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第1章
第188話 微毒の目的とは
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父上に知らせに行って毒については薬師のおばあちゃんのところで確認してもらうことになったようだ。
後は父上が対応するということになって、僕と兄上は微毒のお酒のことを口外しないようにと念を押されて離れに戻ってきた。
朝食の時間に遅れてしまって、メイリはもう朝食を食べ終わったところだった。
毒のお酒のことを口外しないようにって言われちゃったから、メイリが自室に戻ってから兄上に、お酒の毒は紫色の木の実の毒だということを伝えた。
毒鑑定のことは内緒にしているから、ゴーシュさん達の前では言えなかったんだよね。
兄上は難しい顔をした。
「……気味が悪いな。『微毒』の時は、すぐに倒れたりするような毒じゃないみたいだし……。何が目的なのか……」
「目をチカチカさせたかったのかな」
「何の為に……。落馬でも狙ってたのか?」
「馬に乗っている時だったら危ないもんね」
「でも、遠回しすぎないか?バレにくいだろうけど。害する目的ならもっと直接的な毒を使えば……。いや……狙いは殿下かも」
「ゴーシュさんじゃなく?」
「護衛を弱らせる作戦かも」
あの紫色の木の実の「微毒」の効果はどんなものなのかよくわからないけど、
飲み続けていたらもっと酷い状態になっていたのかもしれない。
もしも、王都に帰る途中で盗賊とかが襲ってきたりした場合、護衛として指揮を取る人が弱っていたりしたら大変だ。
「もう、何日かで王都に帰るんだろう?だから今のうちに仕込んでたんじゃないか?」
「怖!」
兄上の推理通りだったら、そんな何日も前から毒を仕込むとか怖いし、
一緒に殿下を守っているはずの人が、企んでいるんだったらそれも怖い。
「……もしかして他の騎士の人達にもあの酒が配られていたりして……」
「ええ……」
兄上がどんどん怖い推理をする。
指揮官以外の騎士も弱らせておいた方が襲撃が成功する可能性が高くなるからっていう発想だ。
「他の騎士にも……って、あの灰色キノコもそうだったのかな」
「可能性はあるかもな」
厨房に灰色キノコが持ち込まれた日、野営していた騎士達も毒キノコに当たって倒れた。
幸い解毒剤で大事に至らなかったって話だけど、騎士の食事に混入させたのは
戦える騎士の数を減らそうとしていたって考えるとそんな気がしてきてしまった。
怖いけど。
ゾーッとしながら、ふと、町の人に飲んでもらうことを考えていた毒耐性の水のことを思い出した。
「ねえ、ゴクゴク飲める毒耐性の飲み物の話、薬師のおばあちゃんはお店で売り出すのは難しいって言ってたけど屋敷に泊まっている人が飲む用にとりあえず用意してもらうって出来ないかな」
紫色の木の実の害が心配で、町の人に毒耐性の飲み物を飲んでもらうことを考えてたけど
それ以前に今の屋敷の中の方が毒の心配がゴロゴロ転がってた。
それなら、屋敷に泊まっている人向けに毒耐性の飲み物を配った方が良いって思ったんだ。
「そうだなぁ。食事の時の飲み物として出すか……」
ゴーシュさんが飲んだお酒の微毒程度だったら、食事の時に解毒できちゃいそうだ。
商品化するわけじゃないから、その日の飲み物に光水を混ぜてもらうだけでも良さそうだ。
後は父上が対応するということになって、僕と兄上は微毒のお酒のことを口外しないようにと念を押されて離れに戻ってきた。
朝食の時間に遅れてしまって、メイリはもう朝食を食べ終わったところだった。
毒のお酒のことを口外しないようにって言われちゃったから、メイリが自室に戻ってから兄上に、お酒の毒は紫色の木の実の毒だということを伝えた。
毒鑑定のことは内緒にしているから、ゴーシュさん達の前では言えなかったんだよね。
兄上は難しい顔をした。
「……気味が悪いな。『微毒』の時は、すぐに倒れたりするような毒じゃないみたいだし……。何が目的なのか……」
「目をチカチカさせたかったのかな」
「何の為に……。落馬でも狙ってたのか?」
「馬に乗っている時だったら危ないもんね」
「でも、遠回しすぎないか?バレにくいだろうけど。害する目的ならもっと直接的な毒を使えば……。いや……狙いは殿下かも」
「ゴーシュさんじゃなく?」
「護衛を弱らせる作戦かも」
あの紫色の木の実の「微毒」の効果はどんなものなのかよくわからないけど、
飲み続けていたらもっと酷い状態になっていたのかもしれない。
もしも、王都に帰る途中で盗賊とかが襲ってきたりした場合、護衛として指揮を取る人が弱っていたりしたら大変だ。
「もう、何日かで王都に帰るんだろう?だから今のうちに仕込んでたんじゃないか?」
「怖!」
兄上の推理通りだったら、そんな何日も前から毒を仕込むとか怖いし、
一緒に殿下を守っているはずの人が、企んでいるんだったらそれも怖い。
「……もしかして他の騎士の人達にもあの酒が配られていたりして……」
「ええ……」
兄上がどんどん怖い推理をする。
指揮官以外の騎士も弱らせておいた方が襲撃が成功する可能性が高くなるからっていう発想だ。
「他の騎士にも……って、あの灰色キノコもそうだったのかな」
「可能性はあるかもな」
厨房に灰色キノコが持ち込まれた日、野営していた騎士達も毒キノコに当たって倒れた。
幸い解毒剤で大事に至らなかったって話だけど、騎士の食事に混入させたのは
戦える騎士の数を減らそうとしていたって考えるとそんな気がしてきてしまった。
怖いけど。
ゾーッとしながら、ふと、町の人に飲んでもらうことを考えていた毒耐性の水のことを思い出した。
「ねえ、ゴクゴク飲める毒耐性の飲み物の話、薬師のおばあちゃんはお店で売り出すのは難しいって言ってたけど屋敷に泊まっている人が飲む用にとりあえず用意してもらうって出来ないかな」
紫色の木の実の害が心配で、町の人に毒耐性の飲み物を飲んでもらうことを考えてたけど
それ以前に今の屋敷の中の方が毒の心配がゴロゴロ転がってた。
それなら、屋敷に泊まっている人向けに毒耐性の飲み物を配った方が良いって思ったんだ。
「そうだなぁ。食事の時の飲み物として出すか……」
ゴーシュさんが飲んだお酒の微毒程度だったら、食事の時に解毒できちゃいそうだ。
商品化するわけじゃないから、その日の飲み物に光水を混ぜてもらうだけでも良さそうだ。
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