白のグリモワールの後継者~婚約者と親友が恋仲になりましたので身を引きます。今さら復縁を望まれても困ります!

ユウ

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番外編

お転婆王女と苦労人皇子⑦

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明かな敵意を持っている青のグリモワールは標的を変えた。


「何だ…わぁぁぁ!」

「アーク!」


標的を隣の令息に向けて攻撃した。


「ブッ、お尻100叩き?」

「だっさい」


周りの貴族達、特に女性陣はヒソヒソ囁きながら馬鹿にした。
まだ幼いのか涙目で逃げる姿は情けなかった。


「なんて軟弱なのかしら」

「そう言うなら止めてやれ」

ミカエルが哀れになって止めるように伝えるも。


「無理ですわ」

「何でだ」

「青のグリモワールはお仕置き中は止まりませんの」


既に止める気はないようだが、リーシア自身止める気はない。

「だってあの二人、ムカつくんですもの」

「は?」

「大体、礼儀知らずをしたのは二人ですわ。今日は教皇猊下の命日だと言うのに無礼の繰り返しですわ。しかも今日の日に派手な赤いドレスを着るなんて何事ですの?」


元々は初代教皇の命日を祈る日だった。
なのに、赤いドレスで参加し、教皇猊下の行動に対しても否定的な事を言ったのだ。


王族に連なる貴族は冷めた目で見ていた。
信仰心が薄くなっている事もあるが、治癒師を軽視している貴族は少なく無いのだが。


「あの方、不愉快ですわ。私に対しても偉そうで」

「ああ、自分の方が偉いと言いたげだったな。お前も俺様だから合わないだろ」

ユリウスが皮肉を言うが、リーシアはヒールの靴で足を踏んだ。


「いっ!」

「この程度で済んで良かったですわね」

にっこりと微笑みながらもユリウスの踏む足に力を入れる。


「いい加減にしろ。いい加減グリモワールを止めないと次の被害者がでるだろ」

「それもそうですわね…あら?」


リーシアは関係ない人が巻き込まれるのは忍びなかったのだが、青のグリモワールの様子が変わる。


「どうした?」

「急に私のグリモワールが大人しくなって…」


指を差した方向を見ると。


「わぁーなんて綺麗な魔導書かしら!」

「何を呑気な事を言っているんだメアリ!」

「こんなのが魔導書のはずないでしょ!呪われた本よ」


青いグリモワールを危険な呪いの本と叫ぶ二人とは反対に一人の少女が話しかける。


「ねぇ、不思議な魔導書さん」

「おい!」


「ユフィとアークが攻撃したから驚いたのよね?もうしないから止めてくれる?」

「そんな言葉通じるわけないでしょ!」


頭を手で押さえながら怒るも。


パタパタ!


「あっ、戻って行ったわ」

「「何でだよ!」」


素直に青のグリモワールは大人しく去っていく。
鳥のように本を開きパタパタ去って行くのだが、被害に合った二人は納得できないでいた。


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