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97.後始末
しおりを挟む日々の仕事に追われながらも変わらない物もあれば変わった物もあった。
風の噂では、元ステンシル侯爵家一家は平民となり、それずれ別々の労働場所に送られたとか。
領地の全てを手放しても借金の返済は難しく、彼等は永久労働を強いられるも。
これまで自分で働くなんてことをしたことがなかったので、その日の内に逃げ出したと報告が来たが。
「何というかしぶといな」
「彼等に学習能力という文字はありません。ついでですが」
「何だ?」
「脱走して海を渡ったどうです」
そこまでの根性があるなら、真面目に働けばいい物を。
最初の三か月間を耐えれば最悪な環境から抜け出せる可能性もあったのだろうが、逃げ出せばもう救いはないだろう。
逃げ出した罪人と言う事で、罪は加算されてしまう。
「本当に馬鹿だろ」
「まぁ、おかげで奴隷以下の立場になりますね」
「見せしめにはなるだろうがな…」
もう二度と会うことはないだろうが、最後の最後まで色々と迷惑な一家だったな。
「彼等は国が滅んでも生き残りそうだな」
「ええ、生命力だけはありますね」
ジャック、本当にお前は彼等に恨みを持っているのだろうな。
「それはそうと殿下」
「何だ?」
「来月から奥様が視察に向かうそうですが、アイリス妃も同行することになってますが、大丈夫ですか?」
「は?」
聞いていないぞ?
何でアイリスを連れて行くんだ!
「奥様の新たな帝国を作る計画に、アイリス様にご協力いただきたいそうで…アイリス様は語学も堪能ですのでちょうど良いとか」
「何でだ!俺も…」
「失礼します殿下」
タイミングよくロビンが執務室に入って来る。
「追加の書類をお持ちしました。それからこちらが終わった後の追加のスケジュールですが」
「何だ!まるで長い賭け地軸か!」
「本日から一か月は執務室に缶詰になりますので」
「じゃあ、視察の同行は…」
「無理でございます」
表情一つ変えずに言うんじゃない!
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嫌がらせか、俺を同行させないつもりだ!
「大事なご公務でございます。何より本日向かうお国はバーミルですので」
「ちょっと待て!バーミルって…国王が側室を五十人抱えている女好きか!」
「はい」
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「まぁ、がんばしましょう」
「嫌味だな!」
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