67 / 334
第1章
第67話 極秘事項
しおりを挟む
「……この、毒耐性がついている魔石は、まだ何個かあるのよね?」
「うん。魔石水作っておく?」
「ええ……。でも泉の水はできれば汲んで時間が経っていないものが良いわ。」
「じゃあ、明日、魔石を持って『黎明の泉』まで行って、泉の水を汲んですぐに魔石を入れようか。それに、泉近くまで行ったら、また毒耐性の魔石が手に入るかもしれないね。」
「そうね。お願いできるかしら。でも、危険そうだったら絶対に無理はしないでね。」
「父上にも頼む?多分、泉の向こう側まで行っていそうだよね。」
「いいえ。泉の水がないところだと危険でしょう?それと、辺境伯様達が一緒の時は泉のことは内緒にしておきましょう。」
母様は約束させるように僕達の顔を順番に見つめた。
「泉のことは内緒なの?」
僕はちょっと不思議に思って、母様を見上げた。だって、黎明の泉がある場所から内側は魔獣が少ないとかって話はこの土地に住んでいる人は知っているし、
辺境伯様の耳にだって入っていると思うんだ。
「泉には少しだけ不思議な力があるんじゃないかと言われているわ。でも水のことを調べようとしても、持ち帰った頃には効果が薄れてただの水になっていると思われているの。
それが凄い力があるって知られてしまったら、……この地ごと取り上げられてしまうかもしれないわ。」
「えええ!?」
僕はびっくりして大きな声を出してしまった。
「凄い場所だって判ったとしても『黎明の泉』だけが占領されるとかではなくて?この地?この家も?何も悪いことしていないのに?」
「そうね。何も悪くなくても、色々理由をつけられて、土地を寄越せって言われることはあると思うわ。ここは今はまだ農地もあまりなくて、領民も少ないから。代わりにもっと広い農地がある場所を与えるって言われたり……。」
「嫌だよ……そんな……。」
一度与えられたものが取り上げられたりするんだろうか。金貨が入っているって知らないでお財布をあげちゃったみたいな感じ?後からそれが判って返せって言われるようなものかな。
貴族って、怖いなぁ……。
僕が高位貴族のことを考えて戦々恐々としていたら、メイリが両手をパンとテーブルの上に置いて身を乗り出した。
「そうよ!クリス兄様の『毒鑑定』のことも内緒にしないと!クリス兄様が王都に連れて行かれてしまうかもしれないわ!」
「え、えええ!?」
メイリに突然そんなことを言われて僕はギョッとした。何を言い出すんだろうと思って僕はメイリと母様の顔を交互に見る。
母様は特に同時もせず落ち着いた様子で口を開いた。
「メイリ、毒鑑定スキルはそこまで珍しくはないスキルよ。薬師のベラドンナおばさんだって持っているスキルよ。」
「でも!クリス兄様はまだ大人じゃないでしょう?子供で……!クリス兄様の歳で持っている人はあまりいないんじゃない?」
「……それは、そうね。……そうかもしれないわね。」
メイリの言葉に母様が頷いた。
鑑定スキルにも色々ある。他の人が持つスキルを判定するような鑑定もあって、それは教会でやってもらう「スキル鑑定」と言うものだし、僕みたいに毒のありなしや薬の効果がわかるものは、「毒鑑定」とか「薬鑑定」とか言われている。
スキルがレベルアップしたら、薬に何が入っているかとかもわかるようになるんだと思うけど、僕のは初歩の初歩だ。
それでも、メイリは、内緒にしておいた方が良いと主張していっぽ。
「ネイサン殿下達は王都の学園に入学されるんでしょう?学園の中に薬師を連れて入れないんじゃない?
毒が怖いからクリス兄様を無理やり入学させて連れ歩くとか言われたらどうするの?」
「ええ?僕の歳ではまだ……。」
メイリが怖い想像話をし始めた。
「優秀な人を早い年齢で入学させるっていう制度もあるんでしょう?優秀だからって言われたら、入学できてしまうかもよ。」
「優秀……。」
僕が優秀って言われちゃった!
「毒鑑定が!優秀ってことよ!」
メイリがムッとした様子で強い口調になった。僕、毒鑑定以外は優秀じゃないの?
