嫌われ公式愛妾役ですが夫だけはただの僕のガチ勢でした

ナイトウ

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お近づき編

22, 質問大会

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気恥ずかしい夕食の後、すぐに帰らずに伯爵のベッドの横に座った。
この際ちゃんと色々話しておいた方がいいと思ってる。

「あの、やっぱり僕、舞台に立ったら駄目ですか?」

「……。」

伯爵は下を向き何も言わない。
やっぱり今すぐにこの話をするのは難しそうだ。他の話にしよう。

「伯爵ってデビューからずっと僕の舞台を観てくれてたんですか?」

話を変えると、顔を上げて返事をくれた。

「ああ。きっかけは学友に誘われてたまたまだったが、それからは君が出る芝居は全て見た。」

「そうなんですね。ありがとうございます。特にどれが好きとかありますか?」

「『真冬の白昼夢』のティタニアが、衣装がフワフワしていて素敵だった。」

ああ、あのフリルだらけでヒラヒラしたやつね。
全然僕の顔立ちに似合ってなかったけど、喜劇だったからそういうチグハグなのもネタになるって採用されたっけ。

「……伯爵、フリフリしたものが好きなんですか?」

思えば、伯爵のお母さんは亡くなっていて姉妹がいる様子もない。
つまり、ピンクのフリルだらけの僕の部屋や稽古部屋の趣味が誰のものかというと……。

「好き、というか、その……可愛くて君によく似合うと思う。」

「そ、そうですか……」

座員みんなに僕には似合ってないって笑われた格好ですが?

未だに着た事がない、伯爵が用意してくれた女性ものの服を思い浮かべる。
あれも時代錯誤なフリルがふんだんに使われたデザインばかりで、僕にはちょっとアレな感じだったから着てない。
僕に似合うというより、単に伯爵の趣味じゃないか。
まあ人の好みだし深くは突っ込むまい。
質問を続けよう。

「僕と結婚したのはエドヴァル様に言われたからじゃなかったんですか?」

「……君がエドヴァルの愛妾になると最初に聞いた時は、頭が真っ白になった。けど、公式愛妾には結婚していなければなれない。放っておけば、君は他の貴族と結婚してしまう。だからせめてエドヴァルに私が夫になる事を名乗り出たんだ。」

「伯爵ってエドヴァル様と知り合いなんですか?」

「同い年だからな。幼い頃は彼の遊び相手の1人だった。」

あ、じゃあ25歳だ。僕より三つ上か。
うん。事情はあれど自分の夫の年齢を今まで知らなかったとは。

「結婚した時に僕に会おうと思いませんでしたか?」

「エドヴァルの下に行くとわかってる君に会うのは辛くて耐えられなかった。」

そう、なんだ。そこまでって、ちょっと恥ずかしいな……。
そういえば、伯爵は僕が愛妾として出仕したのは全部お芝居だって知らないみたいだな。
口外しない約束だし、言ったらマズイよね。

「あの、宮廷での色々な費用を出して頂いていたと聞きました。ありがとうございます。」

「当然だ。エドヴァルは自分が出すと言っていたが、君が奴から贈られたものを使うなんて許せん。」

低い声で唸るように言われてちょっと驚く。
伯爵って結構やきもちやきかも。

「あの、でもやっぱり伯爵の負担になるのは申し訳ないので、出していただいた分僕からお返しします。」

「いい。他に使う所もないし大した負担でもない。」

うわ。あれだけの出費を大した負担じゃないって……

「伯爵は土地を沢山持ってるんですか?」

貴族ってのは人に土地を貸して暮らしてるって聞いたことがある。

「いや、所有していた土地はそこに住む人に大体売った。」

「へ?じゃあ稼ぎはどうしてんですか?あ、ごめんなさい。」

思わず言葉が雑になってしまった。

「かまわん。好きに喋って欲しい。今は企業に依頼された開発や登録した特許の収入が主だ。あとは株の配当が多少ある。」

「開発?特許?」

「ああ。車や産業機械の部品や機構を作ることが多い。俺の専門は化学めっきだから、その特許もまあまあある。」

なんかよくわからないけど、伯爵は自分でお仕事をする貴族らしい。
あのごちゃごちゃの研究室はお仕事のためだったんだ。

「だから、ルネが気にする必要はない。もうこの話はいいだろう。」

そう言われると続けにくい。

「他に話はあるか?」

「じゃあ、大事なこといいですか。」

「ああ。」

「僕、宮廷で王妃様をたくさん虐めてました。それで宮廷を追い出されたんです。知ってましたか?」

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