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閑話3.お茶会
しおりを挟むお茶会の場は女性にとって人脈を広げる場としても重要な物だった。
主催者側のお茶会にはできるだけ高位な貴族を招待して喜んでもらうのが重要だった。
しかし、ここで問題な点がある。
自分よりも高位貴族令嬢や夫人が途中で退席した場合、お茶会は失敗と判断される。
途中退席される程屈辱な事はないが、用意された席に空席が多いのはもっと良くなかった。
「これは…」
ステンシル侯爵家が仕切るお茶会にて、席が空いてしまっていた。
「どうしてこんなにお客様が少ないの!」
「奥様、先ほどメンデル伯爵家の方も本日は不参加するとの連絡が」
「なんですって!」
普段なら満席のお茶会の席は半分以下しか招待客は来ていなかった。
参加しているのは伯爵以下の家がほとんどで、人脈を広める程の家柄でもなかった。
「王妃陛下は…」
「高熱で臥せっていると」
侍女の言葉に招待客はヒソヒソ話す。
「やっぱり、あの騒動の事かしら」
「聞けば王太子殿下も体調を崩されたとか。一番の側近を失ったのですからね」
「王妃陛下もユーリ様を信頼しているだけあって、お辛いでしょうね」
何所でも噂好きな夫人はいるもので、聞こえないように話しているつもりでも本人の耳にはしっかり聞こえていた。
「何より、お茶会で王妃陛下に次ぐ影響力を持つウィンディア辺境伯爵夫人が不参加だもの。辺境貴族は参加しませんわ」
「まぁ、騎士団の将軍でもあらせらるウィンディア辺境伯爵に遠慮して騎士を夫に持つご夫人も当然不参加ですわ」
「今になって考えれば恐ろしいですわね?我が国の聖騎士を侯爵家は潰そうとしたのですから」
何気ない言葉に、他の招待客も過敏に反応する。
そして…
「申し訳ありませんが私、気分がすぐれないので失礼しますわ」
「えっ…」
「私も」
「娘の顔色が悪くて」
一人途中退席をしたと思うと、続いてまた一人。
また一人と去って行くのを止める術もなく。
そのまま立ち尽くすしかなかった。
お茶会で招待客が途中で退席した噂はすぐに出回ってしまい、悪い噂が拡散されて、お茶会でも立場が悪くなる一方だった。
その所為で高位貴族だったが、今では爪はじき状態が続いた。
今までステンシル侯爵家に頭を下げていた貴族はそろって距離を保ちだした頃。
一通の手紙が届いた。
その内容は――。
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