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お近づき編
23, 名前で呼んで
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僕が言うと、伯爵は静かに僕を見た。
「……いや。エドヴァルといる間の君の話は聞かないようにしていた。」
「なら話してよかったです。僕がそういう人間だって知ってもらえて。」
全てエドヴァル様の指示でやっていたし、エドヴァル様が手を回して自分がした事にされてる意地悪もたくさんあるけど、王妃様が嫌な気持ちになると知ってて続けることを選んだのは僕だ。
僕は王妃様を辛い思いから守ることより、エドヴァル様の望みを叶えることを取った。
結果として宮廷での王妃様の立場は良くなったし選択に後悔はないけど、嫌がらせで王妃様が感じた辛い気持ちが無かったことになるわけでもない。
こんな僕のこと、伯爵は幻滅するだろうな。
そう思うと少し胸が痛いけど、隠すのも違うと思う。
伯爵は黙って僕を見つめている。
僕はどんな反応が返ってくるか怖くて目が合わせられなかった。
「君がどれ程の事をして、それが王妃に許されるか分からないが、悪い事をしたなら妃に一緒に謝りに行こう。」
伯爵は静かに言った。
「あ、ありがとう、ございます……。」
責めるでも許すでもない返事に、少し気が楽になった。伯爵に謝らせる気は無いし、追放された僕に王妃様に謝れるチャンスがあるかは分からない。でも何だかそう言ってもらえて安心してる自分がいる。
「他には?」
「大丈夫です。」
「そうか。またあればいつでも聞いてくれ。」
伯爵は大きく深呼吸した。
その耳の先が少し赤い。
今日はよく話すなと思ったけど、ひょっとして僕のために頑張ってくれたのかな。
僕が伯爵のこと知りたいって言ったから?
だとしたら……かわいいんだけど。
こんな厳つくてゴツゴツなのに……。
「伯爵は、僕に聞きたいことありますか?」
「む、いや、大体知ってる。あ、いや……」
なんだその反応。
「……一つ、いいか?」
「はい。」
「その、もしよかったら、私のことはジョンと呼んでくれないか。言葉も普段のようにしてくれていい。かっ、かっ…………家族に、するみたいに。」
「ジョン様?」
「敬称も、要らない……」
「わかった。ジョン。」
「あ、ああ。」
眉間のシワが少しまた深くなって、耳に赤みがます。
「ジョンは家で自分のこと『私』って言う?『俺』って言う?」
「『俺』だな。」
「じゃあ僕には『俺』でいいよ。」
「あ、ああ、わかった。」
それから僕たちはもう少しお互いの話をして、ジョンの包帯を取り替えるために医者が来たので僕は部屋に戻った。
室内に入ると、ジョンの趣味らしいフリルと淡い色合いの花柄がてんこ盛りの室内をぐるりと見渡す。
あのいかつい顔でこれを作ったんだ、と思うと
落ち着かなくてなんだかなぁと思っていた部屋が急にかわいく見えてくるから不思議だ。
つい笑ってしまう口元を押さえながらデスクに座る。
ガロさんに届けてもらう手紙を書くためだ。
なんて書こうか迷って、結局もう少し話し合いが必要だと伝える事にした。
何だかもう離婚の話を進める感じではないし、僕自身そんな気もなくなりつつはあるんだけど。
じゃあこのままジョンと本当に結婚するのかっていうと、それは分からなかった。そもそも僕男だし、平民だし。
とりあえず、離婚しなくてもジョンの許可があれば舞台には立てるから、それで今回の舞台はなんとか乗り切ろう。
ジョンのやきもちの所為でまだ理解は得られてないけど、ちゃんと話せば分かってくれるはず。
そう考えてさらさらと簡潔に手紙を書き、封筒に入れて封蝋で閉じた。
「……いや。エドヴァルといる間の君の話は聞かないようにしていた。」
「なら話してよかったです。僕がそういう人間だって知ってもらえて。」
全てエドヴァル様の指示でやっていたし、エドヴァル様が手を回して自分がした事にされてる意地悪もたくさんあるけど、王妃様が嫌な気持ちになると知ってて続けることを選んだのは僕だ。
僕は王妃様を辛い思いから守ることより、エドヴァル様の望みを叶えることを取った。
結果として宮廷での王妃様の立場は良くなったし選択に後悔はないけど、嫌がらせで王妃様が感じた辛い気持ちが無かったことになるわけでもない。
こんな僕のこと、伯爵は幻滅するだろうな。
そう思うと少し胸が痛いけど、隠すのも違うと思う。
伯爵は黙って僕を見つめている。
僕はどんな反応が返ってくるか怖くて目が合わせられなかった。
「君がどれ程の事をして、それが王妃に許されるか分からないが、悪い事をしたなら妃に一緒に謝りに行こう。」
伯爵は静かに言った。
「あ、ありがとう、ございます……。」
責めるでも許すでもない返事に、少し気が楽になった。伯爵に謝らせる気は無いし、追放された僕に王妃様に謝れるチャンスがあるかは分からない。でも何だかそう言ってもらえて安心してる自分がいる。
「他には?」
「大丈夫です。」
「そうか。またあればいつでも聞いてくれ。」
伯爵は大きく深呼吸した。
その耳の先が少し赤い。
今日はよく話すなと思ったけど、ひょっとして僕のために頑張ってくれたのかな。
僕が伯爵のこと知りたいって言ったから?
だとしたら……かわいいんだけど。
こんな厳つくてゴツゴツなのに……。
「伯爵は、僕に聞きたいことありますか?」
「む、いや、大体知ってる。あ、いや……」
なんだその反応。
「……一つ、いいか?」
「はい。」
「その、もしよかったら、私のことはジョンと呼んでくれないか。言葉も普段のようにしてくれていい。かっ、かっ…………家族に、するみたいに。」
「ジョン様?」
「敬称も、要らない……」
「わかった。ジョン。」
「あ、ああ。」
眉間のシワが少しまた深くなって、耳に赤みがます。
「ジョンは家で自分のこと『私』って言う?『俺』って言う?」
「『俺』だな。」
「じゃあ僕には『俺』でいいよ。」
「あ、ああ、わかった。」
それから僕たちはもう少しお互いの話をして、ジョンの包帯を取り替えるために医者が来たので僕は部屋に戻った。
室内に入ると、ジョンの趣味らしいフリルと淡い色合いの花柄がてんこ盛りの室内をぐるりと見渡す。
あのいかつい顔でこれを作ったんだ、と思うと
落ち着かなくてなんだかなぁと思っていた部屋が急にかわいく見えてくるから不思議だ。
つい笑ってしまう口元を押さえながらデスクに座る。
ガロさんに届けてもらう手紙を書くためだ。
なんて書こうか迷って、結局もう少し話し合いが必要だと伝える事にした。
何だかもう離婚の話を進める感じではないし、僕自身そんな気もなくなりつつはあるんだけど。
じゃあこのままジョンと本当に結婚するのかっていうと、それは分からなかった。そもそも僕男だし、平民だし。
とりあえず、離婚しなくてもジョンの許可があれば舞台には立てるから、それで今回の舞台はなんとか乗り切ろう。
ジョンのやきもちの所為でまだ理解は得られてないけど、ちゃんと話せば分かってくれるはず。
そう考えてさらさらと簡潔に手紙を書き、封筒に入れて封蝋で閉じた。
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