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第1章
第19話 インテリメガネ
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屋敷の本館の応接室のうち一番離れに近い部屋で会うという連絡を入れてもらってから、兄上と一緒に本館に向かう。
ハロルド・テッセン伯爵令息。
想像した姿は何となく堅苦しそうなプライドが高そうな感じの貴族令息。呼び出すくらいだからキリッとしていて賢そう。お勉強ができるタイプかな。「インテリメガネ」って感じ。
深緑色の髪を七三分けにして、王都で流行っている銀縁の眼鏡。時々眼鏡のブリッジ部分をクイッと押し上げる。
15歳位年齢の勉強ができて理屈っぽいイメージ。
まあ、勝手な想像だけど、何となくそんなイメージが頭に浮かんだ。
ーーー君に何がわかるって言うんだい?失った者は、もう戻ってくることはないのだよ。
ふとそんな台詞が思い浮かんだ。
癖毛の水色の髪の青白い顔をした少女が横たわったまま力無く深緑色の髪の少年に笑いかける。
ーーー兄様、笑って。眉間の皺が癖になっちゃうわ。
ーーーラミル……。
泣きそうなインテリメガネの横顔。
頭の中に色んな絵が浮かんでくることは前にもあったけど、台詞までついちゃったよ。
僕、脚本家か何かになれるかな。
「クリス。ぼーっとしてるとコケるぞ。」
「え?……うわっ!」
本館の裏口の少し手前で、敷石に足の先を引っ掛けてつんのめった。ダーンと前に出した足を踏ん張る。
転ばなかったのでセーフ!
「ほら、ぼーっと歩いてるから!」
兄上が呆れた声で言う。
「セーフだったでしょ。」
「いや。見られてるよ。アウト。」
「え?」
兄上に言われて前方を見ると、深緑色の髪の人物が立ってこちらを見ていた。
「あ!」
イメージの中のインテリメガネにそっくり!ただ髪型は七三分けじゃなくて、前髪をバサっと下ろした無造作ヘアだ。
「ゲンティアナ家の長男のローレンと次男のクリストファーです。」
僕が転けそうになったことには触れず、何食わぬ様子で応接室に入って挨拶をした。
「……ハロルド・テッセンだ。」
深緑色の髪の少年が名乗った。威圧的ではないけれど、機嫌は良くなさそう。
ハロルド君の背後には騎士が二人と執事っぽい人が立っている。
騎士二人は、兄上を突き飛ばしたいかつい顔の騎士と同じ騎士服を着ているのでちょっと身構えてしまう。
無表情でこちらをじっとこちらを見ている。「害意」というほどじゃないけれど、こちらを警戒しているみたいな感じを受ける。
執事の人は柔らかく微笑んでいるけれど、この人の方が怖い気がする。
「警戒」と言う感じじゃないんだけど、会った途端に僕達のことを観察してた。腰の水筒、めっちゃ見られてた。
「この度はテッセン伯爵家の騎士が失礼した。」
ハロルド君が小さく目を伏せて言う。頭は下げない。
「……謝罪は受け取りました。」
兄上が静かに応えた。よそ行きの声だ。背筋もピンと伸ばしていて、格好良い!
「「……。」」
会話が途切れる!あれ、もしかして僕が何か言わなきゃ行けなかったのかな?でもそういう流れでもなかったよね?
「……それでは。失礼します。」
兄上がぺこりとお辞儀をしたので、僕も合わせた。さっさと切り上げてしまう作戦。
「あ、ちょっと待ちたまえ。」
扉の方に向かおうとした時、ハロルド君が呼び止めた。兄上が一瞬固まり、ゆっくりと振り返った。
ハロルド・テッセン伯爵令息。
想像した姿は何となく堅苦しそうなプライドが高そうな感じの貴族令息。呼び出すくらいだからキリッとしていて賢そう。お勉強ができるタイプかな。「インテリメガネ」って感じ。
深緑色の髪を七三分けにして、王都で流行っている銀縁の眼鏡。時々眼鏡のブリッジ部分をクイッと押し上げる。
15歳位年齢の勉強ができて理屈っぽいイメージ。
まあ、勝手な想像だけど、何となくそんなイメージが頭に浮かんだ。
ーーー君に何がわかるって言うんだい?失った者は、もう戻ってくることはないのだよ。
ふとそんな台詞が思い浮かんだ。
癖毛の水色の髪の青白い顔をした少女が横たわったまま力無く深緑色の髪の少年に笑いかける。
ーーー兄様、笑って。眉間の皺が癖になっちゃうわ。
ーーーラミル……。
泣きそうなインテリメガネの横顔。
頭の中に色んな絵が浮かんでくることは前にもあったけど、台詞までついちゃったよ。
僕、脚本家か何かになれるかな。
「クリス。ぼーっとしてるとコケるぞ。」
「え?……うわっ!」
本館の裏口の少し手前で、敷石に足の先を引っ掛けてつんのめった。ダーンと前に出した足を踏ん張る。
転ばなかったのでセーフ!
「ほら、ぼーっと歩いてるから!」
兄上が呆れた声で言う。
「セーフだったでしょ。」
「いや。見られてるよ。アウト。」
「え?」
兄上に言われて前方を見ると、深緑色の髪の人物が立ってこちらを見ていた。
「あ!」
イメージの中のインテリメガネにそっくり!ただ髪型は七三分けじゃなくて、前髪をバサっと下ろした無造作ヘアだ。
「ゲンティアナ家の長男のローレンと次男のクリストファーです。」
僕が転けそうになったことには触れず、何食わぬ様子で応接室に入って挨拶をした。
「……ハロルド・テッセンだ。」
深緑色の髪の少年が名乗った。威圧的ではないけれど、機嫌は良くなさそう。
ハロルド君の背後には騎士が二人と執事っぽい人が立っている。
騎士二人は、兄上を突き飛ばしたいかつい顔の騎士と同じ騎士服を着ているのでちょっと身構えてしまう。
無表情でこちらをじっとこちらを見ている。「害意」というほどじゃないけれど、こちらを警戒しているみたいな感じを受ける。
執事の人は柔らかく微笑んでいるけれど、この人の方が怖い気がする。
「警戒」と言う感じじゃないんだけど、会った途端に僕達のことを観察してた。腰の水筒、めっちゃ見られてた。
「この度はテッセン伯爵家の騎士が失礼した。」
ハロルド君が小さく目を伏せて言う。頭は下げない。
「……謝罪は受け取りました。」
兄上が静かに応えた。よそ行きの声だ。背筋もピンと伸ばしていて、格好良い!
「「……。」」
会話が途切れる!あれ、もしかして僕が何か言わなきゃ行けなかったのかな?でもそういう流れでもなかったよね?
「……それでは。失礼します。」
兄上がぺこりとお辞儀をしたので、僕も合わせた。さっさと切り上げてしまう作戦。
「あ、ちょっと待ちたまえ。」
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