転生モブ一家は乙女ゲームの開幕フラグを叩き折る

月野槐樹

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第2章

第250話 小型化

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「……これは……、実用化できるととても便利なものなのよね……」

母様は、兄上に「お話」の魔道具で呼ばれて急いで仕事を切り上げて離れに戻ってきたらしい。食堂に入った途端、「灯り」の魔道具の光にちょっと目を瞬かせた。その後直ぐにテーブルの上に置かれた「手紙」の魔道具の存在に気がついたようだった。
兄上が魔道具に表示されたメッセージを見せながら説明をしたら、直ぐに母様は魔道具の機能を理解してくれたようだ。

母様は「手紙」の魔道具を見つめた後、僕の頭を撫でた。

「これ使えそう?ちょっと大きいから『収納』に入れて運ぶかなと思ったんだけど」
「……そうね。出来ることならゲンティアナ中の村や町に置きたいわね……。領内で何かあったときに直ぐに連絡が取れるようになるわ」
母様が言うと兄上が驚いた様子で立ち上がった。

「そ、そんなの、大丈夫なんですか?誰が作ったか知られたら……!」
「直ぐには無理ね。……広め方は考えるわ。今は、他所の人に使っているところを見せてはダメよ」

母様が念を押すように僕の目をじっと覗き込んだ。ちょっと鋭い、真剣な目つきだ。何か間違ったことを言ったら怒られそうな雰囲気だ。
僕はコクンと頷いた。

「狩りに出た時に試しに母様やメイリに送ってみても良い?他の人に見られないようにするから。あと、ボブには見せても大丈夫?」
「そうね……。ボブなら良いわよ」

ボブには見せても良いってことになった!泉のところに行った時とかにも送ってみよう!

ブブブと兄上の腕輪が鳴った。

「はい……、はい!わかりました!お気をつけて!」

父上からの連絡だ。兄上はまた誰もいない壁に向かって頭を下げている。
会話を終了した後、兄上は母様の方に向かって報告した。

「父上は領境に到着されたようですが、今日は、近くのブルーム村に宿泊するそうです」
「そう。問題なく進めたようね」
「領境ってことは、もう殿下達は隣の領に入ったのかな」
「どうかしら、日暮れ後だと、アンソラ男爵領の門は閉まっていたのじゃないかしら」
「アンソラ男爵領に入られるのを見送ったって言ってました」
「まあ……、そうなのね」

母様はフゥッと深くいきを吐いてホッとした様子で口元に笑みを浮かべた。

「あ、……後で、母上にも連絡するって言ってました」
「あら、うふふ……」

兄上が付け加えると、母様はニコッと嬉しそうに笑ってグラスを傾けた。
「お話」の魔道具は他の人に秘密にしているから、父上が出かけている間は基本的に父上からしか連絡しないようにしている。母様とは宿の部屋に入って一人になってからゆっくり話をするのかな。

とりあえず「お話」の魔道具は、ゲンティアナ領の端っこまで距離が離れてもちゃんと繋がることがわかった!
それに殿下達も無事に隣の男爵領まで移動したようで良かったよ。

食後は、「手紙」の魔道具を皆で使ってみて、感想とかをもらった。
今作ってあるのは、お試し用の二台だけなので、家族分作るつもりなんだけど、作るときに改良できそうなところはするつもりなんだ。

メイリには「便利そうだけど、持ち運ぶには重たい」と言われてしまった。
それはそうなんだよね。魔石を沢山使っているからそれなりに重い。屋敷に置く分には問題ないだろうけど、屋敷に置いているだけなら、家族間で使っているメリットが少ないかな。

一応「お話」の魔道具でも連絡はつくから、そこまで必要じゃないかもしれないけど
「お話」の魔道具は他の人に秘密だから、誰かが一緒の時だと繋ぐことができないかもしれない。
そんな時に、文字でメッセージが残せたら便利じゃないかなと思って作ったので、持ち歩き出来るようにしたいんだよね。

あ、そうか。メッセージを受け取って表示する機能と、メッセージを送る機能を分けちゃえば重さはそれぞれ半分になるんじゃないかな。
「手紙」の魔道具を思い浮かべたら、機能毎に別々に作っても良いんじゃないかと思えてきた

夕食後に早速取り掛かったのは、メッセージ表示専用の魔道具だ。
文字を表示する仕組みは変えていないけど、一文字を表示する魔石のサイズは最初に作ったものよりも小さくする。

薬師のおばあちゃんとかだと、あまり小さい文字は嫌がりそうだけど、父上や母様は大丈夫だろう。
あ、でも、薬師のおばあちゃんとルドおじさんにも「お話」の魔道具や「手紙」の魔道具を使ってもらいたいなぁ。
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