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9.ギルアの憔悴
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何やら宰相と側近ガロンが最近やたらと来月の予定に探りを入れてくる。
(嫌な予感しかしない…)
「ギルア様、来月の視察の予定ですが一泊二日ですよね~?」
ギルアと目も合わせずに尋ねてくるガロンの声はなぜかいつもと違って高めだ。
「あそこの視察は毎年、当日の状況で臨機応変にやっているだろう。今確認する事ではないぞ」
「いや~、警護人数の増員やベッドの広さや―、まぁ色々と用意がな~。ワッハッハ」
犬獣人に隠し事は無理である。もう視察に側妃を同行予定だから準備を万端にしておきたいと言っているようなものだ。
バン! 執務室の机を手で叩きガロンを睨む、
「また当番表作成に協力するつもりか!許さんぞ、正妃に予定を漏らすな!」
あの『魅惑の当番表』のせいで今月は悲惨な毎夜を送っているギルアは、来月の当番表作成は断固阻止すると決めている。
側妃達に辟易していたギルアは後宮で夜を過ごすつもりは全くなかった。なんだかんだと逃げ切り、後宮を自然消滅させようと目論んでいた。しかし正妃が公務として『魅惑の当番表』を作成し提出した為に、国王として無視するわけにもいかなくなった。
(正妃の仕事を無視しては臣下はみな、国王についてこなくなりますが、よろしいのですか~)
(それに後宮を自然消滅させたら、『番』を見つけても結婚出来ませんよ~)
畳みかけるような宰相の冷たい言葉と眼差しもあって、ギルアは夜の公務をしぶしぶ行うことになったのだ。
本来ギルアは律儀な人物であった、だからあの予定通りに毎夜後宮で過ごしている。
(((本当に頑張っている…)))そんな評価を周りの男達はしていた。
まだ月半ばだが、ギルアは限界を迎えていた。
「でも色々な経験は人を成長させますよ、男として羨ましい限りです。ワッハッハ」
空気を読まない男ガロン、健在である。
(お前が経験してみろ!昨日の晩は縛られたんだぞ…。それにあんな事も…ゴニョゴニョ)ガロンに抗議したいが羞恥で言えないギルア、だが経験値は確実に上がっているようだ。
そんな状況のギルアを羨ましいと思っているガロンの愛読書は『魅惑の当番表』…、ガロンにギルアの苦しみは理解できる日は永遠にこないだろう。
「来月も当番表が存在したら、俺は退位するぞ。いいな!本気だ」
ギルアは真面目な顔でトンデモナイことを言い出した。よっぽど追い詰められているのだろう。
宰相は、ギルアに愚策のツケを払わせるつもりで当番表は放置していたが、勿論国王の退位は望んでない。
(そろそろ勘弁してあげましょうかね~)と胡散臭い笑顔を浮かべる宰相にギルアとガロンは気づいていない。
「名案があります。当番表作成はシルビア様にとって正妃の公務なのです。
それよりも優先するべき公務が出来たらそちらを優先し、当番表は作成されないでしょう」
これで解決です!という感じで明るく言いきる腹黒宰相。
---この提案には裏があった、『魅惑の当番表』の一件でシルビアの能力を知り、お飾りの正妃のままでは勿体無いと考え始める。ギルアがいつか出会える『番』の為に正妃を王宮から遠ざけておきたいのは重々承知していたが、(あの手腕は惜しい!)使えるものは何でも使うのが切れ者の宰相の方針である。
追い詰められて藁にも縋りたいギルアと(やっぱりウサギ獣人は優しいな)と感心しているガロンはそんな事には気付かない。…オーサン国の行く末がかなり不安である。
「はぁ~、仕方が無い。正妃に公務を与えるように手配してくれ」
「承知しました、英断ですギルア様!!」
宰相の声が弾んでいて、可愛い丸い尻尾がこれでもかと動いている。
