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からかい、からかわれ
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レオンハルトから知らされた昨夜の夜会の報告に、カトリアナが嬉しそうに顏を綻ばせる。
「まあまあまあ、そうなんですの。エレアーナさまが、おめでたとは・・・」
「まだ確定はしてないみたいだけどね。今日、医者に診せるんだって」
レオンハルトも我が事のように嬉しそうに話す。
「ケインバッハさまとエレアーナさまとのお子さまでしたら、さぞやお美しいでしょうね」
「うん、男でも女でも、美形なのは間違いないね」
赤子の顔でも想像しているのだろうか。
うっとりとしながらそう呟いたカトリアナは、とても幸せそうだ。
他人の幸せを自分のことのように喜べるこの純粋で愛情深い女性が、レオンハルトは大好きだ。
だからこそ、最近になって発覚した一部の貴族の動きに激怒してもいるのだが。
・・・己の私利私欲で、こんなに無垢で優しい子を害そうとするなんて。
エレアーナが狙われた時とはまた異なる、激情と独占欲と庇護欲が生み出す怒り。
絶対に許さない。
カトリアナに、指一本触れさせてなるものか。
目の前で愛する人が幸せそうに微笑む、この貴重で穏やかな時間を永遠に僕のものにするんだ。
知らず、ぐっと強く握りしめた拳に気づき、意識的に息を吐く。
まあ、ベイベル国側としては、欲しいものを手に入れるために呑んだ交換条件に過ぎないんだろうけど。
「・・・レオンさま?」
目の前にいる幸せの象徴が首を傾げてこちらを見る。
「・・・何でもないよ」
「そう、ですか?」
・・・この子は、こういうのは聡いんだよな。
思わず苦笑が漏れ、どうやって誤魔化そうと考えて、ふとひらめく。
「君と僕の子どもも、きっと可愛いだろうなって、そう思ってさ」
「・・・!」
ほら、命中。
一瞬で真っ赤っ赤だ。
「こど・・・こど・・・子ども・・・。ああ、そう、・・・そうですわよね。ええと・・・わたくしたちも、その・・・いつかは・・・」
「いつか? 式はもう半年後に迫ってるけど?」
「ああ、はい・・・。そう・・・ですね」
ああ、どれだけ揶揄っても飽きないな。
真っ赤になって、あわくって、おどおどする姿が可愛くて。
「あ、あの・・・レオンさま」
「ん?」
「わた、くしも」
「え?」
俯いて、ぼそぼそと話す小さな声がよく聞き取れなくて。
前に体を傾けて耳を寄せる。
「わたくし・・・も、楽しみにしております」
「はい?」
「あの・・・レオンさまとの・・・子どもを授かる日を」
「・・・」
・・・やられた。
ていうか、やり返された。
いや、仕掛けたのは自分なんだけど。
でも、これは。
この答えは、いくらなんでも。
やばい、頬が熱い。
顔に一気に熱が集まるの分かる。
うわ、こんな顔、見られたら。
「レオン、さま?」
・・・見られたら。
椅子に座ったまま、思わずカトリアナをぎゅっと胸の中に閉じ込める。
「え? レオンさま?」
「・・・いいから。暫くこのままでいて」
「あ、・・・はい」
参ったな。
いつだって主導権を握っていたいのに。
君の前では、余裕綽々の男でいたいのに。
こんなんじゃ格好つかない。
まあ、でも。見られてないからセーフ・・・かな?
腕の中にカトリアナを閉じ込めて、安堵の息を吐いて。
・・・そして。
「!」
はたと気がついた。
斜め向かいに無言で立つ警護の茶髪の男に。
そこから少し離れたところに立つカトリアナ付きの警護に。
・・・待てよ。まだいるじやないか。
恐る恐る視線を斜め後ろに流せば、能面のように表情を固まらせている侍女と、目をキラキラさせて喜んでいるもう一人の侍女(護衛)と。
そうだ。
そして、最悪なのがこいつだ。
茶器を片す振りをしながら、にやにやとした笑みを隠そうともしない侍従姿の男。
ちらり、と目をやれば、意図せずあちらの視線と交差して。
人を揶揄うのが趣味というその憎たらしい男は、こちらをじっと見据えながらおもむろに口を開いて。
無言で口をぱくぱくと動かした。
ええと?
ご、ち、そ、う、さ、ま・・・?
って、あいつ・・・!
