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14−10 ベアトリス 4
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「貴方がエルウィン様ですか?……確かにとてもお美しい顔立ちをされているお方ですね」
漆黒の黒髪に青い瞳が美しいエルウィンにすっかりベアトリスは魅了されていた。
(戦場の暴君と呼ばれ、仮面の下に隠された素顔はとても恐ろしいと聞かされていたあの辺境伯がこんなに美しい方だったなんて……)
じっと不躾な目で自分を見つめてくるベアトリスにエルウィンは眉をしかめた。
「…誰だ?」
「え?」
突然自分が何者か問われたベアトリスは驚いた。
するとベアトリスの背後に控えていた侍女が声を上げた。
「ま、まぁ!何と言うことでしょう!辺境伯様はこの方がどなたなのかご存知ないのですか?」
「ああ、そうだ。名乗りもせずにいきなり声を掛けられても分かるはずもないだろう?」
「エルウィン様っ!こちらにいらっしゃるお方は『レビアス』王国の王女様ですよ!」
マティアスが必死で説明する。
「王女だって………?」
エルウィンは改めてベアトリスを見つめた。
確かによく見れば、目の前に立つベアトリスは豪華なドレスにアクセサリーを身に着けている。
けれど、全く自分の趣味では無いとエルウィンは思った。
「はい、そうです。エルウィン様」
ベアトリスはエルウィンが自分を見つめる視線を心地よいものとして捉えていた。
(フフフ……きっとエルウィン様は私の美貌に見惚れているのだわ。でも無理もないわね。田舎に住んでいらっしゃる辺境伯様では女性を見る機会も少ないでしょうから)
自分の美しさに絶対的な自信を持っていたベアトリスはエルウィンが自分に一目惚れしたと思いこんでいたのだ。
「失礼致しました。私の名前はエルウィン・アイゼンシュタットと申します。王女殿下にご挨拶が遅れて申し訳ございません」
丁寧に挨拶をした。
「いいえ、この国の最北端にお住まいならば私のことが分からなくても無理は無いと思います。どうぞお気になさらないで下さい」
2人の会話をアイゼンシュタットの騎士たちはハラハラしながら見守っていた。
何か王女様に失礼な事を言ったりしないか……騎士たちはそのことが一番の気がかりだった。
「それで?王女が一体どのようなご要件でこちらにいらしたのですか?」
エルウィンの言葉に、彼を呼びに来た兵士は心の中で悲鳴を上げた。
王女が迎えに来ている事は既に告げてあるのに、まるで何も知らないかのような対応を取るとは思いもしていなかったからだ。
「あら?騎士の方から伺っていないのですか?今夜は王宮で晩餐会が開かれるので、エルウィン様のお迎えにいらしたのですよ?」
「そうですか。ですが折角来て頂いたのに、申し訳ないですが……」
エルウィンが言いかけた時、マティアスが割って入ってきた。
「ありがとうございます!王女様の方から迎えに来て頂けるとはこの上なき名誉なことです!さ、どうぞエルウィン様!我々は留守番をしておりますので、どうぞ晩餐会を楽しんできて下さいませっ!」
「お、おい!お前……!」
エルウィンはマティアスに抗議しょうと思ったが、ベアトリスはにっこり笑った。
「そう言って頂けると光栄ですわ。さ、では参りましょうか?エルウィン様」
(マティアスの奴!)
エルウィンは心の中で舌打ちしたが……。
しかし、所詮相手は王女。
「…はい、分かりました……」
エルウィンは渋々了承するのだった――。
漆黒の黒髪に青い瞳が美しいエルウィンにすっかりベアトリスは魅了されていた。
(戦場の暴君と呼ばれ、仮面の下に隠された素顔はとても恐ろしいと聞かされていたあの辺境伯がこんなに美しい方だったなんて……)
じっと不躾な目で自分を見つめてくるベアトリスにエルウィンは眉をしかめた。
「…誰だ?」
「え?」
突然自分が何者か問われたベアトリスは驚いた。
するとベアトリスの背後に控えていた侍女が声を上げた。
「ま、まぁ!何と言うことでしょう!辺境伯様はこの方がどなたなのかご存知ないのですか?」
「ああ、そうだ。名乗りもせずにいきなり声を掛けられても分かるはずもないだろう?」
「エルウィン様っ!こちらにいらっしゃるお方は『レビアス』王国の王女様ですよ!」
マティアスが必死で説明する。
「王女だって………?」
エルウィンは改めてベアトリスを見つめた。
確かによく見れば、目の前に立つベアトリスは豪華なドレスにアクセサリーを身に着けている。
けれど、全く自分の趣味では無いとエルウィンは思った。
「はい、そうです。エルウィン様」
ベアトリスはエルウィンが自分を見つめる視線を心地よいものとして捉えていた。
(フフフ……きっとエルウィン様は私の美貌に見惚れているのだわ。でも無理もないわね。田舎に住んでいらっしゃる辺境伯様では女性を見る機会も少ないでしょうから)
自分の美しさに絶対的な自信を持っていたベアトリスはエルウィンが自分に一目惚れしたと思いこんでいたのだ。
「失礼致しました。私の名前はエルウィン・アイゼンシュタットと申します。王女殿下にご挨拶が遅れて申し訳ございません」
丁寧に挨拶をした。
「いいえ、この国の最北端にお住まいならば私のことが分からなくても無理は無いと思います。どうぞお気になさらないで下さい」
2人の会話をアイゼンシュタットの騎士たちはハラハラしながら見守っていた。
何か王女様に失礼な事を言ったりしないか……騎士たちはそのことが一番の気がかりだった。
「それで?王女が一体どのようなご要件でこちらにいらしたのですか?」
エルウィンの言葉に、彼を呼びに来た兵士は心の中で悲鳴を上げた。
王女が迎えに来ている事は既に告げてあるのに、まるで何も知らないかのような対応を取るとは思いもしていなかったからだ。
「あら?騎士の方から伺っていないのですか?今夜は王宮で晩餐会が開かれるので、エルウィン様のお迎えにいらしたのですよ?」
「そうですか。ですが折角来て頂いたのに、申し訳ないですが……」
エルウィンが言いかけた時、マティアスが割って入ってきた。
「ありがとうございます!王女様の方から迎えに来て頂けるとはこの上なき名誉なことです!さ、どうぞエルウィン様!我々は留守番をしておりますので、どうぞ晩餐会を楽しんできて下さいませっ!」
「お、おい!お前……!」
エルウィンはマティアスに抗議しょうと思ったが、ベアトリスはにっこり笑った。
「そう言って頂けると光栄ですわ。さ、では参りましょうか?エルウィン様」
(マティアスの奴!)
エルウィンは心の中で舌打ちしたが……。
しかし、所詮相手は王女。
「…はい、分かりました……」
エルウィンは渋々了承するのだった――。
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