聖女でなくなったので婚約破棄されましたが、幸せになります。

ユウ

文字の大きさ
62 / 72
第二章

30出迎え

しおりを挟む



女王陛下自ら迎えに来るなんて誰が想像しただろうか。


「お母様」

「ジュリエット、良くぞ成し遂げた!」


「ありがとうございます」


ジュリエットを強く抱きしめるとふと視線を向けたのは顔が膨れて誰か解らなくなっている二人だった。


「これが元聖女?女神は何故こんな不細工な女を選んだのか」


「女王陛下…」

「アルフレッド、私は美醜にこだわりはないが。これはないだろ」


ジュリエットは視線を逸らせた。
二人の顔が解らない程殴ったのは自分なので詳しく話すのは止めて置こうと思ったのだ。


「ジュベリアン女王陛下」

「むっ、第二王子のリアン殿か」


「はい。この度は…」


リアンは頭を下げ今回の事を詫びようとしたが。


「良い。そなたに非があるわけでもない。だが、落とし前はつけてもらう」

「お待ちください」

「控えよ。そなたは誰に向かって口を挟んでおる?何様じゃ」


「申し訳ありません!」


ルーアンは勢い余って前に出てしまったが相手は他国の女王陛下で女帝と呼ばれる人物なのだ。


「私は落とし前をつけよと言ったのじゃ。愚王に代わり国を治めよと」

「え?」

「陛下…それは」

ルーアンは顔を上げ驚き、リアンも同様だった。


「責任とは死ぬことか?馬鹿を言うな。それは逃げじゃ」

「陛下…」

「国民を見捨てる気か?国はまだ残っている…そなたはこれから民に責められ他国からも罵倒浴びせられ愚かな王族と罵られるであろう」

「はい」

「だが、完璧な王がいるものか…耐えて、耐えて良き王になれ」


ジュベリアンは女王となってすぐの頃も家臣の裏切りに他国からの侵略に悩まされ負け続けた事もあった。
女が君主であることを認めない貴族も多かった。

だからこそ這い上がる強さがどれ程大切か理解していた。

「良いか、責任を取るならば逃げるな。死ぬことは逃げて楽になる事じゃ」

「はい」

「そなたは大丈夫じゃ」


ジュベリアンは王としての器をこの場にいる全員に見せつけたのだった。


・・・が。


「しかしそなたの父と兄の身柄は預からせてもらう」

「陛下、何をお考えです」

アルフレッドは嫌な予感がした。
ジュベリアンが良からぬことを考えていると察したのだ。


ここで王族から除籍して平民にしてはい終わり等とありえないのだ。


「あの馬鹿共は裁判を受けさせるまでもない。祖国を崩壊に導き尚且つ我が国も危険に晒したのだからな?」

「確かにその方が安全ですね」


ジュリエットも賛同していた。

「残りの人生は私はきっちり調教してくれるわ」

「ああ、終わったな。あの二人」


こうして二人の身柄を引き渡す事が決まったのだった。


しおりを挟む
感想 77

あなたにおすすめの小説

婚約者を奪った妹と縁を切ったので、家から離れ“辺境領”を継ぎました。 すると勇者一行までついてきたので、領地が最強になったようです

藤原遊
ファンタジー
婚約発表の場で、妹に婚約者を奪われた。 家族にも教会にも見放され、聖女である私・エリシアは “不要” と切り捨てられる。 その“褒賞”として押しつけられたのは―― 魔物と瘴気に覆われた、滅びかけの辺境領だった。 けれど私は、絶望しなかった。 むしろ、生まれて初めて「自由」になれたのだ。 そして、予想外の出来事が起きる。 ――かつて共に魔王を倒した“勇者一行”が、次々と押しかけてきた。 「君をひとりで行かせるわけがない」 そう言って微笑む勇者レオン。 村を守るため剣を抜く騎士。 魔導具を抱えて駆けつける天才魔法使い。 物陰から見守る斥候は、相変わらず不器用で優しい。 彼らと力を合わせ、私は土地を浄化し、村を癒し、辺境の地に息を吹き返す。 気づけば、魔物巣窟は制圧され、泉は澄み渡り、鉱山もダンジョンも豊かに開き―― いつの間にか領地は、“どの国よりも最強の地”になっていた。 もう、誰にも振り回されない。 ここが私の新しい居場所。 そして、隣には――かつての仲間たちがいる。 捨てられた聖女が、仲間と共に辺境を立て直す。 これは、そんな私の第二の人生の物語。

前世水乙女の公爵令嬢は婚約破棄を宣言されました。

克全
恋愛
「余はカチュアとの婚約を破棄する」  王太子殿下に一方的に婚約を破棄されたのは、公爵家令嬢のカチュア・サライダだった。  彼女は前世の記憶を持って転生した、水乙女という、オアシス王国にはなくてはならない存在だった。  精霊に祈りを捧げ、水を湧かせてもらわないと、国が亡ぶのだ。  だが事情があって、カチュアは自分は水乙女であることを黙っていた。  ただ、愛する人や民の為に祈り続けていた。  カチュアとの婚約解消を言い放った王太子殿下は、自分に相応しい相手は水乙女しかいないと、一人の女性を側に侍らせるのだった。

居候と婚約者が手を組んでいた!

