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第一章
27歪んだ心②
しおりを挟む妬みの心が日に日に強くなる中、ミーシャは聖女としての役目が果たせずジュリエットに泣きついた。
「助けてジュリエット。このままじゃ私は聖女でなくなるわ」
「そんな焦る事はないわ」
「でも私の立場が悪くなったら居場所が…お願い助けて」
ジュリエットは追い込まれるミーシャを見てアドバイスをするも。
「無理よ、時間が無いわ。お願い結界を敷いて」
「でも、私がしても解決に」
「領民が苦しむの!お願い!」
ジュリエットは代わりに結界を敷く事は解決にならないのでミーシャに自分でできるようにと教本や、祈りの仕方を見直してはとアドバイスをするも。
ミーシャはまどろっこしい事を嫌った。
そして卑怯にも領民が苦しむ、罪のない子供が苦しんでいると訴えた。
ジュリエットは断れずにいたので、代わりに結界を敷くことになった。
長期的な見方をして、聖女の修行をしようと声をかけられるも。
適当に断り、結界の維持を押し付けるようになった。
「ジュリエット。殿下と視察に行くことになったから結界をお願い」
「ミーシャ、だけど自分で結界を維持できるようにならないと後から大変よ」
「意地悪な事を言わないで!大事なお役目なのよ…貴女がしてくれればいいじゃない」
「解ったわ」
不満そうな表情をするジュリエットにミーシャは苛立ちを感じるようになった。
(引き受けてくれればいいのに…物わかりが悪いわね!)
結界を敷くのは簡単な事だと勘違いし、仕事を押し付けるようになり始めたミーシャはジュリエットを見下し始めた。
結界を敷いて祈りを捧げるだけの聖女。
美しく着飾る事もせずに質素な生活を送るジュリエットを軽蔑し始めた。
同じ聖女というのは恥ずかしい。
見っとも無いと思い始め、陰でジュリエットの悪い噂を流すようになっていた。
「最近ジュリエットが祈りばかりしているらしいな」
「困ったものですわ。折角殿下が長氏下っているのに無下にするなんて」
「ああ、君を見習ってくれればいいのに」
「ジュリエットは内向的なので…同じ聖女として困ります」
ジュリエットに対して不満を零すオルヴィスを見ると嬉しくなり、賛同して同じように悪く言うようになった。
本人の前では仲の良い友人の振りをして、ジュリエットと対立するイライザに苛められれば泣きつき助けを求め卑怯な手を使う事が得意になり、弱弱しい振りをする自分を可愛いと思うようになった。
その結果祈りの力が弱まっているのにも気づかず。対するジュリエットは聖女の力が強くなってしまったのだった。
聖女の力が衰えだした事をジュリエットの責任にして歪んだ心は酷くなったのだった。
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