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第四章若き王と明日への架け橋
15スパイ
しおりを挟む一か月後ランタニア王国に視察に行くことになっていた。
表向きはだが。
しかし一か月前に一度、元ではあるが祖国に視察に来ていた俺達。
「カーマイエル公爵、何でいるんだ」
「私は護衛です」
「ランタニア王国の将軍になったと聞いていたが」
俺が隣国に迎えられてからも両国の均衡を保つために動き回ってくれていた。
外交問題に関しても気を使ってくれていた事もあり出世したそうだ。
「フィルベルト様、以前に廃止なさった魔道具の事を覚えておられますか?」
「ああ、勇者と魔王のとの戦いで得た宝か…」
この世界には魔道具と呼ばれる物が存在する。
人間の手で作られた者以外に勇者の宝と言われるオンボロ袋や聖剣なるものや。
時を動かす道具。
しかしそれらの者は悪魔アイテムと呼ばれている。
理由は対等交換で力を得る危険性がある。
そいえばシナリオでもあった気がするんだけど、俺が廃止をしている。
「ノリウスの時計の事は覚えておいでですか」
「ああ、危険な時計だ」
おとぎ話でも語り継がれている時を飛ぶ時計だ。
ただし使う側の魔力や生命力を消費するし、正当な儀式以外で使うのは危険だった。
「半世紀前に利用した者は、時を戻すどころか自分の体が若くなりすぎたり、老いてしまうこともあったな」
「ええ、万一のこともありますので使用を禁じているのです」
「神様の加護は気まぐれだ。使わない方がいい…確かその時計は」
エクトルが保管しているらしい。
まぁ、時計の保管場所に、力を解放する事も限られた人間しか知らないのだから。
「その時計がどうしたのか…」
「今しがた、中央神殿から時計が発動されたと報告がありました」
「は?」
発動なんて無理だ。
ノリウスの時計は王族でも限られた人間しか保管場所は知らないし、保管している宝箱には強力な魔法で守られている。
「結界魔法を解くなんてできるのか?」
「その術式を知っていれば可能ですが…知っているのは国甥陛下と王妃陛下に限られた臣下だけだ」
「そうです。あの時計の秘密を知る人間は限られています」
「だが他国は違うと」
「はい」
危険な代物であるが故に利用しようと思っているのだろう。
「カーマイエル公爵、他国の介入があったのか?」
「陛下…」
「貴方らしくない言い回しだ」
まるで既に国内にスパイがいると言っているかのようだ。
しかもそのスパイは既に侵入していると。
「そのスパイはマリアンナ・フルーデルトです」
俺は耳を疑った。
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