すみ 小桜(sumitan)
恋愛
 グリンマトル伯爵家の一人娘のレネットは、前世の記憶を持っていた。前世は体が弱く入院しそのまま亡くなった。その為、病気に苦しむ人を助けたいと思い薬師になる事に。幸いの事に、家業は薬師だったので、いざ学校へ。本来は17歳から通う学校へ7歳から行く事に。ほらそこは、転生者だから!  って、王都の学校だったので寮生活で、数年後に帰ってみると居候がいるではないですか!  父親の妹家族のウルミーシュ子爵家だった。同じ年の従姉妹アンナがこれまたわがまま。  アンアの母親で父親の妹のエルダがこれまたくせ者で。  最悪な事態が起き、レネットの思い描いていた未来は消え去った。家族と末永く幸せと願った未来が――。

結婚式の日に婚約者を勇者に奪われた間抜けな王太子です。

克全
ファンタジー
第6回カクヨムWeb小説コンテスト中間選考通過作 「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。 2020年11月10日「カクヨム」日間異世界ファンタジーランキング2位 2020年11月13日「カクヨム」週間異世界ファンタジーランキング3位 2020年11月20日「カクヨム」月間異世界ファンタジーランキング5位 2021年1月6日「カクヨム」年間異世界ファンタジーランキング87位

見るに堪えない顔の存在しない王女として、家族に疎まれ続けていたのに私の幸せを願ってくれる人のおかげで、私は安心して笑顔になれます

珠宮さくら
恋愛
ローザンネ国の島国で生まれたアンネリース・ランメルス。彼女には、双子の片割れがいた。何もかも与えてもらえている片割れと何も与えられることのないアンネリース。 そんなアンネリースを育ててくれた乳母とその娘のおかげでローザンネ国で生きることができた。そうでなければ、彼女はとっくに死んでいた。 そんな時に別の国の王太子の婚約者として留学することになったのだが、その条件は仮面を付けた者だった。 ローザンネ国で仮面を付けた者は、見るに堪えない顔をしている証だが、他所の国では真逆に捉えられていた。

【第一章完結】相手を間違えたと言われても困りますわ。返品・交換不可とさせて頂きます

との
恋愛
「結婚おめでとう」 婚約者と義妹に、笑顔で手を振るリディア。 (さて、さっさと逃げ出すわよ) 公爵夫人になりたかったらしい義妹が、代わりに結婚してくれたのはリディアにとっては嬉しい誤算だった。 リディアは自分が立ち上げた商会ごと逃げ出し、新しい商売を立ち上げようと張り切ります。 どこへ行っても何かしらやらかしてしまうリディアのお陰で、秘書のセオ達と侍女のマーサはハラハラしまくり。 結婚を申し込まれても・・ 「困った事になったわね。在地剰余の話、しにくくなっちゃった」 「「はあ? そこ?」」 ーーーーーー 設定かなりゆるゆる? 第一章完結

婚約破棄された竜好き令嬢は黒竜様に溺愛される。残念ですが、守護竜を捨てたこの国は滅亡するようですよ

水無瀬
ファンタジー
竜が好きで、三度のご飯より竜研究に没頭していた侯爵令嬢の私は、婚約者の王太子から婚約破棄を突きつけられる。 それだけでなく、この国をずっと守護してきた黒竜様を捨てると言うの。 黒竜様のことをずっと研究してきた私も、見せしめとして処刑されてしまうらしいです。 叶うなら、死ぬ前に一度でいいから黒竜様に会ってみたかったな。 ですが、私は知らなかった。 黒竜様はずっと私のそばで、私を見守ってくれていたのだ。 残念ですが、守護竜を捨てたこの国は滅亡するようですよ?

婚約破棄されましたが、お兄様がいるので大丈夫です

榎夜
恋愛
「お前との婚約を破棄する!」 あらまぁ...別に良いんですよ だって、貴方と婚約なんてしたくなかったですし。

処理中です...