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第1章
第243話 挨拶で安全の念押し
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「クリス君にもお世話になったね。ブローチの解説、立派だったよ」
「どういたしまして……。あの……」
「うん?」
ネイサン殿下と握手をしながら、僕は脳裏で見た光景を思い出していた。街中でネイサン殿下が刺されそうになってレオノールさんが殿下を庇って刺される光景だ。
「……あのブローチの機能は、護衛の人が側にいる前提のものですから、途中の街とかお気をつけください。お一人歩きは危ないです。本当に色々危険が多いですから」
「うん。そうだね……。街歩きは憧れるけど、護衛と一緒に行動するようにするよ。ありがとう」
殿下は独り歩きをしないと言ってくれた。これで大丈夫そうかな。
「本当ですよ?いざとなったら、砂でも何でも使って身を守ってくださいね」
まだちょっと心配で念を押してしまう。殿下はパッと顔を明るくした。
「あの砂ね!是非真似したいよ!隠し持っていたの?」
「これです。宜しければ……」
僕が兄上に手渡した砂入りの皮袋がネイサン殿下に渡された。
「あ、じゃあ、これもよかったらどうぞ……」
僕は、赤い粉が入った小さい皮袋を差し出した。大戦の時にいざとなった時に兄上にすぐ渡せるように用意しておいたんだ。
「それは……?」
僕が差し出した皮袋を見て、ネイサン殿下が首を傾げた。
「赤い粉で「それはダメだって!」」
僕が答えようとしたら被せるように兄上が焦った声で言う。
不思議そうな顔をする殿下に、兄上が赤い粉はとても刺激が強くて、ダメージが大きいから無闇に使うべきではないものだと説明をした。
「今日のような模擬戦などで使うべきではないものです」
「では、魔獣相手なら使っても良いものかな?」
「魔獣にもよります。刺激で暴れて返って危険になる場合もあると思います」
「なるほど」
ネイサン殿下は、ヒョイと僕の手から赤い粉が入った皮袋をつまみ上げた。
「受け取っておくよ。使う場面がないと良いんだけど。道中、魔獣が多い場所も通るし」
「味方にかけないようにお取り扱いに気をつけてくださいね」
ネイサン殿下が受け取ってくれたので、赤い粉の皮袋はそのまま投げれば良いとか取り扱いの説明をしておいた。
その間、兄上は眉間に皺を寄せてたんだけど、万一目に入った時の注意とか、説明はちゃんとしておいた方が良いよね?
ハロルド君とは魔力水の話をした。
妹さんの病気の対策として魔力水を送ったけど、効果があったようだと返事が来たそうだ。
返事が届くのが早い。
「僕がゲンティアナに滞在している間に、追加注文をしておけって父から商業ギルド経由で連絡が来たんだ。早速、教えてもらった薬師に注文をしたよ」
商業ギルドを経由すると連絡が凄く早くできるらしい。何か魔道具を使っているのかな。
「お話」の魔道具をもっともっと強力にしたみたいなやつだろうか。
そういうの作れると良いなぁ。音を遠くまでそのまま運ぶのは難しいかなぁ。
後で研究しようっと。
それにしても、ハロルド君の妹さんの病状が改善しそうで良かった!
シェリル嬢は、ハロルド君と婚約できるように頑張るのだそうだ。
「背中を押してくれてありがとう。次に会った時には良い報告ができるようにするわ」
晴れやかな笑顔を浮かべ、途中でチラリとハロルド君と目線を交わしていた。仲良さそう!
