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遠くからこそ見えるもの
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まず、殿下の護衛として最初に言い訳させてもらう。
オレね、カトリアナ嬢に頼まれてたから、ちゃんと距離は取ってたんだよ。
かなり、後ろに下がってたしさ。
でもさ、結構、あの令嬢の声が大きかったんだ。
だってもう、一生懸命に、必死に、殿下に訴えてたもんだから。
ハイ、そうなんです。
つまり聞こえちゃいました。全部。
・・・でも、正直カトリアナ嬢が、あんなに殿下の気持ちがわかってるとは思ってもいなかった。
だから、カトリアナ嬢が口を開いた時、本当に驚いたんだ。
自分から諦めようとしないでって。
何故、自分からエレアーナ嬢の手を放そうとするのかって。
そう、必死に訴えて。
ああ、よくぞ言ってくれたって。
そう思ったんだ。
・・・最近の殿下のご様子を見ていて、オレも同じ気持ちだったから。
図星を指された殿下は、案の定、その言葉に何も返すことが出来なくて。
でも、カトリアナ嬢は、殿下が黙り込んだくらいじゃ怯まなくて。
更に言葉を重ねて。
そんなに好きなのに、自分から終わらるようなことをするなって、叱ってくれた。
エレアーナ嬢が好きで堪らない、その気持ちを否定するなって、怒ってくれたんだ。
真っ赤な顔で、涙目になって、肩を震わせながら、怒ってくれた。
・・・それもきっと、すべては殿下のために。
殿下の心を、軽くするために。
あの子は、凄く殿下のことを理解ていて。
今回のことで殿下が抱えていた、ケインへのコンプレックスも、エレアーナ嬢に感じていた引け目も、何もかもお見通しで。
だから、あんな言葉が言えたんだと思う。
殿下に一番必要な言葉で。
殿下が一番要らないと思っていた言葉。
レオンハルト王太子殿下がケインバッハに劣る筈はないって。
たとえ、今、エレアーナ嬢が置かれている状況が、殿下の婚約者選びが発端になって起きたことだとしても、それは殿下の想いとは関係がないって。
そう言って、殿下の心を縛っていた枷を、解いてくれた。
メンタルは結構強いくせに、自分に厳しすぎて際限なく自らを追い込んでしまう心優しき殿下の、心の枷を。
そうして、好きで堪らないのに、罪悪感で一杯になってエレアーナ嬢の側にいることも出来なくなっていた殿下を、救ってくれた。
うっわー、もの凄い良い子じゃんって、後ろで聞いてたオレの方が泣きそうになったくらい。
それにしても、あんだけはっきりきっぱり言っておいて、後で我に返って恐縮しまくってたのは、なかなか可愛かった。
後ろで笑いを堪えるの、結構大変だったんだよ。
まぁ、殿下は実際に笑ってたけど。
オレは紳士だからね、ちゃんと堪えたよ。
確かに、自国の王太子殿下を叱りつけるなんて、普通だったら不敬罪に当たるんだろうけどさ。
でも殿下は、あの言葉を誰かに言ってもらうことが必要だった。
なのにそれは、オレが言っても、ケインが言っても、たとえエレアーナ嬢が言ったとしても、きっと殿下には届かなかった言葉だったから。
だからこそ、オレたちの中の誰ひとり、気づいていても言うことが出来なかった言葉でもあって。
決して近しい間柄ではない、一定の距離感のある、只の知り合いのご令嬢からの言葉だったからこそ、殿下の心に届いたんだと思う。
あの後、馬車での帰り道、殿下はずっと考え込んでいて。
一言も話さずに、ただじっと窓から外の景色を見ていた。
でも、今までとは違う沈黙で。
どこか前向きで明るくて。
あの綺麗な紫の眼は、もう俯いてはいなかった。
まっすぐに、前を向いていたから。
ああ、きっと、もう、大丈夫だ。
そう思えた。
だから、カトリアナ嬢には感謝しかない。
あんな風に、殿下の背中を押してくれて。
エレアーナ嬢を好きでいても大丈夫だ、頑張れって、言ってくれて。
あんなこと、普通なかなか出来ない。
本当に、・・・本当に、立派な令嬢だと思う。
だって、オレは知ってる。
オレは殿下の護衛として、いつもそばに控えてたから。
知ってるんだ。
あの令嬢が。
カトリアナ嬢が、いつも殿下の姿を目で追っていたことを。
