【本編、番外編完結】血の繋がらない叔父にひたすら片思いしていたいのに、婚約者で幼馴染なアイツが放っておいてくれません

恩田璃星

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13-3

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一緒に…暮らす?
私と遼平くんが!?

思ってもみない提案に、気持ちが天まで舞い上がる。
でも、それを引きずり下ろしたのは、他でもない我が儘で嫉妬深いもう一人の自分だった。

“暮らすって一体どこに?”

そんなこと、聞くまでもない。
永美ちゃんとの思い出がちりばめられた、このマンションだ。

脳裏に、今朝の晴臣に言われた『絶対後悔する』という声まで蘇って、不安を煽られそうになり、必死で追い払う。

私のことを好きだと言ってくれた。
私のことが必要だと言ってくれた。
目の前でリング思い出の品も捨ててくれた。

もう十分なはず。
遼平くんの気持ちも疑っていない。
これ以上、一体何を望むというの?

喉元まで出かかった言葉を、何事もなかったように飲みこむ。

「…だから、色々あって疲れてるところ申し訳ないけど、ちーちゃんを送ってそのまま、義兄にいさんに報告してもいいかな?」

大丈夫。
私たちは、まだ始まったばかり。
これから二人で過ごす時間が、この不安も消してくれる。

私は、そう信じる。

「…嬉しい」

微笑んだ私を、今度は遼平くんが抱きしめた。


結局、週末は両日とも父が出張で不在だったので、二人のことを報告するのは後日改めて、ということになった。

遼平くんを見送ってから部屋に戻り、ずっとオフにしていたスマホの電源を入れると、おびただしい数の着信メッセージが届いた。

犯人が捕まる前のSNSの更新通知より遥かに見るのが怖い。

晴臣との婚約解消からまだ一日と経っていないなんて。
時間の流れが酷く遅く感じる。

ごめん、と心の中で謝ってから一括削除した。



そして、月曜日。
今日はいよいよ嫌がらせの犯人が分かってしまう。

いくらでもチャンスはあったのに、遼平くんに聞かなかったのは、知りたい気持ちと知りたくない気持ちが同じくらい強かったから。

どうにも落ち着かなくて、いつもより早く出社した。

まだ誰もいない販売促進部のフロアは、いつもと何も変わりない。
もしかして、犯人はポスター撮りのメンバーじゃなかった…?

そんな都合の良い考えは、ドアの開く音が掻き消した。
出社してきたのは飛鳥先輩だ。
いつもよりラフな格好で、手には大き目の箱を抱えている。

「お、おはようございます」

緊張しながらもいつものように挨拶をしても、返事は返ってこなかった。
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