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第186話 先輩の好きな料理
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GWは残り3日間あった。
私はそれから3日間、毎日本屋に通った。そして先輩がカウンターに立っていることを確認すると、店内に入って本を買った。
買った本は問題集や参考書ばかりだった。本当は小説や漫画を買いたい気持ちもあったけれども、何となく恥ずかしかったから……。
「橘さんは勉強家なんだね」
GW最後の日、私が買った数学の問題集の会計をしている先輩が笑顔で尋ねてきた。
「い、いえ。そうでもないです……。ただ、GW明けは試験がありますから」
ドキドキしながら私は答えた。
毎日本屋さんに通うようになったから、今では私と先輩は少しの会話なら交わすようになっていた。
「確かにそうだったね。休み明けにすぐ試験なんて、うちの高校って厳しいだろう?」
先輩は苦笑した。
「はい、そう思います。あ、あの……先輩は勉強……してますか?」
「え?僕?う~ん。見ての通りバイト三昧だからね。あまり出来ていないよ。でも毎日2時間は勉強するようにしているよ。これでも受験生だからね」
「あ……そう、ですよね?」
そう、先輩は3年生だから……来年の春には卒業してしまう。
「秋には本格的に受験勉強始めないとね。生徒会の仕事も二学期で終わりだし」
「そうなのですか……」
その時――。
「氷室君。昼休憩に入っていいよ」
レジカウンターの奥の扉が開いて、店長さんらしき男性が出てきた。
「はい、ありがとうございます」
男性は私と目が合うと、笑みを浮かべてカウンターへ出てきた。
「それでは休憩に入ります」
氷室先輩は男性店員さんに挨拶し、ちらりと私を見ると「またね」と言ってレジカウンターから出てきた。
「あ、あの!」
私は思わず先輩に声を掛けていた。
「うん、何?」
「せ、先輩は……お昼はいつもどうしているのですか?」
「僕はね、GW期間は外で食べているよ」
「本当ですか?」
外で食べているなら……それなら……。
『一緒に食べませんか?』
そう、尋ねたいのにどうしても勇気がでなくて言葉が出てこない。
すると、先輩が私に尋ねてきた。
「橘さん」
「は、はい!」
「もしよければ、一緒にランチに行こうか?」
「え……?」
「あ、ごめん。無理にとは言わないよ」
困ったような顔を浮かべる先輩。
「いえ……い、行きたいです。御一緒……させて下さい……」
顔が熱い。きっと私の顔は真っ赤になっているに違いない。そんな顔を見られたくなくて思わず俯いた。
すると……。
ポンと頭に手が乗せられた。
「え……?」
驚いて顔を上げると、先輩が私の頭を撫でている。
「それじゃ、一緒に行こうか?」
先輩の……声も、顔も、大きな手も……とても優しげだった。
****
「僕は、ゴールデンウイークの間はずっとこの店でランチを食べていたんだ。ここはね、ランチタイムはワンコインでオムライスが食べられるんだよ」
先輩が連れてきてくれたお店は繁華街にあるオムライス専門の洋食屋さんだった。
「先輩は……オムライスが好きなのですか?」
「うん、大好きだよ。よく家でも作るしね。1番好きな料理は何か?って聞かれたら迷わずオムライスって答えるよ」
「そうなのですね」
その時、私は思った。
いつか……先輩の為にお昼にオムライスを作ってあげられたらいいのに――と。
私はそれから3日間、毎日本屋に通った。そして先輩がカウンターに立っていることを確認すると、店内に入って本を買った。
買った本は問題集や参考書ばかりだった。本当は小説や漫画を買いたい気持ちもあったけれども、何となく恥ずかしかったから……。
「橘さんは勉強家なんだね」
GW最後の日、私が買った数学の問題集の会計をしている先輩が笑顔で尋ねてきた。
「い、いえ。そうでもないです……。ただ、GW明けは試験がありますから」
ドキドキしながら私は答えた。
毎日本屋さんに通うようになったから、今では私と先輩は少しの会話なら交わすようになっていた。
「確かにそうだったね。休み明けにすぐ試験なんて、うちの高校って厳しいだろう?」
先輩は苦笑した。
「はい、そう思います。あ、あの……先輩は勉強……してますか?」
「え?僕?う~ん。見ての通りバイト三昧だからね。あまり出来ていないよ。でも毎日2時間は勉強するようにしているよ。これでも受験生だからね」
「あ……そう、ですよね?」
そう、先輩は3年生だから……来年の春には卒業してしまう。
「秋には本格的に受験勉強始めないとね。生徒会の仕事も二学期で終わりだし」
「そうなのですか……」
その時――。
「氷室君。昼休憩に入っていいよ」
レジカウンターの奥の扉が開いて、店長さんらしき男性が出てきた。
「はい、ありがとうございます」
男性は私と目が合うと、笑みを浮かべてカウンターへ出てきた。
「それでは休憩に入ります」
氷室先輩は男性店員さんに挨拶し、ちらりと私を見ると「またね」と言ってレジカウンターから出てきた。
「あ、あの!」
私は思わず先輩に声を掛けていた。
「うん、何?」
「せ、先輩は……お昼はいつもどうしているのですか?」
「僕はね、GW期間は外で食べているよ」
「本当ですか?」
外で食べているなら……それなら……。
『一緒に食べませんか?』
そう、尋ねたいのにどうしても勇気がでなくて言葉が出てこない。
すると、先輩が私に尋ねてきた。
「橘さん」
「は、はい!」
「もしよければ、一緒にランチに行こうか?」
「え……?」
「あ、ごめん。無理にとは言わないよ」
困ったような顔を浮かべる先輩。
「いえ……い、行きたいです。御一緒……させて下さい……」
顔が熱い。きっと私の顔は真っ赤になっているに違いない。そんな顔を見られたくなくて思わず俯いた。
すると……。
ポンと頭に手が乗せられた。
「え……?」
驚いて顔を上げると、先輩が私の頭を撫でている。
「それじゃ、一緒に行こうか?」
先輩の……声も、顔も、大きな手も……とても優しげだった。
****
「僕は、ゴールデンウイークの間はずっとこの店でランチを食べていたんだ。ここはね、ランチタイムはワンコインでオムライスが食べられるんだよ」
先輩が連れてきてくれたお店は繁華街にあるオムライス専門の洋食屋さんだった。
「先輩は……オムライスが好きなのですか?」
「うん、大好きだよ。よく家でも作るしね。1番好きな料理は何か?って聞かれたら迷わずオムライスって答えるよ」
「そうなのですね」
その時、私は思った。
いつか……先輩の為にお昼にオムライスを作ってあげられたらいいのに――と。
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