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21.策士~ビアンカside
しおりを挟む社交界とは恐ろしい場。
些細な噂が命取りになり身分が高ければ高い程、その噂を他人が悪く流していく。
真実なんて関係ない。
少しでも疑惑があれば、噂好きの奥様達はネタにするのだから。
他人が蹴落とされるのを見て喜ぶ人間。
少しでも自分が上に行きたいが為に他人を追い落とすのだ。
だから高位貴族は出来る限り、醜聞を避けなくてはいけない。
下級貴族でも下手にでしゃばればどんな目に合うか解ったものではないので、できるだけ大人しくするのが賢い選択。
どんなに噂を流されても反論せず黙って笑顔で対応。
そして最後に余裕の態度を見せて反撃する時を待つのが基本よ。
そういう意味でもアイリスは貴族令嬢としてかなり聡明と言えるでしょうね。
彼女は家族から冷遇されても顔に出さず渡っていたし、罵倒されても大人しくしていた。
下手に敵を作らない方が良いと判断したのでしょう。
でも他の姉妹はダメね?
姉は自尊心が強く、自分の考えを他人に押し付けているし。
妹は思った事を口にし出して無神経。
噂では婚約話が白紙になったと聞く。
当然だわ。
長女の婚約話がなくなってすぐに次女の婚約者が長女の婚約者になった事を触れ周っていたのだから。
良識のある方なら、思うでしょう。
姉妹同士で爵位の座を奪い合おうとしているのかと。
姉は妹を守り、妹は姉を敬い支えることができない家は家督争いをする危険性が強い。
婚約者だった、王妃陛下の甥に当たるアーベル様は病弱な姉君を気遣う優しい方だから当然ね?
例え次女が凡庸だとしても、貶したり嘲笑い、他人の前で悪口を言えば自分の評価が落ちるなんて解りそうなのに解らないなんて馬鹿だわ。
「社交界で糾弾された所を見てやりたかったわね」
「奥様…」
「小説に出てくる悪女のように扇を片手に高笑いして見たかったわ…でも、ここから彼女をもっと追い詰める計画があるからできないわね」
「今でも十分悪女です」
「あーら?私は何もしてなくてよ」
私自身は何もしていないわ。
周りが勝手に勘違いをして、彼女達を悪にしてくれた。
私は気分が優れず、領地に引っ込んでいるだけ。
病気だなんて一言も言っていないし、服装も地味な服装にしているけど。
コルセットをしないでいいエンパイアドレスを着ているだけ。
でも第三者は勝手に勘違いしてショックのあまり社交界に顔を出せないと思い込んでいるのだから。
「さてと次の計画に進まないと」
「はい」
このままではすませないわ。
この私を怒らせたんだから。
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