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第二章
29聖女の鉄拳
しおりを挟む「勝手な事を言うんじゃないわ」
悪魔はジュリエットの鉄拳を受け、そのまま床に叩きつける。
「嘘…」
「封印でもなく、浄化でもなく拳で」
「ジュリエット。女王陛下に似て来たな」
女帝と呼ばれる義母はその昔は武術を極めていた。
武道会にこっそり参加する程の腕っぷしを持っていたのだった。
「一つ教えてあげる」
「何を…」
手で触れることができないのに胸倉を掴まれる。
「何で胸倉を掴めるんだ」
「肉体から切り離されているんだが、恐らく拳に聖魔法を込めているんだろう」
「そんな解説はあまり聞きたくなかったのですが」
リアンの説明に残念な気持ちになるルーアンは聖女とは何かと改めて思い知る。
「悪魔の封印はいいのか」
「大丈夫です。既に準備は整っています。ですから最後のお説教を」
誰もジュリエットを止める事は出来なかった。
既に殴られて消えかかっている悪魔に最後のお説教をして悪魔は浄化された。
「なんというか…いいのか」
「言うな」
レインはぶっ飛び過ぎた聖女の浄化方法を末代まで伝える事はしてはいけないと思った。
真実が全て良いものとは限らない。
知らない方が幸せと言う事もあるのだから。
「王宮が崩壊するわね」
「ええ、その前にそこでくたばっている二人はどうするの?」
既に王宮は崩壊している。
早く脱出しないとダメなのだが、悪魔を封じた事で体を乗っ取られた二人は元に戻っている。
「放置したいけど…このまま楽に死なせるのは嫌ね」
「「「え!」」」
腹黒い笑みを浮かべながらボキボキと関節を鳴らす音が聞こえる。
「正直この二人にはこれ以上無い程怒っているのよ?殴っても怒りは消えないの…どう料理してあげようかしら?」
「ジュリエット…」
この時だけはアルフレッドも恐れを抱いていた。
「さぁ起きなさい!優しく運んでもらえる思ったら大間違いよ!」
手始めにイライザにビンタをかます。
「痛い…やめ」
「ほら起きなさい!私は元聖女だから手加減してあげるわ。早く起きないと酷いわよ」
(((十分酷い!)))
気絶して身動きが取れない人間に何度もビンタをするジュリエットの方が大魔王に見えた。
「なんて恐ろしい人」
「ああ、恨みがあるからな」
ルーアンの事にアルフレッドはうんうんと頷く。
リアンとレインは見たくないのか視線を逸らせている程だった。
そしてその後、頬を殴られ過ぎてしまったイライザは罪人として捕らえられ、王宮から無事脱出した一行はというと。
「我が娘よ!迎えに来たぞ」
「女王陛下…」
赤竜を従えたジュベリアンにが迎えに来ていた。
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