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第四章若き王と明日への架け橋
14違和感~公爵side
しおりを挟むその夜、私は邸に戻って来た。
昼過ぎにはマリアンナが帰っている手筈となっていた。
それには理由がある。
今夜で全ての問題に決着をつけなくてはならないのだから。
「お帰りなさいませお父様」
「帰っていたか、マリアンナ」
久しぶりに見るマリアンナは少し変わっていた。
いい意味ではなく悪い意味でだ。
「アルセウス様との婚約は解消となった。王妃陛下より今回の事でアルセウス様は平民となる事となった。故にお前とお婚約は続行不可能となったのだが…」
「私は重く受け止めるつもりです。致し方ない事です」
致し方ない事だと?
その前に言う事はないのか?
「お姉様、ですが…」
「私はこれ以上アルセウス様を責める事はしませんわ」
「何を言っているんだ!お前はアルセウス様に申し訳ないと思わないのか」
ニコルが我慢できずに声を上げた。
フレデリカも真っ青な表情をしているが口に出す事はなかった。
「確かに、あの方は少し勘違いが酷く…故に誤解を生むような事を。ですから私も婚約を受ける事を了承しました」
まるで自分は悪くない。
むしろ戯れに付き合ってやったと言っているようだ。
「もう良い」
「しかし…」
「マリアンナ、来月にフィルベルト陛下が視察に来られる事は知っているな」
「はい存じておりますわ」
来月に正式に訪問され、今後従国となるランタニア王国との外交に関しても話し合う事になる。
「私も公爵家の人間として役割が御座います。フィルベルト陛下は未だに側妃を決めかねておられるようですし。私が側妃になりますわ」
「お姉様!何という事を…フィルベルト陛下にはリーシェ姫が」
「世間知らずね。王となる者は正妃以外に数名の側妃を取るのは当然よ?貴族の常識だわ」
確かに王としては政治の為に他国の姫を側妃にする。
だが、必ずしもそうではない。
「フレデリカ、貴女は公爵としての覚悟ないようね」
「私は…」
「いい加減にしろ、お前は自分の立場をまるで理解していないな…伯父上、やはり」
「うむ」
「マリアンナ…ああ、なんて事なの」
話し合いは必要なかったようだな。
もう私の娘はここにいない。
「それがお前の答えか」
「え?」
「フィルベルト陛下を裏から操る気だったのか」
私が何も知らないと思ったのか。
「何をおっしゃってますの?本来は私があの方の妃になるはずだったのです…元に戻すだけです!これで」
「お姉様!それは…」
「間違った時間を戻す為に」
我が家の秘宝であるノリウスの時計。
遠い昔に時間を巻き戻す事が出来ると言われている。
「なんと愚かな。盗んだのか」
「お止めくださいお姉様!それは危険な代物です…間違った使い方をすれば」
「私が使うべきものだわ!」
「やめるのだマリアンナ。それはお前には扱えない」
「いいえこれで私は…」
ノリウスの時計は時の神の加護が込められているが、時を動かすには対価を支払わなくてはならない。
動かす者に呪いを与えるのだ。
「時よ戻りなさい!」
空間が歪み、魔法陣が描かれる。
「これで私は幸せになれるわ!」
狂ったような笑い声をあげる娘は悪魔のようだった。
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