思わずカトリアナを抱く腕に力が籠る。
「レオンさま?」
「・・・ああ、ごめん。もうちょっとだけ、このままで」
「はい」
カトリアナはそう答えると、大人しく腕の中に納まる。
ああ、可愛い。いや、そうじゃなくて。
くそ、落ち着け。
落ち着け、平常心を保て。
まあ、元はと言えば自分が蒔いた種だけど。
だけど、あいつ、ベルフェルト。
覚えてろよ。
お前の番がきたら、嫌というほど揶揄ってやるからな。
「まあまあまあ、そうなんですの。エレアーナさまが、おめでたとは・・・」
「まだ確定はしてないみたいだけどね。今日、医者に診せるんだって」
レオンハルトも我が事のように嬉しそうに話す。
「ケインバッハさまとエレアーナさまとのお子さまでしたら、さぞやお美しいでしょうね」
「うん、男でも女でも、美形なのは間違いないね」
赤子の顔でも想像しているのだろうか。
うっとりとしながらそう呟いたカトリアナは、とても幸せそうだ。
他人の幸せを自分のことのように喜べるこの純粋で愛情深い女性が、レオンハルトは大好きだ。
だからこそ、最近になって発覚した一部の貴族の動きに激怒してもいるのだが。
・・・己の私利私欲で、こんなに無垢で優しい子を害そうとするなんて。
エレアーナが狙われた時とはまた異なる、激情と独占欲と庇護欲が生み出す怒り。
絶対に許さない。
カトリアナに、指一本触れさせてなるものか。
目の前で愛する人が幸せそうに微笑む、この貴重で穏やかな時間を永遠に僕のものにするんだ。
知らず、ぐっと強く握りしめた拳に気づき、意識的に息を吐く。
まあ、ベイベル国側としては、欲しいものを手に入れるために呑んだ交換条件に過ぎないんだろうけど。
「・・・レオンさま?」
目の前にいる幸せの象徴が首を傾げてこちらを見る。
「・・・何でもないよ」
「そう、ですか?」
・・・この子は、こういうのは聡いんだよな。
思わず苦笑が漏れ、どうやって誤魔化そうと考えて、ふとひらめく。
「君と僕の子どもも、きっと可愛いだろうなって、そう思ってさ」
「・・・!」
ほら、命中。
一瞬で真っ赤っ赤だ。
「こど・・・こど・・・子ども・・・。ああ、そう、・・・そうですわよね。ええと・・・わたくしたちも、その・・・いつかは・・・」
「いつか? 式はもう半年後に迫ってるけど?」
「ああ、はい・・・。そう・・・ですね」
ああ、どれだけ揶揄っても飽きないな。
真っ赤になって、あわくって、おどおどする姿が可愛くて。
「あ、あの・・・レオンさま」
「ん?」
「わた、くしも」
「え?」
俯いて、ぼそぼそと話す小さな声がよく聞き取れなくて。
前に体を傾けて耳を寄せる。
「わたくし・・・も、楽しみにしております」
「はい?」
「あの・・・レオンさまとの・・・子どもを授かる日を」
「・・・」
・・・やられた。
ていうか、やり返された。
いや、仕掛けたのは自分なんだけど。
でも、これは。
この答えは、いくらなんでも。
やばい、頬が熱い。
顔に一気に熱が集まるの分かる。
うわ、こんな顔、見られたら。
「レオン、さま?」
・・・見られたら。
椅子に座ったまま、思わずカトリアナをぎゅっと胸の中に閉じ込める。
「え? レオンさま?」
「・・・いいから。暫くこのままでいて」
「あ、・・・はい」
参ったな。
いつだって主導権を握っていたいのに。
君の前では、余裕綽々の男でいたいのに。
こんなんじゃ格好つかない。
まあ、でも。見られてないからセーフ・・・かな?
腕の中にカトリアナを閉じ込めて、安堵の息を吐いて。
・・・そして。
「!」
はたと気がついた。
斜め向かいに無言で立つ警護の茶髪の男に。
そこから少し離れたところに立つカトリアナ付きの警護に。
・・・待てよ。まだいるじやないか。
恐る恐る視線を斜め後ろに流せば、能面のように表情を固まらせている侍女と、目をキラキラさせて喜んでいるもう一人の侍女(護衛)と。
そうだ。
そして、最悪なのがこいつだ。
茶器を片す振りをしながら、にやにやとした笑みを隠そうともしない侍従姿の男。
ちらり、と目をやれば、意図せずあちらの視線と交差して。
人を揶揄うのが趣味というその憎たらしい男は、こちらをじっと見据えながらおもむろに口を開いて。
無言で口をぱくぱくと動かした。
ええと?
ご、ち、そ、う、さ、ま・・・?
って、あいつ・・・!
思わずカトリアナを抱く腕に力が籠る。
「レオンさま?」
「・・・ああ、ごめん。もうちょっとだけ、このままで」
「はい」
カトリアナはそう答えると、大人しく腕の中に納まる。
ああ、可愛い。いや、そうじゃなくて。
くそ、落ち着け。
落ち着け、平常心を保て。
まあ、元はと言えば自分が蒔いた種だけど。
だけど、あいつ、ベルフェルト。
覚えてろよ。
お前の番がきたら、嫌というほど揶揄ってやるからな。
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