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14-9 ベアトリス 3
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離宮の談話室――
「全く……何故俺が参加したくもない晩餐会に1人で出席して、正装しなければならないのだ……」
ブツブツ言いながらアイゼンシュタットの騎士の正装である軍服に着替終えたエルウィンは面白くない気持ちでいっぱいだった。
「そんな事言わないで下さい」
「ええ、よく似合ってますよ」
「流石は美丈夫なエルウィン様です」
「楽しんできて下さいよ」
騎士たちはエルウィンのご機嫌を取るのに必死である。
「そんな事を言うなら、お前たちが俺の代わりに参加すればいいだろう?!」
やけになって怒鳴るエルウィンにマティアスが困り顔になる。
「無茶なこと、仰らないでくださいよ。この中で誰一人としてエルウィン様の代役を務められる者はいないのですから」
「それで?アリアドネはどうしてるんだ?」
エルウィンの質問に答えたのはカインだった。
「ええ、お部屋で休まれているようですよ」
「そうか……やはり、それだけ疲れているということなのか…」
「そうかもしれませんね」
「なら仕方ないか……後でアリアドネの様子を見ておいてくれ」
エルウィンはため息をつきながらカインに命じた。
「はい、エルウィン様」
返事をするカイン。
しかし、ここにいる誰もがアリアドネの今置かれている境遇に気付いてはいなかった。
アリアドネは部屋を出ると、どうしてもメイド達に鉢合わせしてしまう。
メイド達はアリアドネを見る度に、嫌味を言ってくるのだ。それはまるで針のむしろ状態であった。
なのでアリアドネは部屋にとじこもることにしたことにしたのだ。
「エルウィン様!た、大変ですっ!」
突然談話室に1人の騎士が飛び込んできた。
「どうしたんだ?騒がしいな」
「はい、実は城から迎えの馬車が来たのですが……」
「何だ?それくらいのことで。しかし、迎えの馬車か……。アリアドネが一緒だから馬車の迎えを受け入れたのに、行かないことになったからな……。よし、馬で行くから帰ってくれと伝えてきてくれ」
エルウィンの言葉に騎士は青ざめて首を振った。
「な、何を言っているのですか!そんなこと出来っこないですよ!」
「何故だ?断るくらいどうってことはないだろう?全く…使えない奴だな……」
「ですから無理なんですよっ!な、何しろお迎えにいらしたのは王女さまなのですから!」
「何っ?!王女だってっ?!……陛下に王女なんていたのか?」
エルウィンの間の抜けた言葉に、マティアスが割り込んできた。
「エルウィン様は本当に頭の中は戦うことか、アリアドネ様のことしか頭に無いのですね。いいですか?城には陛下の一番末の娘でいらっしゃるベアトリス様という女性がいらっしゃるのですよ?確か年齢は18歳で、婚約者もまだいらっしゃらないとか……」
「ふ~ん、妙に詳しいな。いや、それより今、何と言った?一体誰の頭の中が戦いか、アリアドネのことばかりだと言うのだ?!」
イライラした様子でマティアスに食って掛かるエルウィンに、呼びに来た騎士が半泣き状態で訴えた。
「エルウィン様っ!お願いですから王女様をお待たせしないで下さいよ!」
その時……。
「まぁ、離宮は随分騒がしいようですね?」
突然談話室に女性の声が聞こえて来た。
エルウィンが振り向くと、そこには目の覚めるような鮮やかなピンク色のドレスを着たベアトリスが立っていた――。
「全く……何故俺が参加したくもない晩餐会に1人で出席して、正装しなければならないのだ……」
ブツブツ言いながらアイゼンシュタットの騎士の正装である軍服に着替終えたエルウィンは面白くない気持ちでいっぱいだった。
「そんな事言わないで下さい」
「ええ、よく似合ってますよ」
「流石は美丈夫なエルウィン様です」
「楽しんできて下さいよ」
騎士たちはエルウィンのご機嫌を取るのに必死である。
「そんな事を言うなら、お前たちが俺の代わりに参加すればいいだろう?!」
やけになって怒鳴るエルウィンにマティアスが困り顔になる。
「無茶なこと、仰らないでくださいよ。この中で誰一人としてエルウィン様の代役を務められる者はいないのですから」
「それで?アリアドネはどうしてるんだ?」
エルウィンの質問に答えたのはカインだった。
「ええ、お部屋で休まれているようですよ」
「そうか……やはり、それだけ疲れているということなのか…」
「そうかもしれませんね」
「なら仕方ないか……後でアリアドネの様子を見ておいてくれ」
エルウィンはため息をつきながらカインに命じた。
「はい、エルウィン様」
返事をするカイン。
しかし、ここにいる誰もがアリアドネの今置かれている境遇に気付いてはいなかった。
アリアドネは部屋を出ると、どうしてもメイド達に鉢合わせしてしまう。
メイド達はアリアドネを見る度に、嫌味を言ってくるのだ。それはまるで針のむしろ状態であった。
なのでアリアドネは部屋にとじこもることにしたことにしたのだ。
「エルウィン様!た、大変ですっ!」
突然談話室に1人の騎士が飛び込んできた。
「どうしたんだ?騒がしいな」
「はい、実は城から迎えの馬車が来たのですが……」
「何だ?それくらいのことで。しかし、迎えの馬車か……。アリアドネが一緒だから馬車の迎えを受け入れたのに、行かないことになったからな……。よし、馬で行くから帰ってくれと伝えてきてくれ」
エルウィンの言葉に騎士は青ざめて首を振った。
「な、何を言っているのですか!そんなこと出来っこないですよ!」
「何故だ?断るくらいどうってことはないだろう?全く…使えない奴だな……」
「ですから無理なんですよっ!な、何しろお迎えにいらしたのは王女さまなのですから!」
「何っ?!王女だってっ?!……陛下に王女なんていたのか?」
エルウィンの間の抜けた言葉に、マティアスが割り込んできた。
「エルウィン様は本当に頭の中は戦うことか、アリアドネ様のことしか頭に無いのですね。いいですか?城には陛下の一番末の娘でいらっしゃるベアトリス様という女性がいらっしゃるのですよ?確か年齢は18歳で、婚約者もまだいらっしゃらないとか……」
「ふ~ん、妙に詳しいな。いや、それより今、何と言った?一体誰の頭の中が戦いか、アリアドネのことばかりだと言うのだ?!」
イライラした様子でマティアスに食って掛かるエルウィンに、呼びに来た騎士が半泣き状態で訴えた。
「エルウィン様っ!お願いですから王女様をお待たせしないで下さいよ!」
その時……。
「まぁ、離宮は随分騒がしいようですね?」
突然談話室に女性の声が聞こえて来た。
エルウィンが振り向くと、そこには目の覚めるような鮮やかなピンク色のドレスを着たベアトリスが立っていた――。
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