君の紡ぐ言葉が聴きたい

月内結芽斗

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番外編

番外編4. 修学旅行-1

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お久しぶりです!
修学旅行やっと書けました!!
想像が楽しくて、いつまで経っても帰国しないかもしれないですが、よかったらお付き合いください!
——————————————————————



 修学旅行が始まった。朝早い空港集合だったから、僕は将吾と一緒に薫姉さんの家に前泊することにした。

 将吾も一緒と聞いて、颯人が拗ねていた。颯人はアメリカ行きが決まったときから、駿くんのお父さんの送迎が決まっていたらしく朝早くに来る予定だ。

「颯人のこと鎮めるの大変だったろ?」

 スーツケースを掴む手に集中していた僕に将吾が横から言った。揺れる電車の中には所々スーツケースを持った人がいる。

「うん。最後はなんとか折れてくれたけどね」
「俺が断ればよかった話だけどね」
「でも先に将吾に話しちゃったから、やっぱり無理なんてできないよ」

 ホテルに前泊する人の申請書を提出しなければならなくなったときに、薫姉さんが姉さんの家での前泊を提案してくれた。今住んでいる家は、空港から数駅しか離れていなかったから都合が良いだろうということだ。

 薫姉さんの提案を聞いて、最初に思い浮かんだのは颯人の顔だ。二人までなら泊められると言ってくれた姉さんもきっと、僕が颯人を誘うと思っていたと思う。でも颯人は、駿くんと来るはずだから誘えない。次に頭に浮かんだのが、将吾だった。

 将吾の両親は共働きで早朝の送迎は難しいと言っていた。だから前泊する予定だとも。だから将吾を誘ったのだ。

 旅費だけでも高いのに前泊のホテル代までもとなるとなあ、とため息を吐いていた将吾は、この話に嬉々として乗った。姉さんの家に泊まらせてもらうわけだけど、友達の役に立てて嬉しかった。

 薫姉さんの家の最寄り駅について、しばらくスーツケースを引いた。駅からすごく近いわけではないけれど、実家から行くよりは断然アクセスが良い。引っ越しの手伝いをしたときに来ていたので、道順もなんとか覚えていた。
 マンションの前に着くと、姉さんが外で待ってくれていた。

「初めまして、岩田将吾です! よろしくお願いします!」
「よろしくよろしく!」

 薫姉さんは僕たちが来るのを楽しみにしてくれていたみたいで、姉さんの寝室は閉めきっていたけれど、リビングに布団が一式と、ソファベッドに毛布が置いてあった。

 適当なスペースに二人分のスーツケースを並べる。

「楓が時々泊まるからそのときのために布団は一つ余分にあるんだけど、一人はソファで寝てくれる? ごめんね」
「じゃあ、僕がソファで寝るね」

 お客様をソファで寝かせるのはよくないから当然僕がソファで寝ることにする。慣れない薫姉さんの部屋で、いそいそとリュックから簡単に荷物を取り出した。将吾も居心地悪そうにしながら、僕と同じように動く。

「じゃあ夕食食べに行こう!」

 姉さんに連れられるままに入った焼き肉屋さんで僕たちはお腹いっぱいに食べさせてもらった。食べ盛りの将吾が遠慮気味にしているのを見て、勝手に茶碗にお肉をのせる姉さんは楽しそうだ。

 家に上がってすぐに渡されていた将吾からの手土産を姉さんは帰ってくるなりすぐ開封した。

「ここのまんじゅうおいしいよね、みんなで食べよう!」
 それから三人でまんじゅう片手にテレビを見ていたら、メッセージが届く音がする。

「颯人くんじゃない?」

 姉さんのいう通り颯人からの連絡だった。無事薫姉さんの家についたか、将吾が調子に乗っていないか、夕飯はなにを食べたのか、明日家を出たら連絡するようにと書かれていた。

 返信をしようと文字を打っていると電話が鳴る。これも彼からだった。

『もっもしもし』
『もしもし、奏。既読つくのすぐだったから電話の方がやり取り早いと思って電話したんだ。……ていう建前で、奏の声聞きたかったから電話したんだけど』
『……うん』

 颯人はサラッとこんなふうに心に響くことを言ってくる。付き合い始めてもう何ヶ月か経つけど、僕はいまだに颯人のストレートな感情表現に慣れなかった。真っ赤になった僕なんて当然知らずに、颯人は、それで本題なんだけど、と続けた。

『薫さんの家さ、もしかしなくても将吾と同じベッドなんてことないよね?』
『えっぼ僕はソファで寝るよ。将吾は床に布団敷いて……』
『そう? なら良いんだけど。うーん。ソファで寝るって風邪ひかないように気をつけるんだよ』
『うん』

『それからさっきもメッセージしたけど明日駅着いたら連絡してね。駿のお父さん、早く家出ようって言ってたから、予想より早く着くんだ。改札の方まで迎えに行く』

『えっ? でもそれって、はっ颯人が大変だよ』

 大丈夫大丈夫と颯人は笑って、もう遅いから寝た方がいいと言われた。

「じゃあおやすみ、奏」
「おっおやすみなさい」

 電話が切れる音に寂しさを感じるけど、明日からしばらくはずっと颯人と一緒にいられると思うと、今夜の電話もどこか心地よかった。

「奏、颯人にあんまり緊張しなくなったな」
 テーブルの向かい側から苦笑いを浮かべる将吾に指摘されて僕の顔は赤くなる。
「そうかな?」

 発表の時なんかはまだまだ治らない吃音だけど、颯人といるときは、確かにあまり言葉のリズムが詰まることが減っていた。いや、他のクラスメイトとも仲良くなってきて、みんなと話すのも楽しくて、普段はあまり緊張しなくなっていると思う。

 寝る支度をすべて終えて、僕たちはそれぞれの布団についた。姉さんが自分の部屋に引く前に僕にハグをしたのを見て、将吾は笑っていた。

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