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第1章
第79話 薬師親子
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「頑張ってあるか分からないくらい透明なガラスを作るぞ!」
ルドおじさんが拳をグッと握りしめて、目を爛々と輝かせて宣言する。
透明ガラスへの情熱は、窓ガラスには向けられないのかな。あると便利そうなのになぁ。
ルドおじさんはもう日が昇っているのに作業場の木窓を締め切っているくらいだから、窓から日の光を取り込もうという気持ちはないのかもしれない。
ランプの灯りだけで薄暗い作業場所を気にしていない様子でルドおじさんは僕が手にしていた紙を指差した。
「面白いだろ?その紙。魔力を通すと指でも紙に文字とかが書けるけど魔力で書いたもんは暫くしたら消えるんだぜ。」
「へえ。そうなんだ。」
時間が経ったら消えるなら、メイリとかの文字の書き取り練習とかに使えるかな。あ、魔力を使うから魔力切れとかになったら大変か。
魔力制御の練習に使うとかの方が良いかもしれない。
薬師のおばあちゃんは僕達がルドおじさんに魔道具を見せてもらったり絵を描いたりしている間に薬を作っていたらしい。薬師のおばあちゃんの作業部屋に戻ると、テーブルの上に小瓶が6本並べて合った。
「砕いた魔石を漬け込んでみた。いくつか持っておいき。」
ーーー名称:光水
ーーー効果:解毒(呪いの毒を含む)・毒耐性
毒鑑定で見ても光水だ。毒が入っていなくても毒に関してだからなのか鑑定ができているのって不思議。おばあちゃんが作った光水の小瓶には瓶の底にサシェのようなものが沈んでいる。毒耐性の魔石を砕いたものが入っているのだろう。
魔石をサシェに入れているのは、うっかり魔石を飲み込まない為だと思う。
他の魔石水の時も、魔石入りのものは魔石がサシェに入っている。
「ありがとうございます!」
どのくらい日持ちするかまだ確認していない段階で渡してくれたのは、「呪いの毒」のことを僕達が心配していることがわかっているからじゃないかと思う。
色々試して作ってもらう為に、後で泉の水を汲みに行って届ける約束をして、薬師のおばあちゃんの店を後にした。
朝食がまだだったから、そろそろお腹が空いてきた。屋台から匂ってくる串焼きの匂いの刺激が強い。
「……お腹すいたね。串焼き美味しそうだね。」
「帰ったら朝食なんだから、我慢しとけよ。」
兄上ももしかしたら串焼きを食べたいかもしれない、と思ったけど兄上は買い食いする気はなさそうだ。残念……。
「……ねえ。兄上。薬師のおばあちゃんって貴族なんだよね?」
薬師のおばあちゃんの店を後にして、屋敷に続く道に出て人の気配がないことを確認する。
。
「うん?準貴族と聞いたよ。元伯爵令嬢で、旦那さんが騎士爵持ちだったって。ルドおじさんだって騎士爵だしな。
「伯爵令嬢かぁ。」
さっき、脳裏に浮かんできたのは、薬師のおばあちゃんが伯爵令嬢だった頃の姿かな。
「伯爵令嬢に見えない、とか言うと怒られるぞ。」
兄上が誰もいないのに小声になる。僕は慌てて首を横に振った。
「伯爵令嬢に見えないなんて思ってないよ。どうして、薬師をやってるのかなって思っただけだよ。」
「母上が治癒士をやってたことには、もう薬師だったって言うしなぁ。」
薬師のおばあちゃんの経歴については詳しく聞かされていない。
父上と母様が軍で働いていた時にお世話になった薬師の人だったとは聞いているけど。
ルドおじさんは父上の元同僚で、何年か前の隣国との戦いで怪我をして騎士を引退したのだそうだ。
引退後に薬師のおばあちゃんとルドおじさんは、この領地に移り住んできたと聞いている。
ルドおじさんが拳をグッと握りしめて、目を爛々と輝かせて宣言する。
透明ガラスへの情熱は、窓ガラスには向けられないのかな。あると便利そうなのになぁ。
ルドおじさんはもう日が昇っているのに作業場の木窓を締め切っているくらいだから、窓から日の光を取り込もうという気持ちはないのかもしれない。
ランプの灯りだけで薄暗い作業場所を気にしていない様子でルドおじさんは僕が手にしていた紙を指差した。
「面白いだろ?その紙。魔力を通すと指でも紙に文字とかが書けるけど魔力で書いたもんは暫くしたら消えるんだぜ。」
「へえ。そうなんだ。」
時間が経ったら消えるなら、メイリとかの文字の書き取り練習とかに使えるかな。あ、魔力を使うから魔力切れとかになったら大変か。
魔力制御の練習に使うとかの方が良いかもしれない。
薬師のおばあちゃんは僕達がルドおじさんに魔道具を見せてもらったり絵を描いたりしている間に薬を作っていたらしい。薬師のおばあちゃんの作業部屋に戻ると、テーブルの上に小瓶が6本並べて合った。
「砕いた魔石を漬け込んでみた。いくつか持っておいき。」
ーーー名称:光水
ーーー効果:解毒(呪いの毒を含む)・毒耐性
毒鑑定で見ても光水だ。毒が入っていなくても毒に関してだからなのか鑑定ができているのって不思議。おばあちゃんが作った光水の小瓶には瓶の底にサシェのようなものが沈んでいる。毒耐性の魔石を砕いたものが入っているのだろう。
魔石をサシェに入れているのは、うっかり魔石を飲み込まない為だと思う。
他の魔石水の時も、魔石入りのものは魔石がサシェに入っている。
「ありがとうございます!」
どのくらい日持ちするかまだ確認していない段階で渡してくれたのは、「呪いの毒」のことを僕達が心配していることがわかっているからじゃないかと思う。
色々試して作ってもらう為に、後で泉の水を汲みに行って届ける約束をして、薬師のおばあちゃんの店を後にした。
朝食がまだだったから、そろそろお腹が空いてきた。屋台から匂ってくる串焼きの匂いの刺激が強い。
「……お腹すいたね。串焼き美味しそうだね。」
「帰ったら朝食なんだから、我慢しとけよ。」
兄上ももしかしたら串焼きを食べたいかもしれない、と思ったけど兄上は買い食いする気はなさそうだ。残念……。
「……ねえ。兄上。薬師のおばあちゃんって貴族なんだよね?」
薬師のおばあちゃんの店を後にして、屋敷に続く道に出て人の気配がないことを確認する。
。
「うん?準貴族と聞いたよ。元伯爵令嬢で、旦那さんが騎士爵持ちだったって。ルドおじさんだって騎士爵だしな。
「伯爵令嬢かぁ。」
さっき、脳裏に浮かんできたのは、薬師のおばあちゃんが伯爵令嬢だった頃の姿かな。
「伯爵令嬢に見えない、とか言うと怒られるぞ。」
兄上が誰もいないのに小声になる。僕は慌てて首を横に振った。
「伯爵令嬢に見えないなんて思ってないよ。どうして、薬師をやってるのかなって思っただけだよ。」
「母上が治癒士をやってたことには、もう薬師だったって言うしなぁ。」
薬師のおばあちゃんの経歴については詳しく聞かされていない。
父上と母様が軍で働いていた時にお世話になった薬師の人だったとは聞いているけど。
ルドおじさんは父上の元同僚で、何年か前の隣国との戦いで怪我をして騎士を引退したのだそうだ。
引退後に薬師のおばあちゃんとルドおじさんは、この領地に移り住んできたと聞いている。
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