【完結】神スキル拡大解釈で底辺パーティから成り上がります!

まにゅまにゅ

文字の大きさ
162 / 188

第159話 アーカサス砦攻略戦1

しおりを挟む
 あれから半年程が経ち、僕らはニーグリンドとエストガレスとの国境近くにあるロウェン大平原に陣取っていた。なぜかっていうとエストガレス王国がニーグリンドに対して宣戦布告を行ったからだ。

 そしてエリオット王太子や将軍等の重鎮がテントの中で会議を開いているんだけど、そこには僕とサルヴァンも参加していた。

「アーカサスの砦には悪魔らしき人影もありますね。恐らく爵位持ちの悪魔もいると思われます」

 砦の様子を見に行っていたミラが報告する。彼女の遠視ウィザードアイがあれば砦の見える位置まで移動する手間もない。この陣地から砦までの距離はおよそ10キロほどだ。その距離であれば3キロも進めば射程に入ることになる。

「そうか。レッサーデーモンなんかはいないのか?」
「この場にはいませんが、戦場で呼び出すと思われます。聖霊の中には神域への昇華ディバインレムルを使えるものも数多くいますのでレッサーデーモンクラスならどうということはないでしょう」

 王太子殿下はレッサーデーモンの存在を警戒しているようだけど、こちらには多くの人工聖霊がいる。レッサーデーモン程度は瞬時に殲滅可能だろう。そうなると敵は人間の兵士と爵位持ちの悪魔となる。

「こちらの提示した開戦時期は明後日だ。だが向こうもこちらがここに陣取っているのは把握しているだろうな。果たしてあいつらが開戦時期を守るのか?」

 戦争にはルールがある。宣戦布告の際に日取りと場所を指定するんだけど、破ったから罰則があるわけじゃない。ただ他の国から卑怯者のそしりを受け社会的に非難されるだけだ。世界中を敵に回しているニーグリンドにしてみれば痛くも痒くもないだろう。

「どうでしょうかね? 僕らとしては敵の目をこちらに向けて時間を稼ぎたいんですけどね。それだったらさっさと開戦して戦果を挙げるのもありだと思います」
「なるほど、確かにその方がこちらに注目せざるをえんな」

 アマラ達の対処も必要だがクリフォトの木を放置するわけにはいかない。アマラが注目しているのは間違いなく僕らのはずだ。であればこの場で僕らの存在を示して奴の注意をこちらに向けさせることができるだろう。

 その間にライミスさん達がクリフォトの木を破壊するのだ。クリフォトの木は元エスペラントの聖都にあるのがわかっている。だったら破壊するしかないよね?

 ただ公爵級の悪魔が守っている可能性もあるからね。ライミスさん達だけじゃなく筋肉の誓いの人達と教会のエクソシスト達、そして自律型の人工聖霊も同行する予定だ。王国が保有している対悪魔の戦力としては最強クラスとなる。

 最悪なのはニーグリがクリフォトの木を守っている場合だけど、その時のための逃げる秘策はちゃんと用意してあるのだ。守っていなくても破壊したのに気づかれたら襲ってくる可能性もあるわけだし。

「ええ。予定ではライミスさん達が聖都に向かうのは一月後ですね。それまでは僕らも負けを許されません」

 飛空艇を使えば1日で着く距離だ。しかし目立つためエスペラント教国領に入る前に降りてそこからは馬車になる。

 発つのを一ヶ月後にしたのはこちらが攻めてる間に攻め込まれる危険性を考慮してのことだ。相手は悪魔なのだからこちらの目をかい潜って攻め込まれるかもしれないからね。僕がアマラならそうするだろう。

「そうだな。ところでの開戦予定場所はここから3キロ程先の街道になるが、どう戦うべきだと思う?」
「存在感を示すなら力押しですかね。最初にお互いの部隊がずらりと並ぶので、いきなりリーネの深淵気発衝アビスマッシャーで度肝を抜いてやればいいと思います」

