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第1章
第31話 氷製作
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母様達に「おやすみなさい。」を言った後、真っ直ぐ部屋に戻ろうかと思ったけど、ふと、冷たい水を作れないかって考えたことを思い出して、離れの厨房に向かった。
「あ、クリス坊ちゃん。どうされました?」
厨房にはジャックが居て、何か作業をしていた。明日の朝食の下拵えかな。
ジャックは、ニンジンや玉ねぎを細かく切っていた。作業台の端の方には捏ねて丸めたパン生地らしきものが置いてある。
「狩ってきたお肉を冷やせないかなと思って。」
「大猟でしたね。余りそうなら一部は塩漬けと干し肉にしようかと思ってましたが。」
「唐揚げ用は塩漬けにはしないよね。」
僕は壁に沿って並べてあった樽のうち、空いた樽の上に手をかざした。 バシャバシャと僕の掌から水が音を立てて樽に注ぎ込まれる。冷たい水をイメージする。
真冬の雪だとか外に放置して凍った木桶の水を思い浮かべる。冷えて冷えて氷になりそうな位に冷たい水。
そのまま凍っちゃいそうな水。
樽に落ちていく水を見つめる。このまま凍ってしまえと考えた時、掌のあたりからフワーッと魔法陣が浮かび出てスゥッと消えた。
「あ!」
直感で今のは氷を作る魔法陣だと感じた。掌から出る水を止めて樽の中を覗き込むと、水の表面に一部氷の膜のようなものが出来ていた。
もう一度、氷を意識して魔法を発する。水が凍っていってピキピキと音を立てた。
「……出来たみたい。」
「冷たい水ですか?」
「ううん。氷。」
僕の言葉を聞いて、ジャックが樽を覗き込んだ。「おお。」と少し驚いた声を出した後、僕の方に振り向いた。
「肉はこの上におけば良いですかね?」
「……使いにくそうだよね。」
冷たい水が作れるかわからなかったから、大量に水を出そうと思って樽に注ぎ込んでいたんだけど、肉を冷やすには扱いにくそうだ。
樽の氷は一旦放置して、氷のブロックをいくつも作って、大きめの木桶に肉と一緒に入れて保管してもらうようにした。一度氷を作るのに成功したら氷のブロックは、結構簡単に作ることができた。
氷がどのくらいで溶けるかわからないけどね。明日の朝見てみればわかるかな。
意外とあっさり、氷が出せて嬉しい。
色んなものが冷やせるなとウキウキしながら部屋に戻った。
自分の部屋に戻ると、窓から月明かりが入ってきていて部屋を照らしている。
母様が持っていたランプを預かってたので文机の上に置いた。
文机の上に存在感を示している魔道具の上部の水晶に手を触れて魔力を通すと、白っぽい光が文机の上を照らした。
水晶の中に紫色の魔石が入っていて、その魔石が僕が注いだ魔力を吸収しながら淡い光を発しているのがわかる。
水晶の中の魔石は火属性でも光属性でもなさそうなんだけど、魔力を込めると光るのでランプ代わりに使っている。
部屋に持ち帰ってきた小さいランプと月明かり、魔道具の明かりがあればまあまあ明るい。
水晶の中に魔石が入っている魔道具は、実は何に使う魔道具なのかよく分からない。
母様が母様の実家の倉庫にあったのを貰ってきたものだそうで、外国のダンジョン産なんじゃないかって言っていた。
何に使うか分からないものだけど、光るだけでも結構便利だし、見た目が格好良いので気に入っている。
四角い平たい台座の四隅に支柱があってその支柱が上部で組み合わさって魔石入りの水晶を支えている。
魔力を通すと暫くの間、ぼんやりとした光を帯びる。
ランプだとしても、実用的なほどには明るくないんだけどね。水晶の上部がちょっと欠けちゃっているんだけど見た目は格好いいから
単なるオブジェなのかもしれない。
母様がこの魔道具オブジェを貰ってきた時から既に水晶はかけていたんだ。欠けているからオブジェ的な価値もないってことで倉庫に仕舞われていたらしい。
ランプ代わりになるかと思って貰ってきたけど、思ったより明るくなかったというオチだ。
結局、納屋に押し込まれていたのを僕が貰ったんだ。
魔力を流し込んでいる時は、流し込み方によって光り方が違う。光がぶれないように均一に魔力を流し込むようにしている。魔力の制御の練習になるんじゃないかなと思っているんだ。
