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第2章
第286話 「手紙」の魔道具も好評
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光水は、泉の水に毒耐性の魔石を漬けていた水に、ドームの果実の果汁を入れたら出来たものだ。ドームの果実が「呪いの毒」に効きそう!って思ったのは僕だけど、作成に労力は使ってない。
「偶然ドームの果実が手に入ったから出来たやつだし、僕の名前でなくても良いのに」
「偶然の組み合わせで研究が成功するなんてことはよくあることなのよ。
偶然だったら適当で良いなんてことはないのよ」
「おおお!魔法紙に文字がしっかりくっきり!」
魔道具を渡しに行ったのに、光水の扱いの話に発展してしまった。でも、ルドおじさんが騒ぎ出したので話題が魔道具に戻ってきた。
「手紙」の魔道具の説明書のところに、魔法紙を上に載せると内容を写し取ることができるということを描いておいたんだ。
実際に使って説明をする前に自分で試したらしい。
説明の為に試しに送った手紙の内容を魔法紙に写したものをピラピラと揺らして、ルドおじさんが興奮気味に言う。
「これ!書類が量産できちゃうんじゃない?本とか!」
「そうかも……。でも、時間が経つと文字が消えちゃうんでしょ」
「もっと色が長持ちすれば良いか……。長持ちしたとしても、他の魔力があれば上書きされちゃうか……。確かに本にするのは厳しいのかな……」
ブツブツとルドおじさんが何か呟き始めた。
薬師のおばあちゃんが小さく溜息をつく。
「……すぐ脱線する。ルド、必要な確認を先にしな」
「あ、えーと、こっちから『手紙』を送るときは……。魔石で番号を指定、か。
ここも魔石だけでやってるのか……」
ルドおじさんは「手紙を送る」操作を説明書を読みながらじっくり進めている。一つ操作をするたびに魔道具の動きをじっくり確認しているらしい。
こちらで持っている魔道具に「手紙」が届くのに結構時間がかかった。
「『最近どう?』って……」
「おお!ちゃんと届いてる!」
やっと魔道具に届いた「手紙」を読むと、ルドおじさんが嬉しそうな顔をして、透明なカーテンを押して身を乗り出そうとした。それを薬師のおばあちゃんが止めている。
「凄いよ!これなら何か用がある時にすぐに連絡できるね!」
「よろしくお願いしますね。それと、契約通り、他言無用でお願いいたしますわ」
母様がそう言って優雅な微笑みを浮かべた時、背後の扉をノックする音が響いた。
コンコンコン!
「今日は休みかねえ!?」
「今は手が離せないから後でまた来ておくれ!」
「おう、わかった!」
ノックとほぼ同時に野太い声が聞こえた。すぐさま薬師のおばあちゃんが返事をすると納得して去っていったようだ。
母様は用心の為かささっと魔道具を「収納」に仕舞っていた。
立ち去っていく足音が聞こえてきたら、ホッと安堵の空気が流れる。
「……鍵はかけてあるから勝手に入ってくることはないよ」
「ええ……」
いきなり他の人が入ってくることはないと言っても、後でまたやってくるようだし
更に、他の人が来る可能性もあると考えるとちょっと落ち着かなくなった。
皆、同じように考えたのか、その後は、光水を扱うときの取り決めだとか、手早く連絡事項などを告げた。
僕は魔導ロープにちょっとだけ魔力を通すのを試させてもらってから、お店を後にした。
「偶然ドームの果実が手に入ったから出来たやつだし、僕の名前でなくても良いのに」
「偶然の組み合わせで研究が成功するなんてことはよくあることなのよ。
偶然だったら適当で良いなんてことはないのよ」
「おおお!魔法紙に文字がしっかりくっきり!」
魔道具を渡しに行ったのに、光水の扱いの話に発展してしまった。でも、ルドおじさんが騒ぎ出したので話題が魔道具に戻ってきた。
「手紙」の魔道具の説明書のところに、魔法紙を上に載せると内容を写し取ることができるということを描いておいたんだ。
実際に使って説明をする前に自分で試したらしい。
説明の為に試しに送った手紙の内容を魔法紙に写したものをピラピラと揺らして、ルドおじさんが興奮気味に言う。
「これ!書類が量産できちゃうんじゃない?本とか!」
「そうかも……。でも、時間が経つと文字が消えちゃうんでしょ」
「もっと色が長持ちすれば良いか……。長持ちしたとしても、他の魔力があれば上書きされちゃうか……。確かに本にするのは厳しいのかな……」
ブツブツとルドおじさんが何か呟き始めた。
薬師のおばあちゃんが小さく溜息をつく。
「……すぐ脱線する。ルド、必要な確認を先にしな」
「あ、えーと、こっちから『手紙』を送るときは……。魔石で番号を指定、か。
ここも魔石だけでやってるのか……」
ルドおじさんは「手紙を送る」操作を説明書を読みながらじっくり進めている。一つ操作をするたびに魔道具の動きをじっくり確認しているらしい。
こちらで持っている魔道具に「手紙」が届くのに結構時間がかかった。
「『最近どう?』って……」
「おお!ちゃんと届いてる!」
やっと魔道具に届いた「手紙」を読むと、ルドおじさんが嬉しそうな顔をして、透明なカーテンを押して身を乗り出そうとした。それを薬師のおばあちゃんが止めている。
「凄いよ!これなら何か用がある時にすぐに連絡できるね!」
「よろしくお願いしますね。それと、契約通り、他言無用でお願いいたしますわ」
母様がそう言って優雅な微笑みを浮かべた時、背後の扉をノックする音が響いた。
コンコンコン!
「今日は休みかねえ!?」
「今は手が離せないから後でまた来ておくれ!」
「おう、わかった!」
ノックとほぼ同時に野太い声が聞こえた。すぐさま薬師のおばあちゃんが返事をすると納得して去っていったようだ。
母様は用心の為かささっと魔道具を「収納」に仕舞っていた。
立ち去っていく足音が聞こえてきたら、ホッと安堵の空気が流れる。
「……鍵はかけてあるから勝手に入ってくることはないよ」
「ええ……」
いきなり他の人が入ってくることはないと言っても、後でまたやってくるようだし
更に、他の人が来る可能性もあると考えるとちょっと落ち着かなくなった。
皆、同じように考えたのか、その後は、光水を扱うときの取り決めだとか、手早く連絡事項などを告げた。
僕は魔導ロープにちょっとだけ魔力を通すのを試させてもらってから、お店を後にした。
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