 何でも開戦のマナーらしく、指定した場所にお互いの軍が並び、お互いの存在を確認してから戦が始まるそうだ。その後は街や砦の奪い合いになるわけだけど、最初に負けると当然攻め込まれる立場になるため、多くの場合はそこで停戦交渉になることが多いという。 

 だけど今回はそうならない。僕らの勝利条件は魔王ニーグリを倒し、人間をやめたアマラも倒し、そしてクリフォトの木を滅ぼさないといけないのだ。これはもはや滅ぼすか滅ぼされるかの戦いなのだから。

「おお、あの究極魔法の一つか、それはいいな。確かに敵側の目をこちらに向けなければならんからな。派手なやつで度肝を抜いて一気呵成に攻め落とすとしようか」

 殿下はニマニマしながら顎を触り愉快そうだ。こちらに目を向けるためとはいえ、宣戦布告の際に僕らが参戦することをわざわざ告げてあるからね。最初は様子見かそれとも凶悪な戦力を回してくるか。それを見極める必要があるのだ。

「攻め落とした後は砦に結界を張ります。あいつらの戦力の中心は悪魔になるはずですからね。疲弊を狙うなら大量のレッサーデーモンを逐次投入してくるでしょう」
「なるほど、通常の戦とは勝手が違う、というわけですな」
「そうなりますね。人間相手の常識は通じないと考えていいと思います。レッサーデーモン程度であれば対策済みですけど」

 とはいえ、人工聖霊が使える魔法は実はそんなに多くない。姿形は自由でも能力に関しては元にした魔法と魔石に左右される。神域への昇華ディバインレムルを元に作るなら最低でもオーガロードに相当するレベルのモンスターの魔石が必要だ。

 しかしそんなモンスターがポコポコ存在しているわけはない。となるとそれらを相当数集めるためにはダンジョンとなる。結局そこでもザルス様の協力が必要不可欠だったのだ。

「つまり数で押される心配は薄い、ということですな。ですが相手は曲がりなりにも魔王の軍隊ですからな。個の力は侮れませぬゆえ油断……、失礼。魔王ニーグリの恐怖を直接知る貴方がたに言うセリフではありませんでしたな」
「いえ、将軍。お気持ちごもっともでございます」

 僕の話を聞いても油断しないあたり将軍はさすがだと思う。王国の魔導士の中には人工聖霊と契約して勝った気になってる人もいたからねぇ……。そういう奴から死んでいくんだと将軍様に怒鳴られてる人もいたな。

「……もうじき開戦か。悪魔相手だけなら楽なんだがな」

 サルヴァンがボソッとつぶやく。これはニーグリンドという国家相手との戦争でもあるため、敵は悪魔だけじゃない。

 人を殺すのが初めて、というわけではないけどやっぱり気分のいいものじゃないし望んでやろうとは思えないのだ。

 多くの人が死ぬ。
 そしたらまた僕達みたいなストリートチルドレンが増えるだろう。

 それがたまらなく嫌だ。
しおりを挟む
感想 56

あなたにおすすめの小説

アルフレッドは平穏に過ごしたい 〜追放されたけど謎のスキル【合成】で生き抜く〜

芍薬甘草湯
ファンタジー
アルフレッドは貴族の令息であったが天から与えられたスキルと家風の違いで追放される。平民となり冒険者となったが、生活するために竜騎士隊でアルバイトをすることに。 ふとした事でスキルが発動。  使えないスキルではない事に気付いたアルフレッドは様々なものを合成しながら密かに活躍していく。 ⭐︎注意⭐︎ 女性が多く出てくるため、ハーレム要素がほんの少しあります。特に苦手な方はご遠慮ください。

うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました

akairo
ファンタジー
「ごめんなさい!貴方が死んだのは私のクシャミのせいなんです!」 帰宅途中に工事現場の足台が直撃して死んだ、早良 悠月(さわら ゆずき)が目覚めた目の前には女神さまが土下座待機をして待っていた。 謝る女神さまの手によって『ユズキ』として転生することになったが、その直後またもや女神さまの手違いによって、『レベル9999』と職業『譲渡士』という謎の職業を付与されてしまう。 しかし、女神さまの世界の最大レベルは99。 勇者や魔王よりも強いレベルのまま転生することになったユズキの、使い切ることもできないレベルの使い道は仲間に譲渡することだった──!? 転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。 ※9月16日  タイトル変更致しました。 前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。 仲間を強くして無双していく話です。 『小説家になろう』様でも公開しています。

巻き込まれ召喚・途中下車~幼女神の加護でチート?

サクラ近衛将監
ファンタジー
商社勤務の社会人一年生リューマが、偶然、勇者候補のヤンキーな連中の近くに居たことから、一緒に巻き込まれて異世界へ強制的に召喚された。万が一そのまま召喚されれば勇者候補ではないために何の力も与えられず悲惨な結末を迎える恐れが多分にあったのだが、その召喚に気づいた被召喚側世界(地球)の神様と召喚側世界(異世界)の神様である幼女神のお陰で助けられて、一旦狭間の世界に留め置かれ、改めて幼女神の加護等を貰ってから、異世界ではあるものの召喚場所とは異なる場所に無事に転移を果たすことができた。リューマは、幼女神の加護と付与された能力のおかげでチートな成長が促され、紆余曲折はありながらも異世界生活を満喫するために生きて行くことになる。 *この作品は「カクヨム」様にも投稿しています。 **週1(土曜日午後9時)の投稿を予定しています。**

外れスキル?だが最強だ ~不人気な土属性でも地球の知識で無双する~

海道一人
ファンタジー
俺は地球という異世界に転移し、六年後に元の世界へと戻ってきた。 地球は魔法が使えないかわりに科学という知識が発展していた。 俺が元の世界に戻ってきた時に身につけた特殊スキルはよりにもよって一番不人気の土属性だった。 だけど悔しくはない。 何故なら地球にいた六年間の間に身につけた知識がある。 そしてあらゆる物質を操れる土属性こそが最強だと知っているからだ。 ひょんなことから小さな村を襲ってきた山賊を土属性の力と地球の知識で討伐した俺はフィルド王国の調査隊長をしているアマーリアという女騎士と知り合うことになった。 アマーリアの協力もあってフィルド王国の首都ゴルドで暮らせるようになった俺は王国の陰で蠢く陰謀に巻き込まれていく。 フィルド王国を守るための俺の戦いが始まろうとしていた。 ※この小説は小説家になろうとカクヨムにも投稿しています

異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

りゅう
ファンタジー
 異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。  いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。  その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。

異世界転生したので森の中で静かに暮らしたい

ボナペティ鈴木
ファンタジー
異世界に転生することになったが勇者や賢者、チート能力なんて必要ない。 強靭な肉体さえあれば生きていくことができるはず。 ただただ森の中で静かに暮らしていきたい。

異世界で世界樹の精霊と呼ばれてます

空色蜻蛉
ファンタジー
普通の高校生の樹(いつき)は、勇者召喚された友人達に巻き込まれ、異世界へ。 勇者ではない一般人の樹は元の世界に返してくれと訴えるが。 事態は段々怪しい雲行きとなっていく。 実は、樹には自分自身も知らない秘密があった。 異世界の中心である世界樹、その世界樹を守護する、最高位の八枚の翅を持つ精霊だという秘密が。 【重要なお知らせ】 ※書籍2018/6/25発売。書籍化記念に第三部<過去編>を掲載しました。 ※本編第一部・第二部、2017年10月8日に完結済み。 ◇空色蜻蛉の作品一覧はhttps://kakuyomu.jp/users/25tonbo/news/1177354054882823862をご覧ください。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

処理中です...