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第1章
第21話 絵のリクエスト
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その日の夕食は、父上と母様、兄上だけが来客と同席して食べて、僕とメイリは離れの食堂で食べた。
明日、散策に同行するなら殿下にも挨拶をしておいた方が良いのかと思ったけど、
今日は色々あって、落ち着いてないだろうからって挨拶は明日になったんだ。
夕食のメニューは僕のリクエストが通って、角兎のクリームシチューになった。
ジンジャーソテーも美味しいけどね。
灰色猫さんにも角兎の肉をあげようと思って、角兎の肉を焼いたものをお皿に乗せて、祠のところに持っていった。
生肉でなくて焼いたお肉にしたのは、焼いた方が腐りにくいかなと思ったからだ。
猫さんの姿は見えなかったけど、また祠のところに戻ってくる気がしたので祠の前にお皿を置いておいた。
食べてくれると良いなぁ。
「クリームシチューは『秘密』のメニューなのよね。」
口に含むとふんわりと食感が程よい角兎の肉をスプーンで救って美味しそうに口に含んだ後にメイリが言った。
「そうだね。『秘密』メニューのやつだけど、匂いが出ないから作ってもらえたよ。」
「秘密」メニューは、男爵家の外に出さないとされているメニューだ。
唐揚げ、カツ、クリームシチュー、スパイスシチューとかがそうだ。
揚げ物やカツは大量に油を使う。クリームシチューに使うミルクはこの地では希少だ。
スパイスシチューに使う香草類の中には、滅多に来ない行商人からしか買えないものがある。
「秘密」にしているのは材料が手に入りにくいからと言うのもあるんだろうな。。
角兎のジンジャーソテーは広まっているけど、食材の角兎も生姜も比較的手に入りやすいもんね。
ゲンティアナ男爵領が美味しいものばかりって、領民が増えていくなら良いのだろうけど他所の貴族家が押し寄せてくるのはどうなんだろう。
領の評判が上がるってメリットはあるのかな。
「緑の魔石は採れた?」
「取れたよ。後であげるね。」
「風の魔石だからクリス兄様も、持っていてね。」
「うん。」
「オオトカゲは水色?」
「そうだよ。」
「水色は母様に少しあげてほしいの。母様ちょっとお疲れみたいだったから。」
「わかった。」
母様がお疲れだったのは来客の対応があるからだと思うから、魔石水が効くかはよくわからないけどね。
「あ、クリス兄様。お食事が終わったら、お絵描きしてね!」
「そうだったね。」
角兎狩りに行く前は、夕食前に絵を描く時間があるかと思ってたんだけど、バタバタしていて描けなかった。
「王子様?」
「うん!王子様とお姫様……みたいな令嬢!
王子様は、金色のクリクリ頭で青い瞳なの。それでね、左の目の下にホクロがあるのよ。」
「金髪かぁ。」
絵の具は何を使おうか、と考える。日中に拾ってきた黄色い石を試しに使ってみようか……。
「令嬢はね!青い色のドリルヘアよ!」
「ドリル……。」
「あ、ドリルって……。くるくると渦巻きみたいなのよ。こんな感じで。」
メイリがそう言いながらクルクルと空中で螺旋を描いた。うん、ドリルのイメージは僕が想像したもので合っているな。
「ちょっときつい目付きをした美少女なの。……それとね。」
メイリが少し身を乗り出して言う。楽しそうに目をキラキラさせている。可愛い。
「他にもあるの?」
「深緑色の髪のインテリメガネも描いて!」
「え……?」
メイリの言葉で、ハロルド君の姿が頭に浮かんで僕は一瞬固まってしまった。
「インテリメガネ」って……。
僕もハロルド君に会う前から、「インテリメガネ」ってイメージしてたな。もしかして、有名人なのかな。
明日、散策に同行するなら殿下にも挨拶をしておいた方が良いのかと思ったけど、
今日は色々あって、落ち着いてないだろうからって挨拶は明日になったんだ。
夕食のメニューは僕のリクエストが通って、角兎のクリームシチューになった。
ジンジャーソテーも美味しいけどね。
灰色猫さんにも角兎の肉をあげようと思って、角兎の肉を焼いたものをお皿に乗せて、祠のところに持っていった。
生肉でなくて焼いたお肉にしたのは、焼いた方が腐りにくいかなと思ったからだ。
猫さんの姿は見えなかったけど、また祠のところに戻ってくる気がしたので祠の前にお皿を置いておいた。
食べてくれると良いなぁ。
「クリームシチューは『秘密』のメニューなのよね。」
口に含むとふんわりと食感が程よい角兎の肉をスプーンで救って美味しそうに口に含んだ後にメイリが言った。
「そうだね。『秘密』メニューのやつだけど、匂いが出ないから作ってもらえたよ。」
「秘密」メニューは、男爵家の外に出さないとされているメニューだ。
唐揚げ、カツ、クリームシチュー、スパイスシチューとかがそうだ。
揚げ物やカツは大量に油を使う。クリームシチューに使うミルクはこの地では希少だ。
スパイスシチューに使う香草類の中には、滅多に来ない行商人からしか買えないものがある。
「秘密」にしているのは材料が手に入りにくいからと言うのもあるんだろうな。。
角兎のジンジャーソテーは広まっているけど、食材の角兎も生姜も比較的手に入りやすいもんね。
ゲンティアナ男爵領が美味しいものばかりって、領民が増えていくなら良いのだろうけど他所の貴族家が押し寄せてくるのはどうなんだろう。
領の評判が上がるってメリットはあるのかな。
「緑の魔石は採れた?」
「取れたよ。後であげるね。」
「風の魔石だからクリス兄様も、持っていてね。」
「うん。」
「オオトカゲは水色?」
「そうだよ。」
「水色は母様に少しあげてほしいの。母様ちょっとお疲れみたいだったから。」
「わかった。」
母様がお疲れだったのは来客の対応があるからだと思うから、魔石水が効くかはよくわからないけどね。
「あ、クリス兄様。お食事が終わったら、お絵描きしてね!」
「そうだったね。」
角兎狩りに行く前は、夕食前に絵を描く時間があるかと思ってたんだけど、バタバタしていて描けなかった。
「王子様?」
「うん!王子様とお姫様……みたいな令嬢!
王子様は、金色のクリクリ頭で青い瞳なの。それでね、左の目の下にホクロがあるのよ。」
「金髪かぁ。」
絵の具は何を使おうか、と考える。日中に拾ってきた黄色い石を試しに使ってみようか……。
「令嬢はね!青い色のドリルヘアよ!」
「ドリル……。」
「あ、ドリルって……。くるくると渦巻きみたいなのよ。こんな感じで。」
メイリがそう言いながらクルクルと空中で螺旋を描いた。うん、ドリルのイメージは僕が想像したもので合っているな。
「ちょっときつい目付きをした美少女なの。……それとね。」
メイリが少し身を乗り出して言う。楽しそうに目をキラキラさせている。可愛い。
「他にもあるの?」
「深緑色の髪のインテリメガネも描いて!」
「え……?」
メイリの言葉で、ハロルド君の姿が頭に浮かんで僕は一瞬固まってしまった。
「インテリメガネ」って……。
僕もハロルド君に会う前から、「インテリメガネ」ってイメージしてたな。もしかして、有名人なのかな。
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