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14−8 ベアトリス 2
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17時――
「何だってっ?!アリアドネッ!陛下に呼ばれた晩餐会に出席しないというのか?!」
離宮の広間にエルウィンの声が響き渡った。
騎士たちと剣の訓練を終えて広間に集まっている時にアリアドネが訪ねてきて、突然今夜開催される晩餐会を欠席させて欲しいと告げに来たのだった。
「はい……申し訳ございません。エルウィン様」
アリアドネは申し訳無さげに頭を上げた。
「何故だ?陛下は俺とお前の2人で晩餐会に来るように招待しているんだぞ?理由を教えてくれ!」
「……」
アリアドネが押し黙ってしまったので、エルウィンは焦れた様子で再度尋ねてきた。
「どうした?アリアドネ。なぜ黙っているんだ?」
「あ、あの…それは……た、旅の疲れで…今夜はゆっくり休みたい…からです……」
追及されて観念したアリアドネは言葉を詰まらせながら不参加の理由を告げるも、それは真っ赤な嘘だった。
実はエルウィン達が剣術の特訓で不在の時にベアトリスが派遣したメイドたちがアリアドネに難癖をつけて来たのだ。
妾腹の娘で、貴族としての嗜みやテーブルマナーも知らずに参加してエルウィンに恥をかかせるつもりなのか?と……。
更に、晩餐会に出る準備をアリアドネの為に手伝うつもりは更々無いと言い切ったのだ。
元より、1人でドレスを着ることなどアリアドネには不可能だった。
そこでアリアドネは晩餐会に出席することを断念したのだが……。
「何だって?旅の疲れが酷いのか?よし、だったら俺も旅で疲れたと言って晩餐会を欠席しよう」
エルウィンはとんでもないことを言い出した。
「え?!い、いけません。エルウィン様は出席して下さい!」
まさか欠席すると言い出すとは思わなかったアリアドネは焦った。
しかも、あの『戦場の暴君』と呼ばれるエルウィンが旅で疲れた等言っても恐らく誰も信じてくれるはずはないだろう。
「そうですよ!エルウィン様!」
「エルウィン様の為の晩餐会なのですよ?!」
「陛下に逆らうおつもりですか?!」
エルウィンとアリアドネの会話を耳にした騎士たちがワラワラと集まり、次々にエルウィンを説得し始める。
「な、何だっ?!お前達!何処から湧いて出て来た?!」
突然騎士達に取り囲まれたエルウィンは反論した。
「我々を虫のような言い方しないで下さいっ!」
「仮にもエルウィン様が旅で疲れた、なんて言って誰が信用するんですか!」
「う…わ、分かった!出席するっ!すればいいのだろうっ?!俺1人で!」
ついに、周囲からの圧力に根負けしたエルウィンは晩餐会に1人で出席することを承諾するのだった――。
そして、ここにいる誰もが知らなかった。
ベアトリスのメイドたちが会話を盗み聞きしていたことを。
会話の内容をベアトリスに報告していたことを……。
****
「フフフ…そう。アリアドネは晩餐会に出席することを諦めたのね」
伝書鳩が運んできた手紙を自室で読み終えたベアトリスは読み終えた手紙を暖炉の中に放り込んだ。
たちまち、手紙は炎に包まれる。
「それではエルウィン様をお迎えに行こうかしら」
ベアトリスは笑みを浮かべると、馬車に乗る為に自室を後にした――。
「何だってっ?!アリアドネッ!陛下に呼ばれた晩餐会に出席しないというのか?!」
離宮の広間にエルウィンの声が響き渡った。
騎士たちと剣の訓練を終えて広間に集まっている時にアリアドネが訪ねてきて、突然今夜開催される晩餐会を欠席させて欲しいと告げに来たのだった。
「はい……申し訳ございません。エルウィン様」
アリアドネは申し訳無さげに頭を上げた。
「何故だ?陛下は俺とお前の2人で晩餐会に来るように招待しているんだぞ?理由を教えてくれ!」
「……」
アリアドネが押し黙ってしまったので、エルウィンは焦れた様子で再度尋ねてきた。
「どうした?アリアドネ。なぜ黙っているんだ?」
「あ、あの…それは……た、旅の疲れで…今夜はゆっくり休みたい…からです……」
追及されて観念したアリアドネは言葉を詰まらせながら不参加の理由を告げるも、それは真っ赤な嘘だった。
実はエルウィン達が剣術の特訓で不在の時にベアトリスが派遣したメイドたちがアリアドネに難癖をつけて来たのだ。
妾腹の娘で、貴族としての嗜みやテーブルマナーも知らずに参加してエルウィンに恥をかかせるつもりなのか?と……。
更に、晩餐会に出る準備をアリアドネの為に手伝うつもりは更々無いと言い切ったのだ。
元より、1人でドレスを着ることなどアリアドネには不可能だった。
そこでアリアドネは晩餐会に出席することを断念したのだが……。
「何だって?旅の疲れが酷いのか?よし、だったら俺も旅で疲れたと言って晩餐会を欠席しよう」
エルウィンはとんでもないことを言い出した。
「え?!い、いけません。エルウィン様は出席して下さい!」
まさか欠席すると言い出すとは思わなかったアリアドネは焦った。
しかも、あの『戦場の暴君』と呼ばれるエルウィンが旅で疲れた等言っても恐らく誰も信じてくれるはずはないだろう。
「そうですよ!エルウィン様!」
「エルウィン様の為の晩餐会なのですよ?!」
「陛下に逆らうおつもりですか?!」
エルウィンとアリアドネの会話を耳にした騎士たちがワラワラと集まり、次々にエルウィンを説得し始める。
「な、何だっ?!お前達!何処から湧いて出て来た?!」
突然騎士達に取り囲まれたエルウィンは反論した。
「我々を虫のような言い方しないで下さいっ!」
「仮にもエルウィン様が旅で疲れた、なんて言って誰が信用するんですか!」
「う…わ、分かった!出席するっ!すればいいのだろうっ?!俺1人で!」
ついに、周囲からの圧力に根負けしたエルウィンは晩餐会に1人で出席することを承諾するのだった――。
そして、ここにいる誰もが知らなかった。
ベアトリスのメイドたちが会話を盗み聞きしていたことを。
会話の内容をベアトリスに報告していたことを……。
****
「フフフ…そう。アリアドネは晩餐会に出席することを諦めたのね」
伝書鳩が運んできた手紙を自室で読み終えたベアトリスは読み終えた手紙を暖炉の中に放り込んだ。
たちまち、手紙は炎に包まれる。
「それではエルウィン様をお迎えに行こうかしら」
ベアトリスは笑みを浮かべると、馬車に乗る為に自室を後にした――。
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