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第一章廃嫡と婚約解消
25王の器~王妃side
しおりを挟む先代国王の側近が早々に手を引き領地に戻った。
アルセウスの側近は高位貴族の子息はいるけど実績もなく、爵位も持たないボンボンだわ。
「既に動き出しているわ。あの子に政治ができるかしら?」
確かにアルセウスは優秀で神童と謳われていたけど。
あの子は人望がない。
人の気持ちを理解できない。
それに温室の中で優秀でも外の世界で生きているだけの知恵はない。
それはマリアンナ嬢も同じだわ。
彼女は幼い頃から知女神とも謳われながらおその才能の使い方を間違えている。
王都を豊かにすることを最重要に考えている。
間違いではないけど、才能を見せびらかすような真似をしている。
何より彼女には相容れない物を感じる。
本当に聡明な人は己の才を隠すはずだし、これ見よがしに自分の方が優秀だとひけらかさない。
「王妃陛下、お呼びでしょうか」
「報告を」
「はい、現在アルセウス殿下は公務が滞っております。側近はそこそこ優秀ではありましたが、貴族絶対主義の考えを押し付け水軍ギルドを敵に回している状況です」
「馬鹿ね。水軍ギルドを敵に回せば物流が滞るわ」
「そこに交渉を持ちかけたのがマリアンナ嬢ですが彼女が改革に関して口を挟み、交渉は成立しませんでした。むしろ独裁的な考えを示しています」
「優秀だけど、偏り過ぎた考えが災いしたわね」
どんなに天才でも優秀でも、人と人を繋ぐ絆を大事にしなかったらどうなるか。
平民中には他国の王族と繋がりを持つ者はいる。
彼らは聡い。
少しの判断の違いで見限るでしょう。
「先王の右腕だったジェフ。彼は宮廷料理人にして優れた騎士でもあったわ。乳母のマルシェ…彼女は先王から直々に王宮仕えを命じられた優秀な女官。庭師のトムは庭師をする前はとある荒れた領地を薬草農園にした緑の手の持ち主」
「はい、かつてこの国を動かし政治にも介入することが許された方々です」
「先王に絶対の忠誠を誓い、王の代替わりで引退するはずだった。その彼等を繋ぎ止めたのがあの子だったわ。あの子は彼等を選んだ」
「恐ろしい目利きでございます。失礼ながら」
「ええ、現国王陛下は国が安定しているから問題はありませんが…ですが、平和な世を長く保たせるのは難しい。国自体も赤字なのよ」
今ここで先王のように大きな改革が必要になる。
今まで通りの政治ではいずれ国は圧迫され、国民に重税をを続ければどうなるか。
国民の不満が爆発すればどうなるか明白だわ。
王都を潤す為に辺境地を犠牲にする事を悪いとは言わないけど、犠牲になった者を平気で踏みつけていい理由にならない。
私達は国の為に尽くした彼等に誠意を見せなくてはならないのだから。
「彼女にはできないでしょうね?彼等を納得させる事なんて」
だって彼女は気づこうともしなかったのだから。
踏みつけられる彼等を必死で救うべく足搔いいていたフィルベルトの思いを。
「母上!」
「騒々しいわね」
ノックも無しに入って来た馬鹿息子。
自分の身の程をそろそろ弁えさせるべきかしらね?
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