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70.束の間の夢①
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離宮に良い思い出などない。あそこは私がアンを閉じ込めていた鳥籠であって罪の証だ。
宰相達は5年前離宮を取り壊そうとした。私がアンを失った喪失感に苛まれ幽鬼のようになっていたから、少しでもアンを思い出すものをなくそうとしたのだ。
だが私はそれを許可をしなかった。
あの場所は私の罪をもっとも感じさせてくれる場所だ。あそこに行くことで自分の罪を感じ、より自分自身を苦しめたかった。
アンにしたことを忘れるなんて許されない…。
私はあんな罪を犯しておきながら誰にも罰せられることなく生きている。‥‥私が竜王だからだ。
誰かに罰して貰えたら良かった。
『お前は最低な屑だ』と罵って欲しかった。
この身体を切り刻み『アンの苦しみはこんなものじゃなかった』とこの胸に剣を突き立てて欲しい。
‥‥それが望み。
誰でもいい、私を罰してくれ。
アンと同じ、いやそれ以上の苦しみを与えてくれ。
お願いだ、誰でもいいから…。
誰もが愚かな私を憐れむが、それだけだ。
『番を失ったのです、もう十分苦しまれてます。そしてこれからもその苦しみは続くのです』と跪き首を垂れる臣下達。
誰かではなくに自分で始末をつければいい…。
だが私はこの命を自分の手で断つことはなかった。
命が惜しいからではない。
アンが番でなくなってもこの世界で生きているのならその命を尽きる時まで、自分も同じ世界にいたいと思ってしまうのだ。
その考えがどんなに醜く独り善がりなものか分かっているが、そうせずにはいられなかった。
分かっている…、私が生きていることこそがアンにとって害悪なのは。
だが…どうしても…アンがいるこの世界に同じ時に存在していたい。
どうか許して欲しい、もう…傷つけないから…。
この離宮を訪れ自分の罪と向き合うことは儀式のようになり5年間欠かすことなく続けていた。
それはアンが王宮で働き始めてからも続いている。
アンの気配を感じ歓喜に囚われアンの前に姿を現しそうになる弱い自分に、自分がやったことを突きつけるために。
『お前はもう資格などない、自分で壊したんだ』と魂に刻み込む。
そうだ、都合良く考えるな。
もうアンは番ではない。
あの子に手を伸ばすことは罪だ。
‥‥忘れるな。
ある日、いつものように離宮に一人でいると誰も近寄らないように通達を出しているはずの離宮に人が入ってきた。
扉が開く前からその気配でそれがアンなのは分かっていた。
目の前に現れたアンは幼さが消え去り素敵な女性になっていた。咽び泣きそうになるのを必死に堪えてる、動くことさえ出来ない。
痺れるような甘い香りとアンに会えた喜びで自分を見失いそうになってしまう。
‥‥ア…ン…………。
何も言えなかった、‥‥言う資格もない。だからそのまま去るつもりだった。
だがアンの様子が明らかにおかしかったので自分から声を掛けてしまった。
『ここでなにをしている…』
無理矢理感情を抑える。愛おしさに抱き締めたくなる衝動を拳を握り締め耐える。
駄目だ、これ以上アンに近づくな。
宰相達は5年前離宮を取り壊そうとした。私がアンを失った喪失感に苛まれ幽鬼のようになっていたから、少しでもアンを思い出すものをなくそうとしたのだ。
だが私はそれを許可をしなかった。
あの場所は私の罪をもっとも感じさせてくれる場所だ。あそこに行くことで自分の罪を感じ、より自分自身を苦しめたかった。
アンにしたことを忘れるなんて許されない…。
私はあんな罪を犯しておきながら誰にも罰せられることなく生きている。‥‥私が竜王だからだ。
誰かに罰して貰えたら良かった。
『お前は最低な屑だ』と罵って欲しかった。
この身体を切り刻み『アンの苦しみはこんなものじゃなかった』とこの胸に剣を突き立てて欲しい。
‥‥それが望み。
誰でもいい、私を罰してくれ。
アンと同じ、いやそれ以上の苦しみを与えてくれ。
お願いだ、誰でもいいから…。
誰もが愚かな私を憐れむが、それだけだ。
『番を失ったのです、もう十分苦しまれてます。そしてこれからもその苦しみは続くのです』と跪き首を垂れる臣下達。
誰かではなくに自分で始末をつければいい…。
だが私はこの命を自分の手で断つことはなかった。
命が惜しいからではない。
アンが番でなくなってもこの世界で生きているのならその命を尽きる時まで、自分も同じ世界にいたいと思ってしまうのだ。
その考えがどんなに醜く独り善がりなものか分かっているが、そうせずにはいられなかった。
分かっている…、私が生きていることこそがアンにとって害悪なのは。
だが…どうしても…アンがいるこの世界に同じ時に存在していたい。
どうか許して欲しい、もう…傷つけないから…。
この離宮を訪れ自分の罪と向き合うことは儀式のようになり5年間欠かすことなく続けていた。
それはアンが王宮で働き始めてからも続いている。
アンの気配を感じ歓喜に囚われアンの前に姿を現しそうになる弱い自分に、自分がやったことを突きつけるために。
『お前はもう資格などない、自分で壊したんだ』と魂に刻み込む。
そうだ、都合良く考えるな。
もうアンは番ではない。
あの子に手を伸ばすことは罪だ。
‥‥忘れるな。
ある日、いつものように離宮に一人でいると誰も近寄らないように通達を出しているはずの離宮に人が入ってきた。
扉が開く前からその気配でそれがアンなのは分かっていた。
目の前に現れたアンは幼さが消え去り素敵な女性になっていた。咽び泣きそうになるのを必死に堪えてる、動くことさえ出来ない。
痺れるような甘い香りとアンに会えた喜びで自分を見失いそうになってしまう。
‥‥ア…ン…………。
何も言えなかった、‥‥言う資格もない。だからそのまま去るつもりだった。
だがアンの様子が明らかにおかしかったので自分から声を掛けてしまった。
『ここでなにをしている…』
無理矢理感情を抑える。愛おしさに抱き締めたくなる衝動を拳を握り締め耐える。
駄目だ、これ以上アンに近づくな。
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