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第1章
第242話 突然の修了式
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オーキッド伯爵が「フッ」の騎士の状態を覗き込むようにして見てから、辺境伯様に声をかけた。
「いやあ、興味深いデモンストレーションでしたな」
「……」
辺境伯様がジロリとオーキッド伯爵を見る。
「負傷しているとはいえ、屈強は辺境伯家の騎士の攻撃を魔道具で凌いだのは、魔道具を授かった娘達にとっては心強いことでしょうな。それに、治癒の魔石もなかなかの効果だ。『治癒玉』と比べればおそらく効果の範囲の差はあるのでしょう。手の傷は治っていないようだ」
「……ふむ……」
転んだ時に擦りむいたか何かしたのか、よく見ると「フッ」の騎士の指の辺りに血が滲んでいた。
治癒玉だと全身の傷に作用するから、それで効果範囲に違いがあるってわかったのかな。
「他の魔石の魔法も、規模は小さいが護身用となるものだ。それに加えて確かな治癒の効果まである魔道具など非常に有用だと思いますがねぇ」
「……うむ……」
オーキッド伯爵の言葉に辺境伯様は唸るような声で返事をした。
パンパンパンと手を叩く音が響いた。ネイサン殿下だ。満足げな笑顔を浮かべて話し始めた。
「とても有意義な時間だったよ。ブローチはとても美しいし、有用な使い方も伝授してもらえた。
この訓練場での剣や魔法の訓練、それに実際に魔獣を相手にした訓練も行えて、
非常に有意義な時間を過ごすことができた。ゲンティアナ男爵夫妻、ローレン君、クリス君、協力に感謝する。
また、今回の訓練を通してハロルド・テッセン伯爵令息、シェリル・ナスタチウム辺境伯令嬢、リネリア・オーキッド伯爵令嬢とも友情を結び、深めることが出来たと思う。学園に入学してからもよろしく頼む。
……実技試験、面接試験は合格ラインに達していると思っている。
それから、ナスタチウム辺境伯、オーキッド伯爵も協力感謝する」
突然、ネイサン殿下が良く通る声で挨拶を始めた。あれ?ブローチの魔道具の披露会の締めくくりっていうだけじゃなくて、ここでの訓練のことも締め括ってる?
もしかして、このまま旅立つのかな?
剣術エリアの中央にネイサン殿下が立って挨拶をしていて、ゴーシュさんが後ろに控えていて、王宮騎士と各家の騎士が綺麗に整列をした。僕と兄上も母上に呼ばれて、父上の隣に立った。
最初から予定されていたのかどうかは分からないけど、ゲンティアナでの訓練の修了式みたいになっていた。
ネイサン殿下の挨拶が終わって、撤収が始まった。
片付けるようなものは、的と風魔法を当てる板くらいなので、それはゲンティアナの騎士達がやってくれているけど沢山集まった各家の騎士が順番に訓練場から出ていく。
「君達のお陰で楽しく過ごせたよ。ありがとう。ブローチと泡の魔道具もね」
撤収が始まる中、ネイサン殿下にお礼を言われた。
ネイサン殿下は満足げな表情を浮かべていた。
「お役に立てたなら何よりです。……すぐご出発でしょうか?」
ネイサン殿下と握手をしながら兄上が尋ねた。ネイサン殿下が静かに頷いた。
「うん。朝食は凄く急いで食べるか、馬車の中で食べることになるかもしれない」
ネイサン殿下が苦笑した。狙われる可能性を考慮して、朝食の時間より前に出発をすることになったらしい。
そう考えると、「ブローチの魔道具機能の披露会」って名目で仰々しく集まったのは、ゲンティアナの訓練の最終日だからってことだったのかな。
「そうですか……。道中お気をつけて」
「ありがとう。お世話になったね!」
ニコッと兄上に微笑みかけた後、ネイサン殿下は僕にも手を差し出してくれた。
「いやあ、興味深いデモンストレーションでしたな」
「……」
辺境伯様がジロリとオーキッド伯爵を見る。
「負傷しているとはいえ、屈強は辺境伯家の騎士の攻撃を魔道具で凌いだのは、魔道具を授かった娘達にとっては心強いことでしょうな。それに、治癒の魔石もなかなかの効果だ。『治癒玉』と比べればおそらく効果の範囲の差はあるのでしょう。手の傷は治っていないようだ」
「……ふむ……」
転んだ時に擦りむいたか何かしたのか、よく見ると「フッ」の騎士の指の辺りに血が滲んでいた。
治癒玉だと全身の傷に作用するから、それで効果範囲に違いがあるってわかったのかな。
「他の魔石の魔法も、規模は小さいが護身用となるものだ。それに加えて確かな治癒の効果まである魔道具など非常に有用だと思いますがねぇ」
「……うむ……」
オーキッド伯爵の言葉に辺境伯様は唸るような声で返事をした。
パンパンパンと手を叩く音が響いた。ネイサン殿下だ。満足げな笑顔を浮かべて話し始めた。
「とても有意義な時間だったよ。ブローチはとても美しいし、有用な使い方も伝授してもらえた。
この訓練場での剣や魔法の訓練、それに実際に魔獣を相手にした訓練も行えて、
非常に有意義な時間を過ごすことができた。ゲンティアナ男爵夫妻、ローレン君、クリス君、協力に感謝する。
また、今回の訓練を通してハロルド・テッセン伯爵令息、シェリル・ナスタチウム辺境伯令嬢、リネリア・オーキッド伯爵令嬢とも友情を結び、深めることが出来たと思う。学園に入学してからもよろしく頼む。
……実技試験、面接試験は合格ラインに達していると思っている。
それから、ナスタチウム辺境伯、オーキッド伯爵も協力感謝する」
突然、ネイサン殿下が良く通る声で挨拶を始めた。あれ?ブローチの魔道具の披露会の締めくくりっていうだけじゃなくて、ここでの訓練のことも締め括ってる?
もしかして、このまま旅立つのかな?
剣術エリアの中央にネイサン殿下が立って挨拶をしていて、ゴーシュさんが後ろに控えていて、王宮騎士と各家の騎士が綺麗に整列をした。僕と兄上も母上に呼ばれて、父上の隣に立った。
最初から予定されていたのかどうかは分からないけど、ゲンティアナでの訓練の修了式みたいになっていた。
ネイサン殿下の挨拶が終わって、撤収が始まった。
片付けるようなものは、的と風魔法を当てる板くらいなので、それはゲンティアナの騎士達がやってくれているけど沢山集まった各家の騎士が順番に訓練場から出ていく。
「君達のお陰で楽しく過ごせたよ。ありがとう。ブローチと泡の魔道具もね」
撤収が始まる中、ネイサン殿下にお礼を言われた。
ネイサン殿下は満足げな表情を浮かべていた。
「お役に立てたなら何よりです。……すぐご出発でしょうか?」
ネイサン殿下と握手をしながら兄上が尋ねた。ネイサン殿下が静かに頷いた。
「うん。朝食は凄く急いで食べるか、馬車の中で食べることになるかもしれない」
ネイサン殿下が苦笑した。狙われる可能性を考慮して、朝食の時間より前に出発をすることになったらしい。
そう考えると、「ブローチの魔道具機能の披露会」って名目で仰々しく集まったのは、ゲンティアナの訓練の最終日だからってことだったのかな。
「そうですか……。道中お気をつけて」
「ありがとう。お世話になったね!」
ニコッと兄上に微笑みかけた後、ネイサン殿下は僕にも手を差し出してくれた。
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