転生モブ一家は乙女ゲームの開幕フラグを叩き折る

月野槐樹

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第2章

第287話 雷魔石も秘密らしい

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薬師のおばあちゃんが考案した透明カーテンは、増産をして冒険者ギルドや商業ギルドにも配布されて使われるようになったそうだけど、
ゲンティアナの屋敷内でも使用されるようになった。

シャルおじさんが感染していないかの確認待ちの時間に他の魔道具も少しずつ紹介することにしたんだ。
行動が制限されている間は比較的時間に余裕があるからその間に作戦を練ってもらうと言うことらしい。
シャルおじさんの説明の時も天井から床まで届く長い透明カーテンで仕切った。
薬師のおばあちゃん作成の「洗浄液」と「光水入り洗浄液」もみんなで使ってみている。

「地図とかやばくない!?」
「どこで絵が描かれているんだい!?」
「なんか出た!なんか出た!」
「わあ!凄い凄い!くるくる回ってる!」

シャルおじさんは新たな魔道具を見せる度に、びっくりして、興奮した様子で絶賛してくれた。
ぴょんぴょん跳ねて壁にぶつかっていくやつについては、びっくりしただけみたいだったけど。

くるくる回るやつは気に入ってくれたみたいだった。
「お話」の魔道具や「手紙」の魔道具が広まって、当たり前みたいになってきたら
いつか、くるくる回るやつも売れるだろうと言ってくれた。
でも、今はその段階じゃないんだって。

「……この『写し絵』の魔道具は人気が出るだろうね。それだけに扱い方は慎重にしないとね」
「売れそう?」
「売り出したら売れるだろうよ。欲しいと思う人が沢山出るだろう。でも取り扱いは気をつけないと。
独り占めしたいって考える人もいるかもしれないし、誰かの様子を勝手に「写す」ことだって出来てしまうからね。
まあ、取扱注意なのは
他の魔道具についても言えることだけどね。後は、製法……だね」
「製法?」
「そう。作製者を秘匿しつつ広めるなら、離れた場所から売り出した方が良いと思うんだけど、クリス君が一人でせっせと作って、それを外国まで運んでいくのか
 製法を開示して他の人に作ってもらう必要があるだろう。……しかし、あの小さい魔石一つ一つに細かい魔法陣が刻まれているのを見ると魔法陣を見せたところで、他の人が作れるとは限らないだろうね」
「雷魔石で転写できるよ」
「……え?」

振り向いて僕の方に顔を向けたシャル叔父さんに、魔法陣を刻んだ雷魔石を見せた。

「雷魔石に魔法陣を刻むと、他の魔石に魔法陣を転写できるんだよ」
「……そうなの?それって、ボクが知らないだけで、魔道具師なら常識?」
「魔道具師の人がどうだかはわからないよ」

ルドおじさんは魔道具を作っているけど、魔石に魔法陣を刻むと言うことはしていないし、他の魔道具師の人とかは知らない。

「……うん。だと思った!もー!それってやばい技術かもしれないじゃないか!」

雷魔石を見せたら、ルド叔父さんが慌て始めた。

「これ、誰かに話した?雷魔石のこと」
「話してないよ」
「それなら、誰にも話さないでね!」
「……雷魔石で魔法陣を転写していることを言わなければ良いの?」
「雷魔石のことと魔道具のこともだよ!」
「……父上や母様、兄上には?」

誰にも話すなって言われちゃったけど、魔道具を作った時は、まず母様か兄上に見せるってことになっているんだけど、どうするの?と思って父上や兄上の表情を伺った。

兄上がポスっと僕の頭の上に手を置いた。

「家族以外には秘密にしろってことだよ。ねえ、シャル叔父さん?」

兄上がシャル叔父さんに確認するとシャル叔父さんが大きく頷いた。家族にはこれまで通りで良いらしい。
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