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第二章北方四島の絆
2天賦の才~レクサスside
しおりを挟む本当に恐ろしい人だ。
本人は全くの自覚なしであるが、殺されてもおかしくない相手を納得させるとは。
「レック、この勝負は」
「完全にフィルベルト様の勝利だろう」
血を一滴も流すことなく敵国の城を無血開城したも同然だ。
カーマイエル公爵閣下は先代国王が最も信頼した戦友で、万一王家が国を亡ぼす事があるならばその手で首を斬る事が許されている。
いざとなれば国から独立する事もできるだけの軍事力。
空軍部隊を持っている。
万一空軍を引きつれて攻め込まれたら国は火の海になる。
もしあの場でフィルベルト様が王族として振る舞い、力で押さえつけようとすればその場で殺されていただろう。
逆もしかりだ。
己の身を最低限待る事だけをして尚且つ彼等を信じる。
そして殺されても良いとまで言うなど。
「フィルベルト様は自覚しておりませんが」
「ああ、あの方は王としての資質が先代以上にある方だ。なんせ王太子に選ばれたのが先王だったからな」
「私も聞いております」
エヴァは頭を抱えながらため息をつく。
確かにアルセウス様は天才かもしれないが、人を見る目を持っていない。
対するフィルベルト様は誑しの才能がある。
自分より弱い立場の物の気持ちを察しながらも良い所を見つけるのは天才的だ。
その所為で騙されやすくもあるが、臣下を信頼している証でもある。
ここにいる側近はフィルベルト様の思いに惚れ込んだ者ばかりだ。
特に先王の側近のジェフは今の王家、貴族社会に絶望していた。
だけど、フィルベルト様は違っていた。
料理しかできない側近だと馬鹿にする者に対してフィルベルト様は素晴らしい才だと告げた。
人を幸福にできる素晴らしい宝だと。
他の者に対しても憎い演出で口説き落としたが、本人に自覚はない。
「フィルベルト様は人の喜ぶことがお好きですから」
「ああ。権力を使うのも嫌いだ。王としては問題ですが」
「腹黒い事は臣下がすればいいだけです。そう暗殺等は…」
お前の方がずっと悪人に近いぞエヴァ。
まぁ俺人の事は言えないだろうが、今頃王都は大変な事になっているだろう。
「じいや、カーマイエル公爵は怒ったのかな」
「いいえ、フィルベルト様は何も間違っておりませんぞ」
甘すぎると苦言を貰ってショックを受けているフィルベルト様は本当に自覚がないのが恐ろしい。
あの対応は怒っているのではない。
いや怒っているのは間違いないが、フィルベルト様にではないだろう。
「じいは嬉しゅうございますぞ」
「何だよ」
「ご立派な考えですぞ」
とりあえず、トムを回収しに行くか。
王妃陛下にも報告しなくてはならない。
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