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第1章
第78話 肖像画
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ルドおじさんは棚の一角に目を向けると、棚に手を伸ばして平たいケースを取り出した。テーブルの上にケースを置いて蓋をあける。ケースの中には薄そうな紙が入っていて、何枚か紙を僕に差し出した。
手渡しながらニヤリと笑う。
「この紙も面白いんだ。魔力で変色するんだよ。指で魔力を込めてなぞると絵を描けるよ。」
「へえー!」
僕が紙を受け取って凝視している間にルドおじさんは薬師のおばあちゃんの居る部屋に絵を見せに行った。
早速、ちょっと紙の端っこの方を魔力を込めた指で撫でてみた。
指が触れたところが黒ずむ。
紙を持っている方の手には魔力を込めていないんだけど、そちらは紙に触れている部分の色は変わらない。
「おおー。面白い。何かに使えるかなぁ。」
ちょっと面白いけれどどう使うのが効果的だろうか。
魔力で反応する紙の使い道を考えているうちにルドおじさんが作業部屋に戻ってきた。なんだか出て行った時の様子と違う。少し慌てた感じだ。
「クリスくーん!」
戻ってくるなり困ったような顔をして僕の方に駆け寄ってくるルドおじさん。
「ごめん!母さんの絵も描いてもらえないかな?母さん、自分は年寄りだから描いてもらえないんだねって…。」
どうやら、薬師のおばあちゃんがちょっと拗ねてしまったらしい。おばあちゃんの絵は描いたことがなかったなぁ。
それは、急いで描かないとと思って、早速筆を取る。
筆を手にした一瞬、脳裏に銀髪の令嬢の姿が浮かんできた。ドレスを着て少し哀しげに佇む姿だ。
台詞は特に何も聞こえなかったし、どういう場面なのかよくわからない。
何となく、薬師のおばあちゃんの昔の姿かなと思った。
その姿を描こうかと思ったけど、哀しそうに見えたのでやめにした。薬師のおばあちゃんかどうか確かめられないし。
どうせ描くなら薬師のおばあちゃんがなるべく楽しそうにしている姿を描きたいよね。
ペンをくるくる回して考える。薬を調合している時の様子を描こうと思いついた。薬師のおばあちゃんは、薬を調合している時だけ笑顔なんだ。
ニコニコと薬草を潰している薬師のおばあちゃんの絵を描いていたら横から覗き込んでいた兄上が「ぷ。」と吹き出した。
「ニッコニコな絵だな。」
「うん。」
「ははは。」
ルドおじさんも笑ってた。そして、出来上がった絵を薬師のおばあちゃんの所に持って行ったら、薬師のおばあちゃんは何故か顔を真っ赤にしてた。
「こんな、笑った顔するもんかね。」
「してるよぉ。」
「ふん!」
薬師のおばあちゃんはそっぽを向いたけど、喜んでくれたような気がする。
「額に入れて飾っておくね!」
ルドおじさんは僕が描いた絵のことをかなり気に入ってくれたみたいで、作業場に飾っておいてくれるらしい。
「そうだ、ガラス!窓ガラスをもっと歪みなく透明に作ってそれで絵を覆ったら……!」
ルドおじさんは窓の方にチラリと目を向けた。
窓ガラスは確かに向こう側が少し透けて見える。ただ分厚くて濁った緑色をしているのであまりはっきりとは見えない。
それを絵に覆い被せたら、絵自体は埃とかから保護できるけど、絵の見た目はだいぶ違って見えると思う。
それで絵を保護する為のガラスを作ろうと思ったらしい。
手渡しながらニヤリと笑う。
「この紙も面白いんだ。魔力で変色するんだよ。指で魔力を込めてなぞると絵を描けるよ。」
「へえー!」
僕が紙を受け取って凝視している間にルドおじさんは薬師のおばあちゃんの居る部屋に絵を見せに行った。
早速、ちょっと紙の端っこの方を魔力を込めた指で撫でてみた。
指が触れたところが黒ずむ。
紙を持っている方の手には魔力を込めていないんだけど、そちらは紙に触れている部分の色は変わらない。
「おおー。面白い。何かに使えるかなぁ。」
ちょっと面白いけれどどう使うのが効果的だろうか。
魔力で反応する紙の使い道を考えているうちにルドおじさんが作業部屋に戻ってきた。なんだか出て行った時の様子と違う。少し慌てた感じだ。
「クリスくーん!」
戻ってくるなり困ったような顔をして僕の方に駆け寄ってくるルドおじさん。
「ごめん!母さんの絵も描いてもらえないかな?母さん、自分は年寄りだから描いてもらえないんだねって…。」
どうやら、薬師のおばあちゃんがちょっと拗ねてしまったらしい。おばあちゃんの絵は描いたことがなかったなぁ。
それは、急いで描かないとと思って、早速筆を取る。
筆を手にした一瞬、脳裏に銀髪の令嬢の姿が浮かんできた。ドレスを着て少し哀しげに佇む姿だ。
台詞は特に何も聞こえなかったし、どういう場面なのかよくわからない。
何となく、薬師のおばあちゃんの昔の姿かなと思った。
その姿を描こうかと思ったけど、哀しそうに見えたのでやめにした。薬師のおばあちゃんかどうか確かめられないし。
どうせ描くなら薬師のおばあちゃんがなるべく楽しそうにしている姿を描きたいよね。
ペンをくるくる回して考える。薬を調合している時の様子を描こうと思いついた。薬師のおばあちゃんは、薬を調合している時だけ笑顔なんだ。
ニコニコと薬草を潰している薬師のおばあちゃんの絵を描いていたら横から覗き込んでいた兄上が「ぷ。」と吹き出した。
「ニッコニコな絵だな。」
「うん。」
「ははは。」
ルドおじさんも笑ってた。そして、出来上がった絵を薬師のおばあちゃんの所に持って行ったら、薬師のおばあちゃんは何故か顔を真っ赤にしてた。
「こんな、笑った顔するもんかね。」
「してるよぉ。」
「ふん!」
薬師のおばあちゃんはそっぽを向いたけど、喜んでくれたような気がする。
「額に入れて飾っておくね!」
ルドおじさんは僕が描いた絵のことをかなり気に入ってくれたみたいで、作業場に飾っておいてくれるらしい。
「そうだ、ガラス!窓ガラスをもっと歪みなく透明に作ってそれで絵を覆ったら……!」
ルドおじさんは窓の方にチラリと目を向けた。
窓ガラスは確かに向こう側が少し透けて見える。ただ分厚くて濁った緑色をしているのであまりはっきりとは見えない。
それを絵に覆い被せたら、絵自体は埃とかから保護できるけど、絵の見た目はだいぶ違って見えると思う。
それで絵を保護する為のガラスを作ろうと思ったらしい。
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