暫くの間、魔力制御を意識しながら魔道具に魔力を流し込んだ。手を離すと光が少し暗くなる。
「あ、クリス坊ちゃん。どうされました?」
厨房にはジャックが居て、何か作業をしていた。明日の朝食の下拵えかな。
ジャックは、ニンジンや玉ねぎを細かく切っていた。作業台の端の方には捏ねて丸めたパン生地らしきものが置いてある。
「狩ってきたお肉を冷やせないかなと思って。」
「大猟でしたね。余りそうなら一部は塩漬けと干し肉にしようかと思ってましたが。」
「唐揚げ用は塩漬けにはしないよね。」
僕は壁に沿って並べてあった樽のうち、空いた樽の上に手をかざした。 バシャバシャと僕の掌から水が音を立てて樽に注ぎ込まれる。冷たい水をイメージする。
真冬の雪だとか外に放置して凍った木桶の水を思い浮かべる。冷えて冷えて氷になりそうな位に冷たい水。
そのまま凍っちゃいそうな水。
樽に落ちていく水を見つめる。このまま凍ってしまえと考えた時、掌のあたりからフワーッと魔法陣が浮かび出てスゥッと消えた。
「あ!」
直感で今のは氷を作る魔法陣だと感じた。掌から出る水を止めて樽の中を覗き込むと、水の表面に一部氷の膜のようなものが出来ていた。
もう一度、氷を意識して魔法を発する。水が凍っていってピキピキと音を立てた。
「……出来たみたい。」
「冷たい水ですか?」
「ううん。氷。」
僕の言葉を聞いて、ジャックが樽を覗き込んだ。「おお。」と少し驚いた声を出した後、僕の方に振り向いた。
「肉はこの上におけば良いですかね?」
「……使いにくそうだよね。」
冷たい水が作れるかわからなかったから、大量に水を出そうと思って樽に注ぎ込んでいたんだけど、肉を冷やすには扱いにくそうだ。
樽の氷は一旦放置して、氷のブロックをいくつも作って、大きめの木桶に肉と一緒に入れて保管してもらうようにした。一度氷を作るのに成功したら氷のブロックは、結構簡単に作ることができた。
氷がどのくらいで溶けるかわからないけどね。明日の朝見てみればわかるかな。
意外とあっさり、氷が出せて嬉しい。
色んなものが冷やせるなとウキウキしながら部屋に戻った。
自分の部屋に戻ると、窓から月明かりが入ってきていて部屋を照らしている。
母様が持っていたランプを預かってたので文机の上に置いた。
文机の上に存在感を示している魔道具の上部の水晶に手を触れて魔力を通すと、白っぽい光が文机の上を照らした。
水晶の中に紫色の魔石が入っていて、その魔石が僕が注いだ魔力を吸収しながら淡い光を発しているのがわかる。
水晶の中の魔石は火属性でも光属性でもなさそうなんだけど、魔力を込めると光るのでランプ代わりに使っている。
部屋に持ち帰ってきた小さいランプと月明かり、魔道具の明かりがあればまあまあ明るい。
水晶の中に魔石が入っている魔道具は、実は何に使う魔道具なのかよく分からない。
母様が母様の実家の倉庫にあったのを貰ってきたものだそうで、外国のダンジョン産なんじゃないかって言っていた。
何に使うか分からないものだけど、光るだけでも結構便利だし、見た目が格好良いので気に入っている。
四角い平たい台座の四隅に支柱があってその支柱が上部で組み合わさって魔石入りの水晶を支えている。
魔力を通すと暫くの間、ぼんやりとした光を帯びる。
ランプだとしても、実用的なほどには明るくないんだけどね。水晶の上部がちょっと欠けちゃっているんだけど見た目は格好いいから
単なるオブジェなのかもしれない。
母様がこの魔道具オブジェを貰ってきた時から既に水晶はかけていたんだ。欠けているからオブジェ的な価値もないってことで倉庫に仕舞われていたらしい。
ランプ代わりになるかと思って貰ってきたけど、思ったより明るくなかったというオチだ。
結局、納屋に押し込まれていたのを僕が貰ったんだ。
魔力を流し込んでいる時は、流し込み方によって光り方が違う。光がぶれないように均一に魔力を流し込むようにしている。魔力の制御の練習になるんじゃないかなと思っているんだ。
暫くの間、魔力制御を意識しながら魔道具に魔力を流し込んだ。手を離すと光が少し暗くなる。
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