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第2章
第288話 広がる範囲
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僕の魔道具の作り方は結構特殊らしい。多くの魔道具は魔石そのものではなくて、金属や魔獣の皮革とかに魔法陣を描いていて、魔石からは魔力を供給するようにしているものなのだそうだ。
ルドおじさんが作る魔道具もそんな感じだった。
僕の場合は材料が魔石と木の板だとか、アクセサリーの土台だとかしかないから、無理やり魔石に魔法陣を描いているけど、ルドおじさんが作る魔道具は、緻密な歯車が連動して動いていたりとか複雑な作りをしている。
父上の執務室にある魔道具のランプとか土台にも紋様があったりとか、見た目も洗練されているっていうの?
綺麗なんだよね。
僕は魔法陣を色々弄って試すのが楽しくなっちゃって、魔石以外の部分の加工は超適当だ。
だから、王都や、外国の魔道具とか凄いんだろうなと思っているんだけど、
僕の魔道具の作り方は目立っちゃうらしい。
でも、シャル叔父さんも「凄い」って言ってくれたし、皆の役に立つなら嬉しいな。
「……アンソラ男爵領からの情報が入ってきた」
父上が真剣な様子で封書を取り出して言った。魔道具を触っていたシャル叔父さんが顔を上げて目を大きく見開いた。
「どうだった?」
「病名などは今のところわかっていない。アンソラの領都、アンスとその北のジランを中心に病に臥すものが続出しているそうだ。症状は、目眩、吐き気、頭痛、視力低下など。
外部の者が町に入って翌日から二、三日で症状が出始めたそうだ。
……五日ほど経っても症状が出なければ、感染は免れているとみて良いだろう」
「じゃあ、あと一日じっとしていれば良いかな!」
パッと笑顔になるシャル叔父さん。
ツンツンと透明カーテンを突いた。
「この仕切りなしで会えるようになるね!ゲンティアナ内は大丈夫?領境とか」
「出入りは制限しているからな。ただ、ナスタチウム辺境伯領にも広まってきているそうだ。
……領都のナスラムは今の所は問題なさそうだが、北東部のノドナス辺りの領民に似たようは症状が出始めているという情報が入った」
辺境伯領にも広まっていると聞いてギョッとした。思わずビクッとして顔を上げたからか、父上が僕の方をチラッとみながら、辺境伯領の領都は大丈夫だと言ってくれた。
殿下達がまだ辺境伯領にいるとしたら、領都の辺境伯邸に滞在しているだろうから
感染症の心配は少ないってことのようだ。
ふぅと思わず息を漏らす。
殿下達が無事でもアンソラ男爵領では症状に苦しんでいる人がいるのだし
「良かった」って言って良いのか分からないけど、ちょっとホッとする。
「アンスとジランはともかく、ノドナスは離れてますよね?」
透明カーテンの向こうで、巻物みたいなのを広げながらシャル叔父さんが言う。
「北部で流行っているなら、南部を通れば通過できるかなと思ったけど、
辺境伯領のノドナスって、アンソラと接してないよね」
シャル叔父さんが広げた巻物をこちらに向けた。手書きの地図だ。
真ん中あたりの青い線がアンソラ男爵領と辺境伯領の領境線で、シャルおじさんが指差している三角の図形にいっぱい囲まれている場所がノドナスと言う街らしい。
確かに、アンソラ男爵領との領境線からは大きく離れている。むしろ東側の領境に近いみたいだ。
「感染源が一箇所じゃない……?間の地域に患者が少ないだけで、行き来した人から広まったのかな」
兄上は、透明カーテンに少し近づいて、シャル叔父さんが広げている地図を覗き込んだ。
「あ、地図……」
僕は「収納」から「位置情報」を写した魔法紙を取り出した。
ルドおじさんが作る魔道具もそんな感じだった。
僕の場合は材料が魔石と木の板だとか、アクセサリーの土台だとかしかないから、無理やり魔石に魔法陣を描いているけど、ルドおじさんが作る魔道具は、緻密な歯車が連動して動いていたりとか複雑な作りをしている。
父上の執務室にある魔道具のランプとか土台にも紋様があったりとか、見た目も洗練されているっていうの?
綺麗なんだよね。
僕は魔法陣を色々弄って試すのが楽しくなっちゃって、魔石以外の部分の加工は超適当だ。
だから、王都や、外国の魔道具とか凄いんだろうなと思っているんだけど、
僕の魔道具の作り方は目立っちゃうらしい。
でも、シャル叔父さんも「凄い」って言ってくれたし、皆の役に立つなら嬉しいな。
「……アンソラ男爵領からの情報が入ってきた」
父上が真剣な様子で封書を取り出して言った。魔道具を触っていたシャル叔父さんが顔を上げて目を大きく見開いた。
「どうだった?」
「病名などは今のところわかっていない。アンソラの領都、アンスとその北のジランを中心に病に臥すものが続出しているそうだ。症状は、目眩、吐き気、頭痛、視力低下など。
外部の者が町に入って翌日から二、三日で症状が出始めたそうだ。
……五日ほど経っても症状が出なければ、感染は免れているとみて良いだろう」
「じゃあ、あと一日じっとしていれば良いかな!」
パッと笑顔になるシャル叔父さん。
ツンツンと透明カーテンを突いた。
「この仕切りなしで会えるようになるね!ゲンティアナ内は大丈夫?領境とか」
「出入りは制限しているからな。ただ、ナスタチウム辺境伯領にも広まってきているそうだ。
……領都のナスラムは今の所は問題なさそうだが、北東部のノドナス辺りの領民に似たようは症状が出始めているという情報が入った」
辺境伯領にも広まっていると聞いてギョッとした。思わずビクッとして顔を上げたからか、父上が僕の方をチラッとみながら、辺境伯領の領都は大丈夫だと言ってくれた。
殿下達がまだ辺境伯領にいるとしたら、領都の辺境伯邸に滞在しているだろうから
感染症の心配は少ないってことのようだ。
ふぅと思わず息を漏らす。
殿下達が無事でもアンソラ男爵領では症状に苦しんでいる人がいるのだし
「良かった」って言って良いのか分からないけど、ちょっとホッとする。
「アンスとジランはともかく、ノドナスは離れてますよね?」
透明カーテンの向こうで、巻物みたいなのを広げながらシャル叔父さんが言う。
「北部で流行っているなら、南部を通れば通過できるかなと思ったけど、
辺境伯領のノドナスって、アンソラと接してないよね」
シャル叔父さんが広げた巻物をこちらに向けた。手書きの地図だ。
真ん中あたりの青い線がアンソラ男爵領と辺境伯領の領境線で、シャルおじさんが指差している三角の図形にいっぱい囲まれている場所がノドナスと言う街らしい。
確かに、アンソラ男爵領との領境線からは大きく離れている。むしろ東側の領境に近いみたいだ。
「感染源が一箇所じゃない……?間の地域に患者が少ないだけで、行き来した人から広まったのかな」
兄上は、透明カーテンに少し近づいて、シャル叔父さんが広げている地図を覗き込んだ。
「あ、地図……」
僕は「収納」から「位置情報」を写した魔法紙を取り出した。
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