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第2章
第285話 透明カーテン
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薬師のおばあちゃんのところでは、お店のカウンターのところに透けて見えるカーテンが付けられて、カウンターの内側と外側が仕切られていた。
網をスライムジェルで出来た樹脂をコーティングしたもので、空気を通さなくしているから衝立の役割をしつつ、視界を確保するものなのだそうだ。
感染症の連絡を聞いて、薬師のおばあちゃんがルドおじさんに要望を出して急遽作ったものなのだそうだ。
母様は興味を持ったらしくて、お店に到着した時、魔道具の話をする前に透明カーテンについて色々質問していた。
透明カーテンの下からルドおじさんがトレーに乗った魔導ロープのサンプルを出してくれた。
細い金属を撚り合わせて作られたロープのようだ。
「魔力を通すようにミスリルを混合した金属を使っているんだよ」
「ミスリル!」
高い魔道具や武器に使われているって聞いたことがあるものだ。
「そう。原料が手に入りにくくて高価なのが悩みの種なんだ。……それなのに、こっちはほぼ魔石だけで出来ているんだね……」
ルドおじさんは、じっと指輪に顔を近づけて凝視している。
「……よーくみると魔法陣が刻まれているのが見えるけど……、すごーくすごーく細かいね。この魔法陣はどこで知ったの?」
「え?どこでだろう……?」
水筒のカップに風魔法で音を集めた時の魔法に色々付け加えたら出来たものだ。
元の魔法陣がなんだったのかは、よくわからなくなってしまった。
「元の魔法陣はなんだったかな……、何かを弄ったら出来た感じ?」
「ほうほう!」
ルドおじさんがルーペを出して魔石を更に覗き込み始めると、薬師のおばあちゃんが止めに入った。
「ルド、後にしな。……この魔道具で何かあったら連絡をしろってことだね。それと守秘義務の契約かい」
「そうなの。信頼はしているけど、一応契約書に署名をして欲しいの。
……それと、このカーテンは量産はできるかしら?」
母様が、透明なカーテンを差し示して伺うように首を傾げた。
「……署名は承知した。カーテンは、数によるね」
薬師のおばあちゃんは表情を変えずに答えた。母様はパッと笑顔になって胸の前で手を合わせた。
「良かった!カーテンは、状況によるけれど沢山必要になると思うの。
どこかの工房に製造を依頼したほうが良いかもしれないわね。商業ギルドへの登録はしてあるのかしら」
「登録済みだよ。『日の光を遮らないカーテンは何の意味があるのか』と言われたがね」
「まあ、うふふ……」
薬師のおばあちゃんは他にも感染症対策として「洗浄液」という手を綺麗に洗浄した状態にする液体を作っていた。
強いお酒で作られているらしいのだけど、別バージョンも考えているのだそうだ。
「……光水を混ぜたものを作りたいのだが、こっちはクリスに確認してからと思っていた」
「え?」
「光水を作ったのはクリスだからね」
「洗浄液」に光水の解毒の効果をプラスしたいのだそうだ。光水を最初に作ったのは僕だから僕に確認をしたかったのだそうだ。
光水はまだ薬師ギルドにも商業ギルドにも登録をしていない。登録した品なら使用料を払うとかすれば、混ぜたものを商品化出来たりするらしい。
そうではないから、僕に確認したかったんだって。
「使うのは別に良いと思うよ。……光水をギルドに登録した方が良いのかな」
「クリスの名前で登録をするのは、今はまだ避けたいわね」
「ダミーの名前にするの?」
「商業ギルドは、シャルに頼めばやってくれるでしょうけれど……。薬師ギルドはどうなのかしらね」
光水を薬師ギルドや商業ギルドに登録した方が良いのかなと思って聞いてみると、
母様が難しそうに眉を歪めた。
僕の名前で登録して世間に注目されるのを避けたいらしい。
網をスライムジェルで出来た樹脂をコーティングしたもので、空気を通さなくしているから衝立の役割をしつつ、視界を確保するものなのだそうだ。
感染症の連絡を聞いて、薬師のおばあちゃんがルドおじさんに要望を出して急遽作ったものなのだそうだ。
母様は興味を持ったらしくて、お店に到着した時、魔道具の話をする前に透明カーテンについて色々質問していた。
透明カーテンの下からルドおじさんがトレーに乗った魔導ロープのサンプルを出してくれた。
細い金属を撚り合わせて作られたロープのようだ。
「魔力を通すようにミスリルを混合した金属を使っているんだよ」
「ミスリル!」
高い魔道具や武器に使われているって聞いたことがあるものだ。
「そう。原料が手に入りにくくて高価なのが悩みの種なんだ。……それなのに、こっちはほぼ魔石だけで出来ているんだね……」
ルドおじさんは、じっと指輪に顔を近づけて凝視している。
「……よーくみると魔法陣が刻まれているのが見えるけど……、すごーくすごーく細かいね。この魔法陣はどこで知ったの?」
「え?どこでだろう……?」
水筒のカップに風魔法で音を集めた時の魔法に色々付け加えたら出来たものだ。
元の魔法陣がなんだったのかは、よくわからなくなってしまった。
「元の魔法陣はなんだったかな……、何かを弄ったら出来た感じ?」
「ほうほう!」
ルドおじさんがルーペを出して魔石を更に覗き込み始めると、薬師のおばあちゃんが止めに入った。
「ルド、後にしな。……この魔道具で何かあったら連絡をしろってことだね。それと守秘義務の契約かい」
「そうなの。信頼はしているけど、一応契約書に署名をして欲しいの。
……それと、このカーテンは量産はできるかしら?」
母様が、透明なカーテンを差し示して伺うように首を傾げた。
「……署名は承知した。カーテンは、数によるね」
薬師のおばあちゃんは表情を変えずに答えた。母様はパッと笑顔になって胸の前で手を合わせた。
「良かった!カーテンは、状況によるけれど沢山必要になると思うの。
どこかの工房に製造を依頼したほうが良いかもしれないわね。商業ギルドへの登録はしてあるのかしら」
「登録済みだよ。『日の光を遮らないカーテンは何の意味があるのか』と言われたがね」
「まあ、うふふ……」
薬師のおばあちゃんは他にも感染症対策として「洗浄液」という手を綺麗に洗浄した状態にする液体を作っていた。
強いお酒で作られているらしいのだけど、別バージョンも考えているのだそうだ。
「……光水を混ぜたものを作りたいのだが、こっちはクリスに確認してからと思っていた」
「え?」
「光水を作ったのはクリスだからね」
「洗浄液」に光水の解毒の効果をプラスしたいのだそうだ。光水を最初に作ったのは僕だから僕に確認をしたかったのだそうだ。
光水はまだ薬師ギルドにも商業ギルドにも登録をしていない。登録した品なら使用料を払うとかすれば、混ぜたものを商品化出来たりするらしい。
そうではないから、僕に確認したかったんだって。
「使うのは別に良いと思うよ。……光水をギルドに登録した方が良いのかな」
「クリスの名前で登録をするのは、今はまだ避けたいわね」
「ダミーの名前にするの?」
「商業ギルドは、シャルに頼めばやってくれるでしょうけれど……。薬師ギルドはどうなのかしらね」
光水を薬師ギルドや商業ギルドに登録した方が良いのかなと思って聞いてみると、
母様が難しそうに眉を歪めた。
僕の名前で登録して世間に注目されるのを避けたいらしい。
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