「それより、父やナスタチウム家の騎士がごめんなさいね。
治癒の魔石に何だか拘っていて……。もしかしたら今日出発だったからフランクリンだとか負傷している騎士の回復を間に合わせたかったのかもしれないわ。」
「フッ」の騎士は、ゲンティアナに到着するまでの道中で遭遇した魔獣との戦いの時に負傷したのだそうだ。
ゲンティアナに到着するまでかなり無理をしたらしくて、怪我が悪化してなかなか治らなかったらしい。
足を引きずってたから、訓練場に来ていたのも治療してもらう目的だったのかな。
それなら治癒玉を使うとかすれば良いのに、と思ったけど治癒玉は希少だって聞いたし用意できなかったのかな。
辺境伯様は、最初、シェリル嬢が使うのではなくて、自分で治癒魔石を使いたいって言っていたみたいだから、単純に、あの「フッ」の騎士の怪我を治したかったってだけじゃないんじゃないのかもしれない。
リネリア嬢が言っていたみたいに、何か治癒魔法が気になっていたのかもしれないし、便利そうなものならもっと寄越せって言いたくて、効果を確認したかったのかもしれないな。
「どういたしまして……。あの……」
「うん?」
ネイサン殿下と握手をしながら、僕は脳裏で見た光景を思い出していた。街中でネイサン殿下が刺されそうになってレオノールさんが殿下を庇って刺される光景だ。
「……あのブローチの機能は、護衛の人が側にいる前提のものですから、途中の街とかお気をつけください。お一人歩きは危ないです。本当に色々危険が多いですから」
「うん。そうだね……。街歩きは憧れるけど、護衛と一緒に行動するようにするよ。ありがとう」
殿下は独り歩きをしないと言ってくれた。これで大丈夫そうかな。
「本当ですよ?いざとなったら、砂でも何でも使って身を守ってくださいね」
まだちょっと心配で念を押してしまう。殿下はパッと顔を明るくした。
「あの砂ね!是非真似したいよ!隠し持っていたの?」
「これです。宜しければ……」
僕が兄上に手渡した砂入りの皮袋がネイサン殿下に渡された。
「あ、じゃあ、これもよかったらどうぞ……」
僕は、赤い粉が入った小さい皮袋を差し出した。大戦の時にいざとなった時に兄上にすぐ渡せるように用意しておいたんだ。
「それは……?」
僕が差し出した皮袋を見て、ネイサン殿下が首を傾げた。
「赤い粉で「それはダメだって!」」
僕が答えようとしたら被せるように兄上が焦った声で言う。
不思議そうな顔をする殿下に、兄上が赤い粉はとても刺激が強くて、ダメージが大きいから無闇に使うべきではないものだと説明をした。
「今日のような模擬戦などで使うべきではないものです」
「では、魔獣相手なら使っても良いものかな?」
「魔獣にもよります。刺激で暴れて返って危険になる場合もあると思います」
「なるほど」
ネイサン殿下は、ヒョイと僕の手から赤い粉が入った皮袋をつまみ上げた。
「受け取っておくよ。使う場面がないと良いんだけど。道中、魔獣が多い場所も通るし」
「味方にかけないようにお取り扱いに気をつけてくださいね」
ネイサン殿下が受け取ってくれたので、赤い粉の皮袋はそのまま投げれば良いとか取り扱いの説明をしておいた。
その間、兄上は眉間に皺を寄せてたんだけど、万一目に入った時の注意とか、説明はちゃんとしておいた方が良いよね?
ハロルド君とは魔力水の話をした。
妹さんの病気の対策として魔力水を送ったけど、効果があったようだと返事が来たそうだ。
返事が届くのが早い。
「僕がゲンティアナに滞在している間に、追加注文をしておけって父から商業ギルド経由で連絡が来たんだ。早速、教えてもらった薬師に注文をしたよ」
商業ギルドを経由すると連絡が凄く早くできるらしい。何か魔道具を使っているのかな。
「お話」の魔道具をもっともっと強力にしたみたいなやつだろうか。
そういうの作れると良いなぁ。音を遠くまでそのまま運ぶのは難しいかなぁ。
後で研究しようっと。
それにしても、ハロルド君の妹さんの病状が改善しそうで良かった!
シェリル嬢は、ハロルド君と婚約できるように頑張るのだそうだ。
「背中を押してくれてありがとう。次に会った時には良い報告ができるようにするわ」
晴れやかな笑顔を浮かべ、途中でチラリとハロルド君と目線を交わしていた。仲良さそう!
「それより、父やナスタチウム家の騎士がごめんなさいね。
治癒の魔石に何だか拘っていて……。もしかしたら今日出発だったからフランクリンだとか負傷している騎士の回復を間に合わせたかったのかもしれないわ。」
「フッ」の騎士は、ゲンティアナに到着するまでの道中で遭遇した魔獣との戦いの時に負傷したのだそうだ。
ゲンティアナに到着するまでかなり無理をしたらしくて、怪我が悪化してなかなか治らなかったらしい。
足を引きずってたから、訓練場に来ていたのも治療してもらう目的だったのかな。
それなら治癒玉を使うとかすれば良いのに、と思ったけど治癒玉は希少だって聞いたし用意できなかったのかな。
辺境伯様は、最初、シェリル嬢が使うのではなくて、自分で治癒魔石を使いたいって言っていたみたいだから、単純に、あの「フッ」の騎士の怪我を治したかったってだけじゃないんじゃないのかもしれない。
リネリア嬢が言っていたみたいに、何か治癒魔法が気になっていたのかもしれないし、便利そうなものならもっと寄越せって言いたくて、効果を確認したかったのかもしれないな。
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