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第二章
28ルーアンの眼力
しおりを挟むルーアンは結界や封印の能力はないがその代わりに眼力の力が他の聖女よりも強かった。
「頼むぞルーアン」
「はい!」
眼力により人に見えない物が見える。
その能力は時として物理的攻撃よりも効果的だった。
「見えました。鏡に映します」
鏡に映ったのは喉の部分だった。
「成程、そういう事ね?」
「竜の弱点は喉の逆鱗だ。喉の部分を狙う必要があるな」
「はい、ですが…暴れる可能性があります」
一気に片付けないと、王宮も火の海の状況下だった。
「ルーアン、貴女が射るのよ」
「え?私が?」
聖魔法はジュリエットの方がずっと強いにも関わらず、ルーアンに任せたのだった。
「私の血を」
「ジュリエット!」
金の矢にジュリエットの血をたらす。
「これで私の力で射貫けるわ…私よりも腕は貴女の方がいいわ。一発で決めて」
矢には聖魔法を込めているがチャンスは一度だけだった。
「ルーアン、頼んだぞ」
「はい!」
イライザを射った後が勝負になる。
その後にこの場に封印するしかないのだから。
「アルフレッド!」
「急いでくれ!」
聖剣を持ってしても時間を長く稼ぐのは無理だった。
「ルーアン、イライザを射った後に結界を敷くわ。タイミングを見誤らないで」
「解ったわ」
ルーアンは矢を受け取り、イライザに狙いを定める。
「アルフレッド!」
「ああ!」
ルーアンが狙いを定め、ジュリエットが合図を送る。
「覚悟!」
ルーアンの射った矢がイライザの喉の部分に当たる。
「ぎゃあああ!」
悲鳴が聞こえ、イライザは苦しむ。
足元に結界を敷かれ、ジュリエットは祈りを捧げる。
「悪しき魂よ。ここに封印する!」
光の線が描かれ、まるで悪魔を囲い込む。
イライザの体から黒い瘴気が外に出て行き悪魔が姿を見せる。
「おのれぇ!聖女!」
「正体を見せたわね悪魔」
「邪魔をするな!」
実態のない悪魔は既に身動きはできなかった。
光の鎖に縛られ、かつてか聖女が火あぶりにされたかのようだった。
「これで終わりよ」
「無駄だ。私を封じようとも何度でも人間の悪意が消える事はない」
悪魔はジュリエットに囁く。
「人は愚かだ。お前も見たであろう」
「ジュリエット!耳を貸すな!」
信じていた人間に裏切られ、心を壊した聖女達。
ジュリエットも国に尽くして来たのに最後は冤罪により罪人とされた。
「そうね」
「ジュリエット!」
悪魔のいう事はすべて正論だった。
ジュリエットの心変わりを感じ取ったのか、聖魔法の力が弱まり笑みを浮かべた瞬間。
「そんな戯言聞くわけないだろう!」
拳を振り上げた。
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