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第三章真実の聖女
3歩くトラブルメーカ
しおりを挟む転移魔法に失敗したメアリの捜索をするも、意外にも近くにいた。
「見つかりましたわ」
「はぁー、本当に人騒がせだな」
「何所だ?王都内にいたか」
ユリウスはそう簡単に遠くに行ったとは思っていなかった。
無事だったのは悪運が強いと思いながら安堵する。
ミカエルも無事を確認出来て良かったと思いきや、更なる問題が生じることも知らずにいた。
「それで何所にいたんだ?リーシャ」
「正教公国の船です」
「なっ…」
「アイツは何でまたそんな船に!何だ?トラブルの星に生まれたのか!」
よりにもよって正教公国の使者のいる船に不法侵入した等笑い事で済まない。
「まずいぞ。かなりマズイ…その代表の中に婆さんがいたら」
「無礼ですわよユリウス。神官長様に」
「見た目は穏やかだが中身はグライアイ並みに恐ろしい婆さんなんだよ。マナー違反をしたらネチネチ言われるし、婆さんのに元気だし」
「幼少期に神殿に入れられたんだったな」
「ああ、あの婆さんに気に入られれば天下だ。敵に回せば最後だ」
過去のトラウマにユリウスは怯える。
「そんなに怖いのですか」
ギーゼラは他種族なので正教会にはそこまで詳しくない。
「他国にも星の数ほど正教会がある中でジミエールは重要な国だ。軍事的な力はなくとも宗教を重んじる国はそれだけ強い。特に敵に回したら国から国へと噂が流れる…逆に、味方となってもらえれば恩恵は大きい」
「宗教至上主義の連中を味方につけるなんて無理に近しいからな。思い込みも激しい」
「それはユリウスの思い込みですわ。法王様は信仰心とは強制するものではないとおおせですもの。ただ中立を貫いておられますが…敵対心を向けられたら正教会だけでなく、民を敵に回す行為ですわ」
異教徒を信仰する民はいるが、一つの宗教を侮辱すれば火種は想像できない。
「影響力も強い方だから…ペトロ様は」
「お傍に仕える神官長様も、少しばかり気難しい方ですので。噂では晩餐会の時に彼女の神経を逆なでしてとんでもない事になったそうですわ」
ミカエルとリーシェの言葉が大袈裟に聞こえるが、ギーゼラは思った。
「逆にお二人に気に入られればいいなら問題ないのでは?メアリ様は白のグリモワールをお持ちで」
「まだ正式な者じゃないだろ…いや、婆さんは白の大魔導師のファンだった気が」
「だが、いくら継承者だからと言って、無条件で好かれるとは考えにくいぞ」
ミカエルはせめて二人の機嫌を損なわないことを祈った。
しかし彼等は知らない。
既にメアリは色々やらかし、無償で治療を行い、尚且つ病人の看護もした事で彼等から感謝され感銘を受けている事に。
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