「うん。魔石水作っておく?」
「ええ……。でも泉の水はできれば汲んで時間が経っていないものが良いわ。」
「じゃあ、明日、魔石を持って『黎明の泉』まで行って、泉の水を汲んですぐに魔石を入れようか。それに、泉近くまで行ったら、また毒耐性の魔石が手に入るかもしれないね。」
「そうね。お願いできるかしら。でも、危険そうだったら絶対に無理はしないでね。」
「父上にも頼む?多分、泉の向こう側まで行っていそうだよね。」
「いいえ。泉の水がないところだと危険でしょう?それと、辺境伯様達が一緒の時は泉のことは内緒にしておきましょう。」
母様は約束させるように僕達の顔を順番に見つめた。
「泉のことは内緒なの?」
僕はちょっと不思議に思って、母様を見上げた。だって、黎明の泉がある場所から内側は魔獣が少ないとかって話はこの土地に住んでいる人は知っているし、
辺境伯様の耳にだって入っていると思うんだ。
「泉には少しだけ不思議な力があるんじゃないかと言われているわ。でも水のことを調べようとしても、持ち帰った頃には効果が薄れてただの水になっていると思われているの。
それが凄い力があるって知られてしまったら、……この地ごと取り上げられてしまうかもしれないわ。」
「えええ!?」
僕はびっくりして大きな声を出してしまった。
「凄い場所だって判ったとしても『黎明の泉』だけが占領されるとかではなくて?この地?この家も?何も悪いことしていないのに?」
「そうね。何も悪くなくても、色々理由をつけられて、土地を寄越せって言われることはあると思うわ。ここは今はまだ農地もあまりなくて、領民も少ないから。代わりにもっと広い農地がある場所を与えるって言われたり……。」
「嫌だよ……そんな……。」
一度与えられたものが取り上げられたりするんだろうか。金貨が入っているって知らないでお財布をあげちゃったみたいな感じ?後からそれが判って返せって言われるようなものかな。
貴族って、怖いなぁ……。
僕が高位貴族のことを考えて戦々恐々としていたら、メイリが両手をパンとテーブルの上に置いて身を乗り出した。
「そうよ!クリス兄様の『毒鑑定』のことも内緒にしないと!クリス兄様が王都に連れて行かれてしまうかもしれないわ!」
「え、えええ!?」
メイリに突然そんなことを言われて僕はギョッとした。何を言い出すんだろうと思って僕はメイリと母様の顔を交互に見る。
母様は特に同時もせず落ち着いた様子で口を開いた。
「メイリ、毒鑑定スキルはそこまで珍しくはないスキルよ。薬師のベラドンナおばさんだって持っているスキルよ。」
「でも!クリス兄様はまだ大人じゃないでしょう?子供で……!クリス兄様の歳で持っている人はあまりいないんじゃない?」
「……それは、そうね。……そうかもしれないわね。」
メイリの言葉に母様が頷いた。
鑑定スキルにも色々ある。他の人が持つスキルを判定するような鑑定もあって、それは教会でやってもらう「スキル鑑定」と言うものだし、僕みたいに毒のありなしや薬の効果がわかるものは、「毒鑑定」とか「薬鑑定」とか言われている。
スキルがレベルアップしたら、薬に何が入っているかとかもわかるようになるんだと思うけど、僕のは初歩の初歩だ。
それでも、メイリは、内緒にしておいた方が良いと主張していっぽ。
「ネイサン殿下達は王都の学園に入学されるんでしょう?学園の中に薬師を連れて入れないんじゃない?
毒が怖いからクリス兄様を無理やり入学させて連れ歩くとか言われたらどうするの?」
「ええ?僕の歳ではまだ……。」
メイリが怖い想像話をし始めた。
「優秀な人を早い年齢で入学させるっていう制度もあるんでしょう?優秀だからって言われたら、入学できてしまうかもよ。」
「優秀……。」
僕が優秀って言われちゃった!
「毒鑑定が!優秀ってことよ!」
メイリがムッとした様子で強い口調になった。僕、毒鑑定以外は優秀じゃないの?
372
あなたにおすすめの小説
俺に王太子の側近なんて無理です!
クレハ
ファンタジー
5歳の時公爵家の家の庭にある木から落ちて前世の記憶を思い出した俺。
そう、ここは剣と魔法の世界!
友達の呪いを解くために悪魔召喚をしたりその友達の側近になったりして大忙し。
ハイスペックなちゃらんぽらんな人間を演じる俺の奮闘記、ここに開幕。
3点スキルと食事転生。食いしん坊の幸福無双。〜メシ作るために、貰ったスキル、完全に戦闘狂向き〜
幸運寺大大吉丸◎ 書籍発売中
ファンタジー
伯爵家の当主と側室の子であるリアムは転生者である。
転生した時に、目立たないから大丈夫と貰ったスキルが、転生して直後、ひょんなことから1番知られてはいけない人にバレてしまう。
- 週間最高ランキング:総合297位
- ゲス要素があります。
- この話はフィクションです。
いきなり異世界って理不尽だ!
みーか
ファンタジー
三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。
自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!
ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語
Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。
チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。
その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。
さぁ、どん底から這い上がろうか
そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。
少年は英雄への道を歩き始めるのだった。
※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
転生ちびっ子の魔物研究所〜ほのぼの家族に溢れんばかりの愛情を受けスローライフを送っていたら規格外の子どもに育っていました〜
幸運寺大大吉丸◎ 書籍発売中
ファンタジー
高校生の涼太は交通事故で死んでしまったところを優しい神様達に助けられて、異世界に転生させて貰える事になった。
辺境伯家の末っ子のアクシアに転生した彼は色々な人に愛されながら、そこに住む色々な魔物や植物に興味を抱き、研究する気ままな生活を送る事になる。
ちっちゃくなった俺の異世界攻略
ちくわ
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた!
精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる