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第1章
第90話 焦げた沼地
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木の枝が折れ曲がってぶらんと垂れ下がっているところを掻き分けた先に広がっている光景を見て僕は思わず声を上げてしまった。
「うわっ!」
つい先日来たばかりはずの沼地が、全く別の場所みたいになってしまっている。あちこちが焦げている。焦げた色に変わった草から煙が出ている。
岩が黒ずんでいて、その側にオオトカゲが転がっている。
沼の畔にも焼けこげたオオトカゲの死骸が何体も転がっていた。
「何…、これ……。」
「本当に火魔法を撃ちまくったみたいだな。」
呆然としていたら、兄上が周囲を見回して眉を顰めた。
「あの木の辺り、燃えてませんか?」
ボブが指差したのは、沼の向こう岸に立っている木だ。沼の周辺木々も焼けこげていて所々煙が出ている。
プスプスと煙が出ている大きな木の根元近くの藪に炎の色がちらついているのが見えた。
炎の色にギョッとして思わず、水魔法を発動させる。でかい水の玉を作り出してから、煙が出ている藪を目掛けて思いっきりぶつけた。
ドーン!バシャーン!
僕が発した水魔法の水の玉が大きな音をたてて藪と藪の背後の木にぶつかった。
ドドーン!!
藪が吹き飛び、木の上の方がユッサユッサと揺れた。
念の為と思って煙が出ているところに水魔法で水をかけまくった。細い木が倒れていったけど仕方がない。燃え広がってしまっては大変だ。
「クリス。もう火は消えたよ。」
目についたところに必死で水魔法をぶつけていたら、兄上が僕の肩に手を置いた。
兄上の手の感触を肩に感じて、ほうーっと僕は大きく息を吐いた。呼吸を整えてからもう一度周囲を注意深く見回す。すごく焦げ臭い変な匂いが辺りに立ち込めているけれど、煙が出ている場所は見当たらなくなった。
「一体、誰がこんなこと……。」
兄上は、沼のほとりに転がっていたオオトカゲを足でちょっと突いてみて動かないことを確認してから、オオトカゲの腹にナイフを差し込んだ。
兄上がオオトカゲの腹にナイフを突き立てたままぐりぐりとナイフの柄を揺らすように動かすと。血と共にコロンと魔石が転がり出てきた。
「……魔石、取って行ってないな。さっきのと一緒で。」
「じゃあ、泉の方に行く途中に転がっていた魔獣の魔石取らずに狩りまくってた人と同じってこと?」
「確証はないけど……。その可能性はありそうだな。クソッ、あの時追いかけてみればよかった……。」
兄上は悔しそうに唇を噛み締めた。
たまたま魔石を撮り忘れたのか、他のオオトカゲの死骸も魔石を取られていないのか確認の意味もあり、転がっていた他のオオトカゲの腹にもナイフを突き立てて回った。
焦げた状態で転がっていたオオトカゲの死骸にはどれも魔石が残っていた。死骸を一箇所に集めながら、沼の中の方に意識を向けてみた。
沼の中には、オオトカゲらしき魔力の気配があった。姿は確認できていないけど、全滅をしてはいなさそうなので、それは良かったと思う。
「下手したら森林火災になっていたかもしれない。急いで報告しよう。戻るぞ。」
「オオトカゲは埋めなくて良いの?」
「この状態を見せる方が良いんじゃないか。」
兄上の一言で、急いで屋敷に戻ることになった。
「うわっ!」
つい先日来たばかりはずの沼地が、全く別の場所みたいになってしまっている。あちこちが焦げている。焦げた色に変わった草から煙が出ている。
岩が黒ずんでいて、その側にオオトカゲが転がっている。
沼の畔にも焼けこげたオオトカゲの死骸が何体も転がっていた。
「何…、これ……。」
「本当に火魔法を撃ちまくったみたいだな。」
呆然としていたら、兄上が周囲を見回して眉を顰めた。
「あの木の辺り、燃えてませんか?」
ボブが指差したのは、沼の向こう岸に立っている木だ。沼の周辺木々も焼けこげていて所々煙が出ている。
プスプスと煙が出ている大きな木の根元近くの藪に炎の色がちらついているのが見えた。
炎の色にギョッとして思わず、水魔法を発動させる。でかい水の玉を作り出してから、煙が出ている藪を目掛けて思いっきりぶつけた。
ドーン!バシャーン!
僕が発した水魔法の水の玉が大きな音をたてて藪と藪の背後の木にぶつかった。
ドドーン!!
藪が吹き飛び、木の上の方がユッサユッサと揺れた。
念の為と思って煙が出ているところに水魔法で水をかけまくった。細い木が倒れていったけど仕方がない。燃え広がってしまっては大変だ。
「クリス。もう火は消えたよ。」
目についたところに必死で水魔法をぶつけていたら、兄上が僕の肩に手を置いた。
兄上の手の感触を肩に感じて、ほうーっと僕は大きく息を吐いた。呼吸を整えてからもう一度周囲を注意深く見回す。すごく焦げ臭い変な匂いが辺りに立ち込めているけれど、煙が出ている場所は見当たらなくなった。
「一体、誰がこんなこと……。」
兄上は、沼のほとりに転がっていたオオトカゲを足でちょっと突いてみて動かないことを確認してから、オオトカゲの腹にナイフを差し込んだ。
兄上がオオトカゲの腹にナイフを突き立てたままぐりぐりとナイフの柄を揺らすように動かすと。血と共にコロンと魔石が転がり出てきた。
「……魔石、取って行ってないな。さっきのと一緒で。」
「じゃあ、泉の方に行く途中に転がっていた魔獣の魔石取らずに狩りまくってた人と同じってこと?」
「確証はないけど……。その可能性はありそうだな。クソッ、あの時追いかけてみればよかった……。」
兄上は悔しそうに唇を噛み締めた。
たまたま魔石を撮り忘れたのか、他のオオトカゲの死骸も魔石を取られていないのか確認の意味もあり、転がっていた他のオオトカゲの腹にもナイフを突き立てて回った。
焦げた状態で転がっていたオオトカゲの死骸にはどれも魔石が残っていた。死骸を一箇所に集めながら、沼の中の方に意識を向けてみた。
沼の中には、オオトカゲらしき魔力の気配があった。姿は確認できていないけど、全滅をしてはいなさそうなので、それは良かったと思う。
「下手したら森林火災になっていたかもしれない。急いで報告しよう。戻るぞ。」
「オオトカゲは埋めなくて良いの?」
「この状態を見せる方が良いんじゃないか。」
兄上の一言で、急いで屋敷に戻ることになった。
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