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第185話 初めての会話
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まさか、こんなところに先輩がいるなんて……。
先輩は私のことを知らないのに、私の心臓はドキドキが止まらなかった。
「だ、だけど……先輩と話せる絶好のチャンスだもの……」
緊張しながら先輩のいるカウンターへ向かった。
「いらっしゃいませ」
先輩が近づいてくる私に気付いて笑顔で声を掛けてきた。その優しい声にますます心臓がドキドキする。
どうしよう……?これでは心臓が持たないかもしれない。ただでさえ、私は心臓が丈夫じゃないのに。
「あ、あの……」
声が緊張で震えてしまう。
「どうかしましたか?」
首を少しだけ傾げる氷室先輩。
「あ、あの雑誌を探しているのですけど……」
「はい、どのような雑誌ですか?」
「今月発売の『マイ・ハンドメイド』と言う雑誌なのですけど……何処に置いてありますか?」
「『マイ・ハンドメイド』5月号ですね?では御案内致します」
先輩がカウンターから出てきた。
「え?!」
まさか先輩が案内してくれるなんて!
「どうかしましたか?」
「い、いえ。お願いします」
「はい。ではこちらにどうぞ」
「はい……」
そして私は先輩に連れられてお目当ての雑誌が並べられている売り場に向かった。
「こちらにあります」
先輩が案内してくれたのは手芸の本が沢山並べられているコーナーだった。
「すみません、実は棚卸しのときに売り場の変更があったので場所が変わってしまったのです。探しましたよね?」
申し訳無さそうに先輩が謝ってきた。
「い、いえ!そんなことありません!」
だって……そのおかげで先輩と話をすることが出来たから。
「どうしますか?このままレジ迄お持ちしますか?」
先輩が雑誌を手に取ると尋ねてきた。
「はい。お願いします……」
「それではレジに戻りましょう」
私と先輩は再びカウンターへ戻った。
「お会計、700円になります」
レジを操作した先輩が声を掛けてきた。そこで1000円札を取り出すとトレーに置いた。
「1000円でお願いします」
「はい、では300円のお返しになります。ありがとうございました」
頭を下げてくる先輩。
このまま、帰りたくない……!
そう、強く思った私は勇気を振り絞って先輩に声を掛けた。
「あ、あの……先輩!」
それは今までの自分では考えられないことだった。
「え?」
先輩は驚いたように私に顔を向けた。
「あの、青葉高校の氷室先輩ですよね?生徒会長の……」
「そうだけど……。もしかして青葉高校の生徒?」
初めて先輩がお客としてでは無く、声を掛けてきてくれた。
「はい、私……今年入学した一年生です。先輩の挨拶がとても印象的だったので、覚えていたんです」
変に勘違いされたくなかったので、嘘をついてしまった。本当は……その前から知っていて、ずっと校内で探していたなんて知られたくなかったから。
「そうだったんだ。後輩の女の子だったんだね?でもよく覚えてくれていたね?」
お客がたまたまいなかったからか、先輩は嫌な顔ひとつせずに頷いてくれる。
「はい。あの……先輩はここでアルバイトをしているのですか?」
「うん、そうだよ。普段からバイトしているけど、今はGW中だからね。朝から夕方までバイト三昧だよ」
「そんなに働いていたのですね?すごいですね」
「そうでもないよ。本屋のアルバイトは好きだからね」
にこやかに話す先輩。
青葉高校は名門校だから勉強も難しいのに、アルバイトの上、生徒会長まで務めている。なんてすごい先輩なのだろう。
このときの私はまだ知らなかった。
先輩の家庭は母子家庭で、家計を助ける為に先輩がアルバイトを頑張っているということを――。
先輩は私のことを知らないのに、私の心臓はドキドキが止まらなかった。
「だ、だけど……先輩と話せる絶好のチャンスだもの……」
緊張しながら先輩のいるカウンターへ向かった。
「いらっしゃいませ」
先輩が近づいてくる私に気付いて笑顔で声を掛けてきた。その優しい声にますます心臓がドキドキする。
どうしよう……?これでは心臓が持たないかもしれない。ただでさえ、私は心臓が丈夫じゃないのに。
「あ、あの……」
声が緊張で震えてしまう。
「どうかしましたか?」
首を少しだけ傾げる氷室先輩。
「あ、あの雑誌を探しているのですけど……」
「はい、どのような雑誌ですか?」
「今月発売の『マイ・ハンドメイド』と言う雑誌なのですけど……何処に置いてありますか?」
「『マイ・ハンドメイド』5月号ですね?では御案内致します」
先輩がカウンターから出てきた。
「え?!」
まさか先輩が案内してくれるなんて!
「どうかしましたか?」
「い、いえ。お願いします」
「はい。ではこちらにどうぞ」
「はい……」
そして私は先輩に連れられてお目当ての雑誌が並べられている売り場に向かった。
「こちらにあります」
先輩が案内してくれたのは手芸の本が沢山並べられているコーナーだった。
「すみません、実は棚卸しのときに売り場の変更があったので場所が変わってしまったのです。探しましたよね?」
申し訳無さそうに先輩が謝ってきた。
「い、いえ!そんなことありません!」
だって……そのおかげで先輩と話をすることが出来たから。
「どうしますか?このままレジ迄お持ちしますか?」
先輩が雑誌を手に取ると尋ねてきた。
「はい。お願いします……」
「それではレジに戻りましょう」
私と先輩は再びカウンターへ戻った。
「お会計、700円になります」
レジを操作した先輩が声を掛けてきた。そこで1000円札を取り出すとトレーに置いた。
「1000円でお願いします」
「はい、では300円のお返しになります。ありがとうございました」
頭を下げてくる先輩。
このまま、帰りたくない……!
そう、強く思った私は勇気を振り絞って先輩に声を掛けた。
「あ、あの……先輩!」
それは今までの自分では考えられないことだった。
「え?」
先輩は驚いたように私に顔を向けた。
「あの、青葉高校の氷室先輩ですよね?生徒会長の……」
「そうだけど……。もしかして青葉高校の生徒?」
初めて先輩がお客としてでは無く、声を掛けてきてくれた。
「はい、私……今年入学した一年生です。先輩の挨拶がとても印象的だったので、覚えていたんです」
変に勘違いされたくなかったので、嘘をついてしまった。本当は……その前から知っていて、ずっと校内で探していたなんて知られたくなかったから。
「そうだったんだ。後輩の女の子だったんだね?でもよく覚えてくれていたね?」
お客がたまたまいなかったからか、先輩は嫌な顔ひとつせずに頷いてくれる。
「はい。あの……先輩はここでアルバイトをしているのですか?」
「うん、そうだよ。普段からバイトしているけど、今はGW中だからね。朝から夕方までバイト三昧だよ」
「そんなに働いていたのですね?すごいですね」
「そうでもないよ。本屋のアルバイトは好きだからね」
にこやかに話す先輩。
青葉高校は名門校だから勉強も難しいのに、アルバイトの上、生徒会長まで務めている。なんてすごい先輩なのだろう。
このときの私はまだ知らなかった。
先輩の家庭は母子家庭で、家計を助ける為に先輩がアルバイトを頑張っているということを――。
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