聖女でなくなったので婚約破棄されましたが、幸せになります。

ユウ

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第一章

26歪んだ心①

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絶望しながら祈りを強制させられたミーシャは後がなかつた。


「助けて…助けてジュリエット!」


祈りながらもジュリエットに怒りをぶつけていた。



「ねぇ、私の何の何がダメだったのよ」



ジュリエットと変わらない時期に聖女として王宮に召し上げられたが、評価されるのはジュリエットだった。

辺境地ではあるが貴族令嬢であるジュリエットと、貧しい平民の娘のミーシャは対照的だった。


「どうしてなの。何時も…何時もジュリエットばかり!」


聖女になる前は貧しい日々を送っていた。
ある日王宮から迎えがいて村人達は大喜びだった。

訳もわからず聖女に祭り上げられ、知らない場所に連れて行かれた後は何もかも解らず、平民で児の読み書きもできなことから馬鹿にされ蔑まれていた。


そんな中で出会ったのがジュリエットだった。
真っ白な肌に銀髪におとぎ話のお姫様のようだった。


何もかも私と違って。
綺麗で優しくて私と正反対だった。

私のような平民で貧しい家で生まれた人間でも同じ視線で見てくれた。


その一方で惨めな気分になった。
父親は伯爵で決して裕福ではないというけど、恵まれて幸福だった。


望まない形で聖女になったのは同じだった。

でも全然違う。



領地から彼女をおいかけて来てくれた恋人。
父親もなんとかして面会に取りつけようと必死だった。


「ジュリエット、許してくれ」


「お父様…」

「私が無力なばかりにこんな。だが、必ずお前を聖女から解放できるようにする」


聖女となるのは誉。
誇らしい事なのに、ジュリエットの父親は違っていた。


「聖女等望んでいない。私はお前に幸せになって欲しかった。好いた人と一緒になってそれで」

「私は大丈夫です」



どうして…


私は聖女になる以外道はなかった。



「ジュリエット!」


「アルフレッド」


なのにどうして。


「必ず君を迎えに行くから」


「アルフレッド!ダメよ、殿下に逆らったら」

「絶対に諦めない。君を鳥籠から出して見せる」


何故私には誰もいないの?


黒く染まる感情。
どうしようもない劣等感に苦しみながら、聖女の役目を上手く果たせない私は。


「結界も維持できないようでは聖女失格ですよ」


「ジュリエット様は簡単にできましたよ」

「やはりジュリエット様は違うのか」


嫌よ…


そんなの嫌!


何もかも持っているジュリエットに負けるなんて。


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