いつも嬉しそうに、そして少し切なそうに、殿下とエレアーナ嬢が並んで話す姿を見つめていたことを。
オレね、カトリアナ嬢に頼まれてたから、ちゃんと距離は取ってたんだよ。
かなり、後ろに下がってたしさ。
でもさ、結構、あの令嬢の声が大きかったんだ。
だってもう、一生懸命に、必死に、殿下に訴えてたもんだから。
ハイ、そうなんです。
つまり聞こえちゃいました。全部。
・・・でも、正直カトリアナ嬢が、あんなに殿下の気持ちがわかってるとは思ってもいなかった。
だから、カトリアナ嬢が口を開いた時、本当に驚いたんだ。
自分から諦めようとしないでって。
何故、自分からエレアーナ嬢の手を放そうとするのかって。
そう、必死に訴えて。
ああ、よくぞ言ってくれたって。
そう思ったんだ。
・・・最近の殿下のご様子を見ていて、オレも同じ気持ちだったから。
図星を指された殿下は、案の定、その言葉に何も返すことが出来なくて。
でも、カトリアナ嬢は、殿下が黙り込んだくらいじゃ怯まなくて。
更に言葉を重ねて。
そんなに好きなのに、自分から終わらるようなことをするなって、叱ってくれた。
エレアーナ嬢が好きで堪らない、その気持ちを否定するなって、怒ってくれたんだ。
真っ赤な顔で、涙目になって、肩を震わせながら、怒ってくれた。
・・・それもきっと、すべては殿下のために。
殿下の心を、軽くするために。
あの子は、凄く殿下のことを理解ていて。
今回のことで殿下が抱えていた、ケインへのコンプレックスも、エレアーナ嬢に感じていた引け目も、何もかもお見通しで。
だから、あんな言葉が言えたんだと思う。
殿下に一番必要な言葉で。
殿下が一番要らないと思っていた言葉。
レオンハルト王太子殿下がケインバッハに劣る筈はないって。
たとえ、今、エレアーナ嬢が置かれている状況が、殿下の婚約者選びが発端になって起きたことだとしても、それは殿下の想いとは関係がないって。
そう言って、殿下の心を縛っていた枷を、解いてくれた。
メンタルは結構強いくせに、自分に厳しすぎて際限なく自らを追い込んでしまう心優しき殿下の、心の枷を。
そうして、好きで堪らないのに、罪悪感で一杯になってエレアーナ嬢の側にいることも出来なくなっていた殿下を、救ってくれた。
うっわー、もの凄い良い子じゃんって、後ろで聞いてたオレの方が泣きそうになったくらい。
それにしても、あんだけはっきりきっぱり言っておいて、後で我に返って恐縮しまくってたのは、なかなか可愛かった。
後ろで笑いを堪えるの、結構大変だったんだよ。
まぁ、殿下は実際に笑ってたけど。
オレは紳士だからね、ちゃんと堪えたよ。
確かに、自国の王太子殿下を叱りつけるなんて、普通だったら不敬罪に当たるんだろうけどさ。
でも殿下は、あの言葉を誰かに言ってもらうことが必要だった。
なのにそれは、オレが言っても、ケインが言っても、たとえエレアーナ嬢が言ったとしても、きっと殿下には届かなかった言葉だったから。
だからこそ、オレたちの中の誰ひとり、気づいていても言うことが出来なかった言葉でもあって。
決して近しい間柄ではない、一定の距離感のある、只の知り合いのご令嬢からの言葉だったからこそ、殿下の心に届いたんだと思う。
あの後、馬車での帰り道、殿下はずっと考え込んでいて。
一言も話さずに、ただじっと窓から外の景色を見ていた。
でも、今までとは違う沈黙で。
どこか前向きで明るくて。
あの綺麗な紫の眼は、もう俯いてはいなかった。
まっすぐに、前を向いていたから。
ああ、きっと、もう、大丈夫だ。
そう思えた。
だから、カトリアナ嬢には感謝しかない。
あんな風に、殿下の背中を押してくれて。
エレアーナ嬢を好きでいても大丈夫だ、頑張れって、言ってくれて。
あんなこと、普通なかなか出来ない。
本当に、・・・本当に、立派な令嬢だと思う。
だって、オレは知ってる。
オレは殿下の護衛として、いつもそばに控えてたから。
知ってるんだ。
あの令嬢が。
カトリアナ嬢が、いつも殿下の姿を目で追っていたことを。
いつも嬉しそうに、そして少し切なそうに、殿下とエレアーナ嬢が並んで話す姿を見つめていたことを。
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