したり背面飛行したりと、もしかしたら踊っているようにも見えるかもしんない。
この高速移動たーのしっ!
練習して良かったわー。
とかやってたらレッサーデーモンやらグレーターデーモンが大量に攻めて来たね。
「神域への昇華!」
すかさず超広域浄滅魔法でまとめて殲滅する。今更レッサーデーモンなんて敵じゃないね。
そして僕がデーモンの群れを殲滅すると、味方の重装歩兵達が進軍の速度を上げていった。一気にケリをつけるつもりのようだ。
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◇空色蜻蛉の作品一覧はhttps://kakuyomu.jp/users/25tonbo/news/1177354054882823862をご覧ください。
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