【本編、番外編完結】血の繋がらない叔父にひたすら片思いしていたいのに、婚約者で幼馴染なアイツが放っておいてくれません

１３ー２

指輪を捨てたりこんなことしなくても、私はこれから先ずっと遼平くんの側にいる。
他の誰のものにもならない。

言葉にすると永美ちゃんに聞こえてしまうような気がして。
でも、誓いに似たこの想いを何とかして遼平くんに届けたい。

その一心で遼平くんの口内に、そっと舌を忍ばせれば、すぐに私のより厚く長い舌が絡みつき、逆に私の口の中が遼平くんの舌でいっぱいになった。

「んっ、ふ、ハ…」

遼平くんから伝わってくるのは渇望で、もっと、もっと、と貪欲に求められる。
一度捨てた分の恋心まで引っ張り出して、全力で応えた。

すると、突然唇が引き離された。

「…ダメだよ、ちーちゃん」

まさかのダメ出しに、頭が真っ白になる。

…え？
何で！？
私、何か変だった！！？

「これ以上されたら嬉し過ぎて帰したくなくなる」

心底困り果てた顔でそんなことを言われ、不安が一気に愛おしさに変わる。

８年前はこんな日が来るなんて想像すらできなかった。
しちゃいけないとさえ思っていた。

夢じゃないと確かめたくて、両手を伸ばして遼平くんに抱きついた。


「コラ！ちーちゃん、ダメだって。本当に帰せなくなるから」

あまりにたじろいで見せるので、仕方なく手を離すと、遼平くんは襟を正して、咳払いした。

「昨日は…どうしても歯止めが効かなくなっちゃったけど、ちーちゃんとのことはちゃんとしておきたいんだ。だから、こういうことは、ちゃんと義兄にいさんに僕達の関係を許してもらうまでしない」

誠実な遼平くんらしい。
釣られて神妙な顔で頷くと、続く言葉に驚かされた。

「ただ…実は、ちーちゃんには言ってなかったんだけど…元々あったちーちゃんのSNSも、なりすまし犯のSNSも、犯人とeternoの、ごく一部の人間にしか公開されないように手を回してあったんだ」

「えっ？そんなことできたの！？」

「うん。その手のことに詳しい人間に頼んだ。犯人を特定するのも大事だけど、ちーちゃんと会社を守る為には、野放しにはできなくて」

それってつまり…

「だから、義兄にいさんはまだ僕たちの関係を知らないんだ」

拍子抜けのような、ほっとしたような。
帰ったらすぐにしつこい程の質問攻めあうことを覚悟していた。

ところが、ほっと胸を撫で下ろしたのは束の間。

「安心してるところ悪いんだけど、僕は少しでも早く義兄にいさんに僕たちの事を認めて欲しい。そして、ちーちゃんさえ良ければ…一緒に暮らしたいと思ってる」