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第二章北方四島の絆
3疑問
しおりを挟むカーマイエル公爵は俺の詰めの甘さを悉く指摘した。
「貴方はどうしてこうも馬鹿なのですか」
「はいすいません」
「王族が簡単に頭を下げるとは何事です」
「もう王族じゃ…はい!」
言い返そうとしても睨まれる。
カーマイエル公爵は東北の獅子と呼ばれる程体が大きく顔も怖い。
目で人を殺せると誰かが言っていた。
「この度の屈辱は私も耳にしました。貴方がどこぞの平民の娘と恋に落ちたと。なんというくだらない作り話」
「閣下、では…」
「貴殿達もおかしいとは思わないのか。そんな噂を早々に消す事ができたのにできなかった。公爵令嬢も一時の浮気や気の迷いで騒ぎ立てる事はないだろう…噂通りの賢者の姫とも呼ばれる令嬢ならばな?」
いや、噂を流したのはマリアンナじゃない気がする。
第一、彼女は俺の事が嫌いなのに無理矢理婚約させられたんだし。
「フィルベルト様を追放に追いやる為の作戦でしょうな」
「なんと!」
「では四公も…」
「いや、エクトル殿はそこまで愚かではない。馬鹿なのは第二王子だろう」
アルセウスが馬鹿ってどういう事?
俺よりもずっと優秀だし要領だって言良かったはずだ。
「フィルベルト様、貴方はこの十年間何をして来たのです」
「え…」
「辺境地でくすぶっている騎士を救い上げる為に働きかけ、仕事を失った者を、踏みつけられて切り捨てられるはずの騎士を守る為に足搔いたはずだ」
「結局は…」
「結果は上手く行かなかった。ですが救えた者はいませんでしたか?」
俺の案件は全て通す事は出来なかったが予算内でできた事はある。
「保身しか見ない者、目先の利益しか見ない者が多い中、十年先、二十年先を見越した貴方の考えに賛同する者はいたはずだ。どうして気づかないんです。貴方はご自分の保身よりも民を選んだ」
「カーマイエル公爵…」
俺はちゃんとやるべきことをしたのか。
王太子としての役目を、責任をちゃんと果たせていたのか。
「爪が甘過ぎたのは否めませんが、民を道具にしか使わない歩く馬鹿よりマシです」
「酷くないか。アルセウスは…」
王太子殿下を侮辱して不敬罪になるんじゃ。
「発言をしてもよろしいですか」
「はいどうぞ」
南を任されているシャルテルト侯爵だ。
彼も北方三領地の代表でもあり、カーマイエル公爵の補佐をしていると聞く。
「アルセウス殿下は王太子に立太子する事はでないでしょう」
「は?」
何でだ?
俺が王太子になれたのはマリアンナと婚約していたからだ。
四大公爵家の中でも一番権力が強いフルーデルト家の後ろ盾があるのに。
何より優秀な彼女が傍にいる。
大臣からもアルセウスは一目置かれていたのに。
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