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第2章
第309話 アジトは何処?
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ネロと呼ばれた男の子は、ちょっと慌てた様に口をパクパクとさせてから声を発した。
『だ……、大丈夫だよ。湧水を汲んできたから……』
『湧水だあ?』
『あ、あっちの岩がゴツゴツしている辺りに水が沸いてたんだ。俺、飲んでみたし……』
ネロが左の方を指し示した。
『ふん……。水魔法で役立てないから、湧水で何とかしようってか。まあ、いいだろ』
黒ローブは納得したのか、声のトーンを少し落とした。
ザッザッっと足音が聞こえて、二人の黒ローブ達の姿が写し絵の中に入ってきた。
ネロの方に向かって歩いて行ったと思ったら、黒ローブの一人がポーンと何かをネロの方に放った。
『おう、もっと水汲んでこいよ』
『は、はい!』
ネロは数歩前に進み出て、放り投げれた物体をキャッチした。皮の水筒かな。
両手に抱えたまま、先ほど指差した方向に駆けて行った。
ネロが走って行った方向に顔を向けながら黒ローブが呟くように言った。
『全く……。水魔法が使えるっていうから連れてきたってのに。結局湧水か。コップ一杯出すのがやっとじゃなぁ』
『今は、飲み水が手に入らないほどじゃないから、まだ良いが……。
毒を蔓延させるなら、やっぱり水の魔道具が要るんじゃないか?』
『飲み水を補充できるほどの魔道具はたけぇんだよなぁ』
ぶつぶつと黒ローブ達が呟いていると、バタバタとネロが皮の水筒を抱えて戻ってきた。
黒ローブの一人に水筒を差し出すと、もう一人が別の水筒をネロに放る。ネロは新たな水筒を抱えてまた走って行った。
「……子供をいいように扱っているわね」
母様が黒ローブ達の様子を見つめながら、ボソリと低い声を出し眉を顰めた。
「あの子も毒ギルドなのかな?」
「さあ……。仲間ではあるんだろうけど。使いっ走りをさせられているみたいに見えるね」
僕の言葉に兄上が答えるように言う。目線は壁の「写し絵」に向けられていた。
黒ローブ達は林の入り口付近に馬車を停めて、川の調査をしていたらしい。
川のあちこちで採取した水が入った瓶らしきものを木箱に詰めると、馬車に乗り込んだ。
御者席にはネロって子が座って、馬車を出発させた。
馬車が遠ざかっていく様子を眺めてから、僕は父上と母様に顔を向けた。
「ねえ。まだ追いかけていて良い?」
黒ローブ達は馬車に乗って行ってしまった。馬車の速度はそんなに速くないし、道なりに進んでいくだろうから、道に沿って位置を少しずつ変えていけば、追いかけることはできると思う。
「……できれば、彼らのアジトの場所を知りたいけれど……。クリス、大丈夫?無理していない?」
「僕は全然無理していないよ」
位置を指定して、「動く写し絵」の魔道具を発動させるだけだからね。だから平気なんだけど母様はちょっと心配そうな顔をしていた。
「クリスに無理をさせたくないのだけど、彼らを放置するわけにもいかないのよね。……でも、無理をしてまでやらなくて良いのよ」
「大丈夫だよー」
写しだす位置を変えていって、馬車を見つけた。ちょっとホッとした。。
『だ……、大丈夫だよ。湧水を汲んできたから……』
『湧水だあ?』
『あ、あっちの岩がゴツゴツしている辺りに水が沸いてたんだ。俺、飲んでみたし……』
ネロが左の方を指し示した。
『ふん……。水魔法で役立てないから、湧水で何とかしようってか。まあ、いいだろ』
黒ローブは納得したのか、声のトーンを少し落とした。
ザッザッっと足音が聞こえて、二人の黒ローブ達の姿が写し絵の中に入ってきた。
ネロの方に向かって歩いて行ったと思ったら、黒ローブの一人がポーンと何かをネロの方に放った。
『おう、もっと水汲んでこいよ』
『は、はい!』
ネロは数歩前に進み出て、放り投げれた物体をキャッチした。皮の水筒かな。
両手に抱えたまま、先ほど指差した方向に駆けて行った。
ネロが走って行った方向に顔を向けながら黒ローブが呟くように言った。
『全く……。水魔法が使えるっていうから連れてきたってのに。結局湧水か。コップ一杯出すのがやっとじゃなぁ』
『今は、飲み水が手に入らないほどじゃないから、まだ良いが……。
毒を蔓延させるなら、やっぱり水の魔道具が要るんじゃないか?』
『飲み水を補充できるほどの魔道具はたけぇんだよなぁ』
ぶつぶつと黒ローブ達が呟いていると、バタバタとネロが皮の水筒を抱えて戻ってきた。
黒ローブの一人に水筒を差し出すと、もう一人が別の水筒をネロに放る。ネロは新たな水筒を抱えてまた走って行った。
「……子供をいいように扱っているわね」
母様が黒ローブ達の様子を見つめながら、ボソリと低い声を出し眉を顰めた。
「あの子も毒ギルドなのかな?」
「さあ……。仲間ではあるんだろうけど。使いっ走りをさせられているみたいに見えるね」
僕の言葉に兄上が答えるように言う。目線は壁の「写し絵」に向けられていた。
黒ローブ達は林の入り口付近に馬車を停めて、川の調査をしていたらしい。
川のあちこちで採取した水が入った瓶らしきものを木箱に詰めると、馬車に乗り込んだ。
御者席にはネロって子が座って、馬車を出発させた。
馬車が遠ざかっていく様子を眺めてから、僕は父上と母様に顔を向けた。
「ねえ。まだ追いかけていて良い?」
黒ローブ達は馬車に乗って行ってしまった。馬車の速度はそんなに速くないし、道なりに進んでいくだろうから、道に沿って位置を少しずつ変えていけば、追いかけることはできると思う。
「……できれば、彼らのアジトの場所を知りたいけれど……。クリス、大丈夫?無理していない?」
「僕は全然無理していないよ」
位置を指定して、「動く写し絵」の魔道具を発動させるだけだからね。だから平気なんだけど母様はちょっと心配そうな顔をしていた。
「クリスに無理をさせたくないのだけど、彼らを放置するわけにもいかないのよね。……でも、無理をしてまでやらなくて良いのよ」
「大丈夫だよー」
写しだす位置を変えていって、馬車を見つけた。ちょっとホッとした。。
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