ちなみに彼は同族から、優しいウサギ獣人らしからぬ腹黒さに『ウサギ獣人の突然変異』と陰で呼ばれている…。
(嫌な予感しかしない…)
「ギルア様、来月の視察の予定ですが一泊二日ですよね~?」
ギルアと目も合わせずに尋ねてくるガロンの声はなぜかいつもと違って高めだ。
「あそこの視察は毎年、当日の状況で臨機応変にやっているだろう。今確認する事ではないぞ」
「いや~、警護人数の増員やベッドの広さや―、まぁ色々と用意がな~。ワッハッハ」
犬獣人に隠し事は無理である。もう視察に側妃を同行予定だから準備を万端にしておきたいと言っているようなものだ。
バン! 執務室の机を手で叩きガロンを睨む、
「また当番表作成に協力するつもりか!許さんぞ、正妃に予定を漏らすな!」
あの『魅惑の当番表』のせいで今月は悲惨な毎夜を送っているギルアは、来月の当番表作成は断固阻止すると決めている。
側妃達に辟易していたギルアは後宮で夜を過ごすつもりは全くなかった。なんだかんだと逃げ切り、後宮を自然消滅させようと目論んでいた。しかし正妃が公務として『魅惑の当番表』を作成し提出した為に、国王として無視するわけにもいかなくなった。
(正妃の仕事を無視しては臣下はみな、国王についてこなくなりますが、よろしいのですか~)
(それに後宮を自然消滅させたら、『番』を見つけても結婚出来ませんよ~)
畳みかけるような宰相の冷たい言葉と眼差しもあって、ギルアは夜の公務をしぶしぶ行うことになったのだ。
本来ギルアは律儀な人物であった、だからあの予定通りに毎夜後宮で過ごしている。
(((本当に頑張っている…)))そんな評価を周りの男達はしていた。
まだ月半ばだが、ギルアは限界を迎えていた。
「でも色々な経験は人を成長させますよ、男として羨ましい限りです。ワッハッハ」
空気を読まない男ガロン、健在である。
(お前が経験してみろ!昨日の晩は縛られたんだぞ…。それにあんな事も…ゴニョゴニョ)ガロンに抗議したいが羞恥で言えないギルア、だが経験値は確実に上がっているようだ。
そんな状況のギルアを羨ましいと思っているガロンの愛読書は『魅惑の当番表』…、ガロンにギルアの苦しみは理解できる日は永遠にこないだろう。
「来月も当番表が存在したら、俺は退位するぞ。いいな!本気だ」
ギルアは真面目な顔でトンデモナイことを言い出した。よっぽど追い詰められているのだろう。
宰相は、ギルアに愚策のツケを払わせるつもりで当番表は放置していたが、勿論国王の退位は望んでない。
(そろそろ勘弁してあげましょうかね~)と胡散臭い笑顔を浮かべる宰相にギルアとガロンは気づいていない。
「名案があります。当番表作成はシルビア様にとって正妃の公務なのです。
それよりも優先するべき公務が出来たらそちらを優先し、当番表は作成されないでしょう」
これで解決です!という感じで明るく言いきる腹黒宰相。
---この提案には裏があった、『魅惑の当番表』の一件でシルビアの能力を知り、お飾りの正妃のままでは勿体無いと考え始める。ギルアがいつか出会える『番』の為に正妃を王宮から遠ざけておきたいのは重々承知していたが、(あの手腕は惜しい!)使えるものは何でも使うのが切れ者の宰相の方針である。
追い詰められて藁にも縋りたいギルアと(やっぱりウサギ獣人は優しいな)と感心しているガロンはそんな事には気付かない。…オーサン国の行く末がかなり不安である。
「はぁ~、仕方が無い。正妃に公務を与えるように手配してくれ」
「承知しました、英断ですギルア様!!」
宰相の声が弾んでいて、可愛い丸い尻尾がこれでもかと動いている。
ちなみに彼は同族から、優しいウサギ獣人らしからぬ腹黒さに『ウサギ獣人の突然変異』と陰で呼ばれている…。
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